安定感ばっちり ジャガイモに関する誤りばかりのコラム

鈴木宣弘東京大学教授のコラムへのツッコミです。
「崩れる量と質の食料安全保障~ジャガイモもついに~」
今回も間違いだらけです。
関連する法・規則など以下5つあります。
①植物防疫法
②植物防疫法施行令
③植物防疫法施行規則
④平成18年2月1日農林水産省告示第114号告示
⑤アメリカ合衆国産ばれいしょ生塊茎に関する植物検疫実施細則
これらの法などは、アメリカのジャガイモには次のように適用される。
(1)①の法第七条一項の規定により、輸入禁止とする植物を指定できる
(2)(1)に従い③の規則第九条で禁止する植物と地域を指定している
(3)(2)の詳細は③の規則別表二で規定していて、具体的な植物・地域が記されている
ジャガイモシストセンチュウについては、インド・フランス・オーストラリア・アメリカ・カナダなど広範に禁止とされている(ただし、中国など東アジアに指定地域は無い)。
(4)(3)に例外規定があり、アメリカだけは別途作成する基準に則れば輸入可能となる
(5)(4)の基準というのが、④の告示と⑤細則
鈴木教授のコラムで「2020年2月に・・」とあるのは、⑤の細則に関する変更で、
「生食用ジャガイモの全面輸入解禁に向けて・・」とあるのは④の告示に関する話。
なお、冷凍のジャガイモは(3)の規定があるにもかかわらずカナダなどから輸入できている。
それは、検疫を回避する方法があるのだ。
規則第五条の三に規定されていて、冷凍または乾燥+圧縮/細断/破砕されていれば回避可能。
「2020年2月に、農水省は、米国産のポテトチップ加工用生鮮ジャガイモの通年輸入を認める規制緩和を行い」というのはあっていますね。
2月1日から7月31日に制限されていたのを通年にしました(この件のパブリックコメントの結果はこちら)。
FAOのデータによるとアメリカからの2019年の輸入実績は、冷凍ジャガイモの輸入:28.9万トン、ポテトチップ加工用生鮮ジャガイモ:3.1万トンです。
「生食用ジャガイモの全面輸入解禁に向けて協議を始めることに合意した。協議を始める=近々解禁する、と同義と理解される。」
に関しては、どう理解するかは自由なので、好きにしたら良いでしょう。
この件で国会にて農林水産大臣が次のように答弁しています。
また、前年の答弁でも言っているが「WTO協定上、他の加盟国からの協議自体を拒むことはできません」とのこと。
「平成31年3月25日 ジャガイモシストセンチュウに関する病害虫リスクアナリシス報告書」これを読む限り、「生食用ジャガイモの全面輸入解禁」はあり得ないと思いますがね。
■※1 ジフェノコナゾールの発がん性
騙す気満々ですな。
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会の資料ページに結果通知の資料があります。
今回残留基準値を4ppmにしましたが、実験において一般毒性は300ppm以上、発がん性は2,500ppm以上ではじめて発現しています。
基準値の600倍以上で発がん性があるって言われてもね。
議事録から以下を引用しますが、人間への懸念は無いとあります。
IARC の List of Classifications で検索してみて下さい。
■※2 残留基準値 0.2ppm⇒4ppm
さも問題ありそうに書いていますが、Codexに合わせただけです。
この界隈の人達が大好きなEUの基準とジャガイモ・レタスで比べてみましょう。
ジャガイモ:日本 4.0ppm、EU 0.1ppm
レタス:日本:2.0ppm、EU 4.0ppm
各国のジフェノコナゾール残留基準値を一覧にしました。個別の値だけをとってもしょうもないのです。

※ニュージーランド政府の「MPI pesticide maximum residue limit database」、日本の基準はこちらをもとに作成
■※3 日本では収穫後の農薬散布はできない
できないのではなく、必要が無いので、しないだけです。
直ぐ消費されるのに、わざわざコストかけて、農薬が~って言われることをするかっていう話。
詳細はこちら。
※このジャガイモの承認に関する情報は「第752回 食品安全委員会」を参照
まず「RNAi干渉」という言葉がおかしい。
「RNAi」もしくは「RNA干渉」でしょう。
