農業に関して超胡散臭い二人の対談本③

「農と食の戦後史」を読みました。
第①弾、第②弾
この本は、天笠啓祐 日本消費者連盟顧問、大野和興 日刊ベリタ編集長の二人の対談本です。
「主要農作物種子法」の第一条を見ればわかりますが、この法律は種子開発ではなく、種子生産・普及のためのものです。
「民間企業優先に方針を変えた」というのも大間違いです。
種子法第三条を見ると明らかです。
さすが、日本語を読めない人は違うな~。
種子法が品種開発とは直接関係無いことは先に説明しました。
そのため民間企業の新品種開発を禁止・制限していたわけではありまん(この法律のために阻害はされていました。種子法廃止の理由は民間企業の新品種開発を阻害していたからです)。
アホくさいですが、証拠をお見せしましょう。
株式会社原育種園が、”えぞみどり”という大豆の品種登録を1977/12/24に申請して、1980/03/31に登録されています。
鈴木宣弘東京大学教授は「アジア全体での食料安全保障という考え方」などと言っていてと、大野氏と意見が近いようですね。
※なお、鈴木教授のコラムのタイトルには「アジア全体」とあるが「東アジア」の国しか登場してこない。
以下を見てもらうと食料において東アジアで仲良くすべきとしたら、ミャンマー・タイぐらいであることがわかります(耕地が広く一人当たりの耕地面積が広い国で、輸出余力がある国)。

※「東アジアにおける経済発展と食料政策」より引用
この後、中国に関して意外にまともな事を書いているが、日本のくだりになるとまた怪しくなります。
頭大丈夫ですか?
天笠氏の言っていることをまとめると「TPP参加のために、100種類くらいの国際汎用食品添は、安全性確認がほとんどなされないまま承認された」となります。
片や厚生労働省側の資料を見てみましょう。
「国際汎用添加物の指定」から引用します。
そして、厚労省の同じページでリンクされている「国際汎用添加物の指定の流れ(ロードマップ)」を以下引用します。
96種類ある国際汎用添加物のうち2011年4月8日の閣議決定で食品健康影響評価が簡素化されたのは13品目のみ。
完全にザル審査だったかというとそうではなく、既存文献などで不足があれば追加のデータ取りもするというもの。

2023年に制度が変わりますが、もともと「大豆・トウモロコシ」以外は混入を認めていません(詳細は消費者庁のページ参照)。
そんな現状で、例えば「コイケヤポテトチップス」は「遺伝子組換えでない」と表示できています。
制度が変わる大豆について広島県の「『遺伝子組換え食品』の検査について」にある大豆の検査結果を見てみましょう。

