自称国際ジャーナリストはもう嘘しかつけない③ 憲法編

政府はもう嘘をつけない」を読みました。

第3回は、63ページある『日本に忍び寄る「ファシズムの甘い香り」』がツッコミ対象となります。

日本語おかしくて、正しいか間違っているか判断がつかん!

「2015年パリで起きたテロ事件後に、オランド大統領が発令した『非常事態宣言』には、憲法の規定はありません。
ですが、公の秩序への重大な脅威があると判断された時、一定期間警察権限を強化したり、公共機関の閉鎖やデモ・集会の許可取り消しや国民の移動の自由を制限することが可能になるのです」
なんだ?この日本語は。
「『非常事態宣言』には、憲法の規定はありません。」
ではなく
「憲法には、『非常事態宣言』の規定はありません。」
「『非常事態宣言』は、憲法に規定されていません。」
「『非常事態宣言』は、憲法の規定に基づいたものではありません。」
なら理解できる。

全くわからないが、憲法違反であると言いたいのだろうか?
フランスの憲法16条に非常事態の規定はあります。「2008 年 7 月 23 日のフランス共和国憲法改正」より引用します。
第16条〔非常事態権限〕
1 共和国の制度、国の独立、領土の保全又は国際的取極めの履行が重大かつ切迫した脅威にさらされ、かつ、憲法上の公権力の正常な運営が妨げられた場合には、共和国大統領は、首相、両議院議長及び憲法院に公式に諮問した後に、状況により必要とされる措置をとる。
2 共和国大統領は、教書を発してこの措置を国民に通知する。
3 この措置は、憲法上の公権力機関にその任務を果たすための手段を最短期間のうちに確保させるという意向に基づくものでなければならない。憲法院は、それに関して諮問を受ける。
4 〔この場合に〕国会は、当然に集会する。
5 国民議会は、非常事態権限の行使中に解散することができない。
6 非常事態権限の行使から30日後に、国民議会議長、元老院議長、60人の国民議会議員又は60人の元老院議員は、第1項に定める要件が依然として備わっているか否かの審査のために、憲法院に付託することができる。憲法院は、可及的速やかに公的な意見により裁定する。憲法院は、非常事態権限の行使から60日後はいつでも、当然にこの審査を行い、及び同一の要件により裁定する。
この条項を見る限り、「重大かつ切迫した脅威にさらされ、かつ、憲法上の公権力の正常な運営が妨げられた場合」には『非常事態宣言』できますね。
そのため「一定期間警察権限を強化したり・・・が可能になるのです」は問題ありませんね。

問題があるとしたら、テロが「重大かつ切迫した・・場合」に相当するかどうかの判断が正しかったか?ということぐらいですな。

どちらにしても、最初に日本語が良くわからんので、その後2ページ書いていることがまるで意味無しってことになる。

2016年1月23日
オランド大統領は「非常事態宣言」をさらに3か月延長する方針を決定した。
「無制限が特徴である〈テロとの戦い〉を続ける限り、それを理由に国をずっと緊急事態下においておけるのです。時の為政者にとって、これほど甘い誘惑があるでしょうか?
ねえ、第16条の6項みました?「非常事態権限の行使から60日後はいつでも、当然にこの審査を行い、及び同一の要件により裁定する。」ってありますよ。

フランスの非常事態宣言は、基本的に12日間のみ有効で、それ以上延長するには国会決議が必要です。オランド大統領が延長宣言をした時、3ヵ月なら「非常事態」ではなく「常態」ではないかという非難の声が野党から上がりました
12日間有効で・・というのは「フランス緊急事態法関係法令集」を見るとあっているようです。
そして、この記事によると発令から1週間後に3か月延長の法律ができたそうです。
憲法・法にちゃんと従った有期のものなのに、何を言っているのでしょうね。
この説明を書かないで、上の分だけ見たとき、憲法無視して3ヵ月延長したようにも読めませんかね?