RNAi は、RNA interference の略で interference は"干渉"という意味。
「RNAi干渉」は「RNA干渉干渉」ってことになり、干渉することに干渉するから何もしないってこと?って話になってしまう。
元記事には「RNA干渉」と書かれている。
「RNAi干渉法という遺伝子操作による」とあるが、遺伝子操作によって外部からRNA干渉をもたらす遺伝子を移入しているのであって、RNA干渉によって遺伝子操作が行われたわけではない。
そして「RNAi干渉法とは、RNAを用いて遺伝子の働きを止める技術」とあるが、遺伝子はちゃんと働いているが mRNA の機能を阻害し、目的のタンパク質合成を抑える技術です。
元記事には「組み込んだ外部遺伝子により、本来の遺伝子の発現を抑制する」と正しく書かれています。
そして、最後の「ジャガイモ以外の生物の遺伝子の働きを止めたりする可能性・・」に至っては、元記事には書かれていない。
元記事には「米国・食品安全センターは、安全性がはっきりしていないと指摘し、懸念を表明している。 」とあるが、他の生物の遺伝子を止める可能性があるとは言っていない。
いつものごとく、出典が無いので確認しようがない。
検索したら似たようなことをデマ仲間の天笠啓祐氏の記事「新しい遺伝子操作食品、日本でも続々承認」で見つけました。
その食品安全センターにて”dsRNA”で検索してみたが、中国の動物実験の話は見つからず。
仕方ないので食品安全センターのジャガイモのRNA干渉に関する別の記事を見てみました。
「シンプロット社のジャガイモに関する懸念」ということで、3つ書いてあったので要約します。
・アクリルアミドは、揚げたジャガイモ以外の多くの食品に含まれるので、ジャガイモのアクリルアミドを減らしたからといって、良い結果をもたらすとは限りらない
・子供に対してフライドポテトやチップスなどの揚げ物を食べても大丈夫だと間違った認識をもたらしてしまう
・アスパラギン遺伝子は植物の防御に重要であるので、それを抑制すると農薬の使用量が多くなりコストが上がり生産性が下がる
3つとも食品の安全とは全く関係ありませんな。
ちなみに外部から移入させた遺伝子は全て別品種のジャガイモで、栽培種1つ・野生種2つとのこと(遺伝子組換え食品等評価書のP9)。
RNA干渉についてはこちら参照。
RNA農薬(RNA干渉を利用した農薬)について遺伝子可変させるという、鈴木教授のデマ動画もあります。
「崩れる量と質の食料安全保障~ジャガイモもついに~」
今回も間違いだらけです。
ジャガイモの検疫
従来、米国にはジャガイモシストセンチュウが発生していることから米国産生鮮ジャガイモは輸入を禁止していた。しかし、米国からの要請に応じて、2006年に、ポテトチップ加工用に限定し、輸入期間を2月~7月に限定して輸入を認めてきた。しかし、2020年2月に、農水省は、米国産のポテトチップ加工用生鮮ジャガイモの通年輸入を認める規制緩和を行い、さらに米国の要求を受けて、ポテトチップ用にかぎらない生食用ジャガイモの全面輸入解禁に向けて協議を始めることに合意した。協議を始める=近々解禁する、と同義と理解される。植物防疫法などの規制がどうなっているかを、まず解説します。
関連する法・規則など以下5つあります。
①植物防疫法
②植物防疫法施行令
③植物防疫法施行規則
④平成18年2月1日農林水産省告示第114号告示
⑤アメリカ合衆国産ばれいしょ生塊茎に関する植物検疫実施細則
これらの法などは、アメリカのジャガイモには次のように適用される。
(1)①の法第七条一項の規定により、輸入禁止とする植物を指定できる
(2)(1)に従い③の規則第九条で禁止する植物と地域を指定している
(3)(2)の詳細は③の規則別表二で規定していて、具体的な植物・地域が記されている
ジャガイモシストセンチュウについては、インド・フランス・オーストラリア・アメリカ・カナダなど広範に禁止とされている(ただし、中国など東アジアに指定地域は無い)。
(4)(3)に例外規定があり、アメリカだけは別途作成する基準に則れば輸入可能となる
(5)(4)の基準というのが、④の告示と⑤細則
鈴木教授のコラムで「2020年2月に・・」とあるのは、⑤の細則に関する変更で、
「生食用ジャガイモの全面輸入解禁に向けて・・」とあるのは④の告示に関する話。