平成30年度~令和2年度で23件の検査をしているが、5%未満が1件、不検出が22件となっている。
「0%などほとんどあり得ない」のですね、ふ~ん。95%以上で不検出を実現できているようです(ちなみに「0%≠不検出」です)。
技術の進歩で今まで生物から抽出してきた化合物を、化学的に生成できるようなりました。
「生物から抽出したもの」と「工業化学的に生成したもの」の区別ができないので止めただけです。
「天然=安全」「人工=危険」の式が完全に成り立っているおバカな主張です。
天然だろうが人工だろうが、安全なものは安全だし、危険なものは危険。
「壊してよい遺伝子などありません」だって。
もしそうだとしたら、最初の遺伝子を持った生物から一切の進化はあり得ず、人間なんてものは存在しえません。
オフターゲットが必ず起きるとは、この人完全にアウトですね。
オフターゲットについては農林水産省の「あなたの疑問に答えます(オフターゲット変異が起きるから危険、なのですか?)」がわかりやすいです。
「重要な遺伝子を壊せば」などと書いているが、そんなのは子孫を残せないし、そんな使えない品種を世の中に出すと思っているのだろうか?
人体などでゲノム編集するのとは全く別ですよ。
そもそも、放射線など使った従来型の品種改良もバリバリ遺伝子壊しています。
放射線の方がよっぽどランダムに切るので、そっちの方がよっぽど危険だが、そんなことは一言も触れていない。
農と食の戦後史
大野 和興、天笠 啓祐
緑風出版
2020/10/1
第①弾、第②弾
この本は、天笠啓祐 日本消費者連盟顧問、大野和興 日刊ベリタ編集長の二人の対談本です。
主要農作物種子法
第一弾でも触れましたが、再登場しています。【天笠】主要農作物種子法も1986年に改正されています。民間企業に門戸を開く、しかも大ぴらげに開くように改正された。それまで自治体の試験場などが開発し、それを国が支援する仕組みだったのを、民間企業優先に方針を変えた。惚れ惚れするほどの大間違いです。
「主要農作物種子法」の第一条を見ればわかりますが、この法律は種子開発ではなく、種子生産・普及のためのものです。
(目的)
第一条 この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とする。
「民間企業優先に方針を変えた」というのも大間違いです。
種子法第三条を見ると明らかです。
(ほ場の指定)種子生産する農場の面積を「都道府県 > 民間」とすべし決めているのです。
第三条 都道府県は、あらかじめ農林水産大臣が都道府県別、主要農作物の種類別に定めた種子生産ほ場の面積を超えない範囲内において、譲渡の目的をもつて、又は委託を受けて、主要農作物の種子を生産する者が経営するほ場を指定種子生産ほ場として指定する。
さすが、日本語を読めない人は違うな~。
【天笠】1986年6月に主要農作物種子法が改正されます。・・この法改正で、主要農産物の新品種開発について、民間企業の開発が可能になりました。ば~か。嘘ばっかつくな!
種子法が品種開発とは直接関係無いことは先に説明しました。
そのため民間企業の新品種開発を禁止・制限していたわけではありまん(この法律のために阻害はされていました。種子法廃止の理由は民間企業の新品種開発を阻害していたからです)。
アホくさいですが、証拠をお見せしましょう。
株式会社原育種園が、”えぞみどり”という大豆の品種登録を1977/12/24に申請して、1980/03/31に登録されています。
安保法制と農業
「安保法制と農業」という見出しで面白いことを色々仰っています。【大野】ざっと16億人から17億人の人口を抱える東アジアというのは、僕は潜在的飢餓地帯と言っているのですが、決定的に食糧が足りない。だから仲良くしなければならない。前の一文には同意するが、なぜそこから「だから仲良くしなければならない」という主張が出てくるのかが全く理解できない。
鈴木宣弘東京大学教授は「アジア全体での食料安全保障という考え方」などと言っていてと、大野氏と意見が近いようですね。
※なお、鈴木教授のコラムのタイトルには「アジア全体」とあるが「東アジア」の国しか登場してこない。
以下を見てもらうと食料において東アジアで仲良くすべきとしたら、ミャンマー・タイぐらいであることがわかります(耕地が広く一人当たりの耕地面積が広い国で、輸出余力がある国)。

※「東アジアにおける経済発展と食料政策」より引用
この後、中国に関して意外にまともな事を書いているが、日本のくだりになるとまた怪しくなります。
【大野】アベノミクスに戻ると、これは結局、経済の軍事化だと思っている。経済だけじゃなくて、科学技術とか文化とか教育とか、全部軍事化していく流れの中にあって、そういう大きな流れの真ん中に座っているのが安保法制だと思う。それに武器輸出がくっつく。TPP後の日本の経済を推進する大きな柱が武器輸出だと思うのです。どう思うのも勝手だが、一つ言っておきましょう。
頭大丈夫ですか?
【天笠】マイナンバーなどの国民総背番号制の施行は、管理強化であるともに、戦争への道をもたらすものです。今後、すべて把握されていきますので、道の駅に黙って出荷して、私的に収入を得るというのができなくなりますね。堂々と脱税していますって白状していますね。
TPP
【天笠】TPPに話を戻しますが、この交渉の過程で参加を前提に、次々に食の安全性で規則が緩和されていった。・・・たとえば、食品添加物で見ると、新しい添加物が次々と承認されている。国際汎用食品添加物ということで、世界で認められている添加物は、安全性確認がほとんどなされないまま次々と承認された。その結果、この間100種類ぐらい増えてしまった。2011年4月8日に政府による規制・制度改革に関わる方針が閣議決定され、それに基づいて「食品添加物の指定手続の簡素化・迅速化」措置がとられた。はい、ダウト!
天笠氏の言っていることをまとめると「TPP参加のために、100種類くらいの国際汎用食品添は、安全性確認がほとんどなされないまま承認された」となります。
片や厚生労働省側の資料を見てみましょう。
「国際汎用添加物の指定」から引用します。
平成14年7月、諸外国で食塩に固結防止の目的で食品添加物として使用されるフェロシアン化物(当時、未指定添加物)が含まれた食品に対する食品衛生上の対応を検討する中で、添加物の規制に関し、国際的に安全性評価が確立して広く使用されているものについては、国際的な整合性を図る方向で、我が国の現行指定制度のあり方についても見直しを行いました。
具体的には、(1)FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)で一定の範囲内で安全性が確認されており、かつ、(2)米国及びEU諸国等で使用が広く認められていて、国際的に必要性が高いと考えられる添加物(国際汎用添加物)については、企業からの要請がなくとも、指定に向け、個別品目毎に安全性及び必要性を検討していくとの方針が、平成14年7月26日開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において了承されました。
そして、厚労省の同じページでリンクされている「国際汎用添加物の指定の流れ(ロードマップ)」を以下引用します。
国際汎用添加物のうち、いまだ指定がなされていない15品目について、「規制・制度改革に係る方針」(平成23年4月8日閣議決定)に基づき実施した「食品添加物の指定手続の簡素化・迅速化」のための措置を踏まえ、全ての品目について既に審議が開始されているところであり、このうち食品健康影響評価が終了している3品目については、平成24年度中を目途に指定する。その他の12品目については、国際汎用添加物の早期指定に向けてリソースを充実させた上で、既に指定された国際汎用添加物の指定に要した期間を踏まえ、追加資料の収集に要する期間を除き、指定までおおむね1年程度を標準とする今後のロードマップを策定・公表し、処理する。事実は、TPP参加表明した2010年(平成22年)より前の2002年(平成14年)に、企業からの要請が無くても審査することが決まった。
96種類ある国際汎用添加物のうち2011年4月8日の閣議決定で食品健康影響評価が簡素化されたのは13品目のみ。
完全にザル審査だったかというとそうではなく、既存文献などで不足があれば追加のデータ取りもするというもの。

