新聞・TV・雑誌・学者が科学的に正しい事を発信するとは限らない

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メディア・バイアス~あやしい健康情報とニセ科学~」を読みました。

Twitterでフォローしている松永和紀さんの本です。

ちょっとした科学的リテラシーと論理的思考があれば、判別できる事象が沢山記されています。
最後に「科学情報を見破る十カ条」というのが書いてありました。
その紹介とコメントを書きます。

 1.懐疑主義を貫き、多様な情報を収集して自分自身で判断する
   ⇒大学教授・新聞などが正しいことを言うとは限らない。
    具体的な例を以下に示します。
    ・種苗法改正で誤り・ミスリードさせる発言をする東大鈴木宣弘教授
    ・種苗法改正について、大いなる誤りを書く東京新聞(中日新聞)
    また、「専門家」とかいう肩書にも注意が必要。自分の主張に合う都合の良い定説ではないものを引用しているのも注意。
    こちらどうぞ。
    ※「定説=正しい」とは限らないので注意。正しい可能性が高いという話。

    記事などの中で矛盾していることが書いてあったら、その記事全体を疑うべし。
 2.「○○を食べれぱ・・・」というような単純な情報は排除する
   ⇒嘘くさいので無視が一番だろうが、どうしても気になる場合は、根拠があるか見る。
    人に対しての実験があるか。あとは、7ですね。
 3.「危険」「効く」など極端な情報は、まず警戒する
   ⇒2,3ともに同じだが、根拠が示されていないものは、まず無視。
    根拠がある場合は、その根拠が正しいかの確認をするべし。
 4.その情報がだれを利するか、考える
   ⇒陰謀論など書いている人の記事は特に注意すべし。思考がねじ曲がっている可能性大。
 5.体験談、感情的な訴えには冷静に対処する
   ⇒冷静に対処ではなく、無視で良いでしょう。大事なのは客観的な事実。
    健康情報に関して言えば、科学的事実。
    ただし、恣意的な・不適切な実験でないか見極める必要がある。
    それが、1、9に関係してくるのでしょう。
 6.発表された「場」に注目する。学術論文ならぱ、信頼性は比較的高い
   ⇒「論文として発表している=正しいこと」とは限りらない。
    全く逆の結果の
 7.問題にされている「量」に注目する
   ⇒一生摂取し続けても問題とならない量は危険とは言わない。
    良いと言うものも、1日数kg摂取しないと効果がないものは意味が無い。
 8.問題にされている事象が発生する条件、とくに人に当てはまるのかを考える
   ⇒2,3,7に関連します。細胞実験と口から摂取するので全く異なりますからね。
 9.他のものと比較する目を持つ
10.新しい情報に応じて柔軟に考えを変えてゆく
   ⇒思い込みは危険。宗教的盲目になってはダメ。

読んでいて疑問符が付く箇所が2つありました。
合成の添加物については一つひとつについて毒性を確認する何種類もの試験を行い、絶対に健康被害が出ない使い方と使う量がそれぞれに決められた上で認可されています。
絶対に健康被害が出ないというのは誤りでしょう。
「健康被害の発生が無視できるほどの確率しか想定できない」とかが正しい表現でしょう。
科学も含め絶対と言い切れるものは少ない。

もう一つは、遺伝子組み換えの豆が危険と言っているロシア人の科学者の実験についての指摘です。
・遺伝子組み換えの豆を生でラットに食べさせる
・非遺伝子組み換えの豆をラットに食べさせる
という実験をして、前者が6倍の死亡率だから、遺伝子組み換えは危険であると科学者は言っている。
しかし、後者は熱加工した豆で、試験条件がまるで違うので比較できない(生の豆に毒性があるのは周知の事実)。
これに対して著者は「ずさんな実験結果」と書いているが、「ずさんな実験方法」でしょう。

メディア・バイアス~あやしい健康情報とニセ科学~
松永和紀
光文社
2011/10/28



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