戦前のイネの品種「神力」のシェア20%!多様性ある?

米の日本史-稲作伝来、軍事物資から和食文化まで」を読みました。

わからない事には、わからないと書き、情報が足らず判断できない時には、判断を保留するとする著者の姿勢に良い印象を受けました(デマ屋の真逆の姿勢)。

軍事と米


単位重量当たりの熱量の表がありました。
穀類のカロリー
さつまいもがNo1だと思っていましたが、穀類の方が断然高いですな。

ほしいも百科事典 ほしいも情報満載の干し芋情報サイト:ほしいも統計」を見ると、単位面積当たりの熱量は、さつまいもは米の1.5倍ですね。
この本の趣旨のひとつとして軍事(兵站)との関係性があいます。
単純な生産性だけであれば、さつまいもなのだろうが、保存性・輸送のしやすさから米に軍配が上がるってことですね。

モチ米とウルチ米

モチはウルチに対して劣性になる。
知らなかったですわ。
本でも触れているが、意図をもって育てないとウルチだらけになってしまうってことですな。
(餅の文化についてはこちら参照)

インディカ米 ジャポニカ米は不稔性のため交雑しないってことも書いてありました。
生殖的隔離にはいろいろな現象がみられる。代表的なものは二つの品種を交配して得られた雑種第一植物の不稔性出る。雑種第一代の植物はちゃんと育つが、その種子が稔らない現象が起きる。

そういえば、ダムのかわりに田んぼを使おうって話を最近よく聞くが、農研機構の面白い記事を最近見つけました。
豪雨対策となる水田の洪水防止機能の利活用に向けた湛水管理の条件

穂が出る時期では水に浸かるのを許容できるのは1日未満とのこと。

戦前の米の品種に多様性はあった?

1919年の神力の作付面積は58.7万ヘクタールであったが、これは2014年時点でのコシヒカリの栽培面積(ざっと56万ヘクタール)をなお超えている。
ほう、昔をやたら褒め称える人がいますが、意外に多いですね。

ちなみに、水田が減っているので単純に作付面積では比較できませんね。
1919年と2014年の作付面積を調べました。

総水稲作付面積:294.3万ha(1919年 作物統計調査)
総水稲作付面積:163.9万ha(2014年 作物統計調査)

1919年の神力作付面積シェア   : 58.7/294.3 = 19.9%
2014年のコシヒカリ作付面積シェア: 56/163.9 = 34.2%

まあ、コシヒカリの比率の方が高いが、神力もなかなかですな。

種子法廃止で、多様性が無くなるから廃止は問題だと騒いでいた人がいますが、もともと種子更新率が高い(例えば米どころの新潟県では90%以上)のに何を言っているの?っていうレベルです。

米の日本史-稲作伝来、軍事物資から和食文化まで
佐藤 洋一郎
中央公論新社
2020/2/18

この記事へのコメント

Jun Kaneko
2022年08月22日 20:08
>単位重量当たりの熱量の表

の件ですが、水分が書いていないのでアレですが、通常流通してる生のものならいも類より穀物系の方が水分が低いと思います。故に穀物系の方が保存性もよくカロリーも高くなるのではないかと。