【大野】不安を煽れ、という商法がいま、食と医・薬の分野で蔓延している。天笠さんがご指摘の通りです。消費者の不安を作り出し、それを市場化するという商法です。自分のことは良くわからないのですね。不安を煽る商法をしているのが、まさに貴方達です。
【天笠】遺伝子組み換え原料が5%混入しても「遺伝子組み換えではない」と表示できるため、それをEU並みの0.9%まで引き下げることを求めました。しかし、消費者庁が提出した改正案は、全食品表示は求めない、混入率0%にするというものでした。これは明らかに改悪でした。なぜかい悪かというと、0%などほとんどあり得ない上に、ほんのわずかでも検出されると違反とされたからです。そのため「遺伝子組み換えではない」という表示がなくなり、遺伝子組み換え食品表示そのものが消えてしまい、消費者が選べなくなってしあうからです。来ましたね。元農林水産大臣も同じようなこと言っていましたが、両者とも間違いです。
2023年に制度が変わりますが、もともと「大豆・トウモロコシ」以外は混入を認めていません(詳細は消費者庁のページ参照)。
そんな現状で、例えば「コイケヤポテトチップス」は「遺伝子組換えでない」と表示できています。
制度が変わる大豆について広島県の「『遺伝子組換え食品』の検査について」にある大豆の検査結果を見てみましょう。

平成30年度~令和2年度で23件の検査をしているが、5%未満が1件、不検出が22件となっている。
「0%などほとんどあり得ない」のですね、ふ~ん。95%以上で不検出を実現できているようです(ちなみに「0%≠不検出」です)。
【天笠】さらに悪いことに、食品表示基準にある「人工着色料」「合成保存料」といった人工や合成という用語を削除し使わせまいという提案でまとめられたものです。アホすぎますね。
技術の進歩で今まで生物から抽出してきた化合物を、化学的に生成できるようなりました。
「生物から抽出したもの」と「工業化学的に生成したもの」の区別ができないので止めただけです。
「天然=安全」「人工=危険」の式が完全に成り立っているおバカな主張です。
天然だろうが人工だろうが、安全なものは安全だし、危険なものは危険。
【天笠】ゲノム編集技術は遺伝子を壊す技術です。壊してよい遺伝子などありません。・・・さらにゲノム編集を行った生物では、必ず目的以外の遺伝子を壊す「オフターゲット」が起きます。もし、その際に重要な遺伝子を壊せば、生命体にとって大きな影響をがでるだけでなく、環境や食の安全にも影響します。私は、こんなアホなこと恥ずかしくて書けませんね。
「壊してよい遺伝子などありません」だって。
もしそうだとしたら、最初の遺伝子を持った生物から一切の進化はあり得ず、人間なんてものは存在しえません。
オフターゲットが必ず起きるとは、この人完全にアウトですね。
オフターゲットについては農林水産省の「あなたの疑問に答えます(オフターゲット変異が起きるから危険、なのですか?)」がわかりやすいです。
「重要な遺伝子を壊せば」などと書いているが、そんなのは子孫を残せないし、そんな使えない品種を世の中に出すと思っているのだろうか?
人体などでゲノム編集するのとは全く別ですよ。
そもそも、放射線など使った従来型の品種改良もバリバリ遺伝子壊しています。
放射線の方がよっぽどランダムに切るので、そっちの方がよっぽど危険だが、そんなことは一言も触れていない。

大野 和興、天笠 啓祐
緑風出版
2020/10/1
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