物事を単純化しすぎるのも問題だ

生と死を分ける数学」を読みました。

知らないことが一部あったので少しは役に立ちましたが、いまいちな内容でした。

標識再捕獲法(捕獲再捕獲法)

家の庭に何匹のカタツムリがいるかを標識再捕獲法でわかると紹介しています。
最初に捕獲した23匹にマークをつけて放し、1週間後に再度捕獲した18匹の内3匹にマークがあった。

個体数 = 最初の捕獲数×再捕獲数÷再捕獲時のマークあり個数

これをカタツムリに当てはめると、23×18÷3=138

ふ~ん。
ぱっと思いつくのは、以下だ。

・その個体に縄張りを作る習慣はあるか?
・移動速度は?
・回遊性はないか?
・繁殖速度/生存率は?
・マークを付けたことによる生存率低下は?
・測定に適した個体数がいるか?

これらを一切無視して(本では全く触れていない)いるのは、いかがなものか。
標識再捕獲法についての詳細はこちらをどうぞ。

質調整生存年(QALY)

Quality-Adjusted Life Yearの略です。この話を本でしています。
QALYとは医療行為の費用対効果を測定するための方法。
以下Wikipediaからの引用。
1QALYは、完全に健康な1年間に相当する。もしある人の健康が完全ではないならば、その1年間は1以下のQALYとして算定され、死亡すれば0QALYと算定される。いくつかの状況ではマイナスのQALYも算定され、それはその健康状態が「死亡よりも悪い」ことを意味する。・・・イギリスでは、英国国立医療技術評価機構(NICE)が国民保健サービス(NHS)に対して上限を行っており、2013年からは・・・QALYのしきい値を、 £20,000 から £30,000と設定している。
1ポンド150円とすると300~450万円がしきい値とのこと。

これを見ると日本にはイギリスのNICEに相当するものが無いそうです。
OECD加盟国で医療技術評価機関が無いのは日本・アメリカだそうです(これが全てかはわからない)。
アメリカは国民皆保険でないので無くても困らないのでしょうが、日本は頂けませんね。
医療技術の費用対効果の評価と活用費用対効果 評価活用」で各国の事例を紹介しています。

そして、日本も遅ればせながら、2019年4月から薬価について一部適用されたようです。
薬価に「費用対効果評価」4月に本格導入―制度骨子のポイントは』によると、ポイントは以下。
・薬価を下げるために使用
・市場規模が小さいものは対象外(難病など高価だが適用数が少ないものなど)

かなり微妙な使い方。命をお金に変えるのか!なんて批判を恐れて日和ましたね。
医療費を無制限に投入できないのだから、結局はどこかにしきい値が必要になる。
イギリスのように機械的に決めるべきだ。薬価だけではなく全体にイギリスの医療制度を導入すべき。



生と死を分ける数学: 人生の(ほぼ)すべてに数学が関係するわけ
Kit Yates
草思社
2020/9/30

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