ワクチン架空予約報道を新聞はどう評価したか?
毎日新聞と朝日新聞グループのAERA dot.が、ワクチン接種大規模接種センターの予約サイトで、架空の番号で予約できることを手順を含め詳細に報じました。
その行いに対して、新聞各紙が社説でどう論評しているか調べました。
なお、報道した2社は、己の行為に問題がないとの見解を表明しています。
毎日新聞:防衛相、架空入力に抗議 本社「公益性あると判断」
AERA dot.:記事への防衛省の申し入れに対する見解

■毎日新聞:大規模接種の予約開始 見切り発車の不備が露呈
架空の予約が殺到して接種の邪魔になる可能性を知った上で報道したということですね。
■信濃毎日新聞:接種センター予約 官邸の混迷が不備招いた
■読売新聞:大規模接種 スピード重視で流行を抑えよ
■京都新聞:ワクチン承認 円滑な接種態勢整えよ
■東京新聞ワクチン接種 混乱回避に努め着実に
■佐賀新聞(共同通信):国、地方は連携強化を
その行いに対して、新聞各紙が社説でどう論評しているか調べました。
なお、報道した2社は、己の行為に問題がないとの見解を表明しています。
毎日新聞:防衛相、架空入力に抗議 本社「公益性あると判断」
AERA dot.:記事への防衛省の申し入れに対する見解

公益性があるので、問題なし
■朝日新聞:大規模接種 自治体と並行し着実に架空の接種券番号でも予約できてしまう問題については、それを確かめたうえで報じた朝日新聞出版などが、防衛省から「悪質な行為」などと抗議を受けた。しかし、取材過程における予約は真偽を確認するためで、その後キャンセルしたことから、希望者の機会を奪うようなものでもなかった。誰でも予約できるシステムの問題点を指摘した記事には公益性があり、抗議は筋違いだ。
■毎日新聞:大規模接種の予約開始 見切り発車の不備が露呈
架空の予約が殺到すれば、対象の高齢者にしわ寄せが及びかねない。大量の予約がキャンセルされ、円滑に接種が進まなくなる恐れもある。毎日新聞の見解は、最初のリンクから見てください。
架空の予約が殺到して接種の邪魔になる可能性を知った上で報道したということですね。
■信濃毎日新聞:接種センター予約 官邸の混迷が不備招いた
システム不備を検証し報道するため、架空情報で実際に予約した朝日新聞出版と毎日新聞に対し、「悪質な行為で極めて遺憾」と述べた。防衛省は両社に抗議文を郵送している。不備を指摘し、改善を求めるのは、公益にかなう報道の役割だ。予約もすぐに取り消しており、悪質といえない。
システムの不備を棚に上げ、指摘した側に抗議するのは本末転倒だ。報道の自由を侵害し、威圧する行為だ。不備を招いた責任を国民から覆い隠す思惑もあるのではないか。防衛相は発言と抗議文を取り消すべきである。
報道を批判
■産経新聞:ワクチン架空予約 「報道の自由」に値しない結論からいえば、これは認められない。憲法が「公共の福祉に反しない限り」と定めた報道や取材の自由の範囲を明らかに逸脱している。・・・
これに対し両社は「予約はすぐにキャンセルした」「公益性の高さから報道する必要があると判断した」などと正当化している。
だが一連の報道の反社会性については、アエラドットが「防衛省関係者」の指摘として報じた次の内容が証明している。
・・・歯止めがないままの架空入力の手口の実例の指摘は、悪質行為の教唆、奨励と読むことも可能で極めて重大な事態を招きかねない。
■読売新聞:大規模接種 スピード重視で流行を抑えよ
防衛省のシステムで予約が受け付けられない不具合があったのは残念だが、完璧さを求めるあまり、事業が遅れるようでは本末転倒だ。問題が生じたら、その都度、迅速に改善してほしい。
一部の報道機関が、虚偽の情報を入力して予約を取り、その手法を具体的に報じた。適切な取材方法とは言えまい。報道機関は責任を自覚する必要がある。
架空予約について触れるも、報道に対しての評価なし
■日本経済新聞:大規模接種をワクチン停滞の突破口に17日の予約開始日に架空の番号を入力しても予約できることがわかった。アクセスが集中してもシステムに負荷のかからない方法を採用したようだ。ならば、前もって「簡易型」であることを説明しておくべきだった。
■京都新聞:ワクチン承認 円滑な接種態勢整えよ
大規模センターも二重予約や架空予約を防げないシステム不備が明らかになった。希望する人が着実に予約できるよう、改修を進めてほしい。
■東京新聞ワクチン接種 混乱回避に努め着実に
ネットに限定された受け付けでは、自治体が送付した接種券の記載とは違う番号を打ち込んでも予約できたり、入力ミスに気付いて前画面に戻ると予約できなくなるなどの不備が指摘された。
防衛省側は大半の改修を終えたとしているが、入力した番号の間違いに気付かないまま来場するなどの混乱も予想される。接種券や身分証明書などで本人と確認できれば接種を認めるなど、臨機応変に対応することが必要だ。
もともと自治体の予約システムとは連携しておらず、大規模接種会場と市区町村との二重予約の恐れは排除できない。
悪意による二重予約は論外だが利用者には誤って二重予約した場合、どちらかを取り消すよう周知を徹底すべきだ。貴重なワクチンを無駄にしてはならない。
■佐賀新聞(共同通信):国、地方は連携強化を
自衛隊のセンターについては、自治体接種との「二重予約」が防げないなどの問題点も判明した。予約の際に高齢者に注意喚起するほかない現状であり、政府と自治体の情報共有、連携が従来になく重要とみるべきだ。
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