なお、冷凍のジャガイモは(3)の規定があるにもかかわらずカナダなどから輸入できている。
それは、検疫を回避する方法があるのだ。
規則第五条の三に規定されていて、冷凍または乾燥+圧縮/細断/破砕されていれば回避可能。
「2020年2月に、農水省は、米国産のポテトチップ加工用生鮮ジャガイモの通年輸入を認める規制緩和を行い」というのはあっていますね。
2月1日から7月31日に制限されていたのを通年にしました(この件のパブリックコメントの結果はこちら)。
FAOのデータによるとアメリカからの2019年の輸入実績は、冷凍ジャガイモの輸入:28.9万トン、ポテトチップ加工用生鮮ジャガイモ:3.1万トンです。
「生食用ジャガイモの全面輸入解禁に向けて協議を始めることに合意した。協議を始める=近々解禁する、と同義と理解される。」
に関しては、どう理解するかは自由なので、好きにしたら良いでしょう。
この件で国会にて農林水産大臣が次のように答弁しています。
○野上国務大臣 生食用バレイショにつきましては、輸入後直ちに加工されることを前提としたポテトチップ加工用とは異なりまして、輸入後に繁殖用として転用可能でありますので、それを経路として国内に病害虫が侵入するリスクが大きいことから、病害虫の侵入防止に向けて、科学的根拠に基づいて引き続きより慎重な検討を行っていく必要があると考えております。まあ、そうでしょうね。
また、前年の答弁でも言っているが「WTO協定上、他の加盟国からの協議自体を拒むことはできません」とのこと。
「平成31年3月25日 ジャガイモシストセンチュウに関する病害虫リスクアナリシス報告書」これを読む限り、「生食用ジャガイモの全面輸入解禁」はあり得ないと思いますがね。
ジフェノコナゾール
加えて、厚労省は、2020年6月、ポストハーベスト(収穫後)農薬として、動物実験で発がん性や神経毒性が指摘されている(※1)殺菌剤ジフェノコナゾールを、生鮮ジャガイモの防カビ剤として食品添加物に指定した。併せてジフェノコナゾールの残留基準値を改定し、ジャガイモについてこれまでの0.2ppmを4ppmと20倍に緩和した(※2)。日本では収穫後の農薬散布はできない(※3)が、米国からの輸送のために防カビ剤の散布が必要なため、食品添加物に指定することで散布を可能にしたのである。色々面白いことを仰ります。
■※1 ジフェノコナゾールの発がん性
騙す気満々ですな。
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会の資料ページに結果通知の資料があります。
今回残留基準値を4ppmにしましたが、実験において一般毒性は300ppm以上、発がん性は2,500ppm以上ではじめて発現しています。
基準値の600倍以上で発がん性があるって言われてもね。
議事録から以下を引用しますが、人間への懸念は無いとあります。
げっ歯動物において肝腫瘍を発現するということはよく知られている現象です。ジフェノコナゾールもそれと同様のメカニズムで、非遺伝毒性学的なメカニズムで肝腫瘍が生じているだろうということが、この試験で確認されているということになります。・・ジフェノコナゾールに関しては、ヒトにおける発がん性、肝発がんの懸念は無い極め付きは、グリホサート(Glyphosate)が国際がん研究機関(IARC)のグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に載っているから危険だとこの界隈では喧伝されているのにもかかわらず、ジフェノコナゾール(Difenoconazole)はどのグループにも属していないのです。
IARC の List of Classifications で検索してみて下さい。
■※2 残留基準値 0.2ppm⇒4ppm
さも問題ありそうに書いていますが、Codexに合わせただけです。
この界隈の人達が大好きなEUの基準とジャガイモ・レタスで比べてみましょう。
ジャガイモ:日本 4.0ppm、EU 0.1ppm
レタス:日本:2.0ppm、EU 4.0ppm
各国のジフェノコナゾール残留基準値を一覧にしました。個別の値だけをとってもしょうもないのです。

※ニュージーランド政府の「MPI pesticide maximum residue limit database」、日本の基準はこちらをもとに作成
■※3 日本では収穫後の農薬散布はできない
できないのではなく、必要が無いので、しないだけです。
直ぐ消費されるのに、わざわざコストかけて、農薬が~って言われることをするかっていう話。
詳細はこちら。
RNA干渉
食品安全委員会は、2017年に、米国シンプロット社が開発した遺伝子組み換え(RNAi干渉法という遺伝子操作による)ジャガイモ(加熱した際に生じる発癌物質のアクリルアミドを低減、打ち身で黒ずむのを低減)を承認し、2019年にも新たな品種を承認、2021年には低アクリルアミドとともに疫病耐病性を付加した2品種が安全と評価された。この記事は「有機農業ニュースクリップ」をもとに書いているようだが、引用元には正しく書かれているのに、鈴木教授が引用すると間違ったものが出てくるって笑えますね。
RNAi干渉法とは、RNAを用いて遺伝子の働きを止める技術だが、目的とする遺伝子の働きを止めるだけでなく、ジャガイモの他の遺伝子の働きを止めたり、ジャガイモ以外の生物の遺伝子の働きを止めたりする可能性があり、様々な生物に劣化などの問題を引き起こしかねないとの指摘がある。
※このジャガイモの承認に関する情報は「第752回 食品安全委員会」を参照
まず「RNAi干渉」という言葉がおかしい。
「RNAi」もしくは「RNA干渉」でしょう。
RNAi は、RNA interference の略で interference は"干渉"という意味。
「RNAi干渉」は「RNA干渉干渉」ってことになり、干渉することに干渉するから何もしないってこと?って話になってしまう。
元記事には「RNA干渉」と書かれている。
「RNAi干渉法という遺伝子操作による」とあるが、遺伝子操作によって外部からRNA干渉をもたらす遺伝子を移入しているのであって、RNA干渉によって遺伝子操作が行われたわけではない。
そして「RNAi干渉法とは、RNAを用いて遺伝子の働きを止める技術」とあるが、遺伝子はちゃんと働いているが mRNA の機能を阻害し、目的のタンパク質合成を抑える技術です。
元記事には「組み込んだ外部遺伝子により、本来の遺伝子の発現を抑制する」と正しく書かれています。
そして、最後の「ジャガイモ以外の生物の遺伝子の働きを止めたりする可能性・・」に至っては、元記事には書かれていない。
元記事には「米国・食品安全センターは、安全性がはっきりしていないと指摘し、懸念を表明している。 」とあるが、他の生物の遺伝子を止める可能性があるとは言っていない。
いつものごとく、出典が無いので確認しようがない。
検索したら似たようなことをデマ仲間の天笠啓祐氏の記事「新しい遺伝子操作食品、日本でも続々承認」で見つけました。
米国の市民団体、食品安全センターは、中国で行われたRNA干渉法で開発した作物を用いた動物実験で、肝臓にdsRNA断片が見つかったことがあり、人や動物に影響を及ぼす可能性があると指摘しています。鈴木教授の引用記事に「米国・食品安全センター」とあったので、米国政府の組織と思いきや市民団体ですか。
その食品安全センターにて”dsRNA”で検索してみたが、中国の動物実験の話は見つからず。
仕方ないので食品安全センターのジャガイモのRNA干渉に関する別の記事を見てみました。
「シンプロット社のジャガイモに関する懸念」ということで、3つ書いてあったので要約します。
・アクリルアミドは、揚げたジャガイモ以外の多くの食品に含まれるので、ジャガイモのアクリルアミドを減らしたからといって、良い結果をもたらすとは限りらない
・子供に対してフライドポテトやチップスなどの揚げ物を食べても大丈夫だと間違った認識をもたらしてしまう
・アスパラギン遺伝子は植物の防御に重要であるので、それを抑制すると農薬の使用量が多くなりコストが上がり生産性が下がる
3つとも食品の安全とは全く関係ありませんな。
ちなみに外部から移入させた遺伝子は全て別品種のジャガイモで、栽培種1つ・野生種2つとのこと(遺伝子組換え食品等評価書のP9)。
RNA干渉についてはこちら参照。
RNA農薬(RNA干渉を利用した農薬)について遺伝子可変させるという、鈴木教授のデマ動画もあります。
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