活動家が何か言っているね

熊本でマグニチュード6.5の地震が発生し、同県で震度7が観測された。・・・
地震翌日の4月15日。
自民党の菅官房長官は記者会見で、緊急時に政府の権限を拡大する「緊急事態条項」を憲法に加える必要性について、こう強調した。・・・
この発言に反発した憲法学者の樋口陽一東京大学名誉教授をはじめとする〈立憲政治を取り戻す国民運動委員会〉は、直ぐ怒りの声明文を発表。
「熊本地震をきっかけに、憲法に〈緊急事態条項〉を導入しようとすることは、惨事便乗型全体主義だ。絶対に許されない」
日本の憲法学者は活動家がかなりの割合を占めています。
日本の憲法学者の意見
樋口氏は「集団的自衛権=違憲、自衛隊=違憲、日本学術会議任命拒否=違憲、憲法改正=不要」としているパーフェクト活動家です。
惨事だろうが平時だろうが憲法改正は反対の人です。そんな人の意見に耳を傾ける必要はありません。
詳細はこちら参照。

災害対策基本法を読みました?読んでないだろうな~

熊本地震のくだりの続きです。
これは奇妙な話だった。
なぜなら日本には、既に5つの災害対策法(災害対策基本法、・・)があるからだ。
櫻井氏の言う「緊急事態条項」は、総理大臣が「地方自治体の長に対して必要な指示をする」ことができ、国民は「国その他の機関の指示に従わなければならない」と義務付けている。
 現行の災害対策基本法でも、〈緊急事態宣言〉を出せば政府は一時的に国民の権利を制限することが可能なのだ
コロナの件でもあった話と同じ様なことを言っていますね。
コロナの件では、〈緊急事態宣言〉を出せるが、国民に対してはお願いしか出来ず、権利の制限はできない。
災害対策基本法も同様。
国民の権利や緊急事態に関する条項を引用しましょう(長いので一部カットしたりしていますので、詳細はリンク先参照のこと)。
(災害時における交通の規制等)
第七十六条 都道府県公安委員会は・・・道路の区間を指定して、緊急通行車両以外の車両の道路における通行を禁止し、又は制限することができる。

(緊急措置)
第百九条 災害緊急事態に際し国の経済の秩序を維持し、及び公共の福祉を確保するため緊急の必要がある場合において、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置をまついとまがないときは、内閣は、次の各号に掲げる事項について必要な措置をとるため、政令を制定することができる。
一 その供給が特に不足している生活必需物資の配給又は譲渡若しくは引渡しの制限若しくは禁止
二 災害応急対策若しくは災害復旧又は国民生活の安定のため必要な物の価格又は役務その他の給付の対価の最高額の決定
三 金銭債務の支払(賃金、災害補償の給付金その他の労働関係に基づく金銭債務の支払及びその支払のためにする銀行その他の金融機関の預金等の支払を除く。)の延期及び権利の保存期間の延長
国民の権利を制限できるものを、以下まとめます。

■都道府県の権限において実施
・通行禁止にできる

■内閣の権限において実施
・物資の譲渡・引渡しの制限・禁止
・モノ・サービス価格上限の設定
・債務履行期限の延長

憲法の規定がないので、国が国民の権利を制限できるのは上記3つだけです。
それ以外のことを制限したい場合が急に発生しても、国会開いて法律を作らないと実施不可能。

奇妙なのは、あんたの主張だ!と言いたいね。
災害対策基本法のことを書いているが、読んだのならばそんなアホな主張はしないでしょう。
誰かの受け売りなのか、お得意のデマかどちらでしょうね。

多くの憲法学者が、内容の矛盾と危険性を指摘、野党議員からも厳しく追及されているが、2016年夏の参議院選挙で与党が過半数を取れば、この「緊急事態条項」は確実に閣議決定される。
《数の力=正義》である今の日本の政策決定プロセは、いまかつてないほどに総理と与党自民党にとって、魔法の杖だからだ。
何を言っているのだ?

まず、閣議って立法府(参議院議員・衆議院議員が集う国会)ではなく行政府ですよ。
閣議に出るのは各大臣で、それを任命するのは内閣総理大臣。
内閣総理大臣は国会議員が決めるが、衆議院の投票が優先するので、参議院で過半数を取る・取らないは関係無い。
そして、閣議決定に何の法的拘束力はない。内閣で決められるのは政令までなので、憲法はおろか法律でさえ変更する権限を持たない。

これらのことを総合して、何を言っているのだ?っていうことです。

中学の社会からやり直したら?

民主主義の柱である「三権分立」は、国会議員(立法)が法律を作り、法制局(司法)がそれをチェックし、政府(行政)がそれを実行するという、このプロセスがあって初めて正常に機能する。
法制局と呼ばれるものは3つあります。
内閣法制局
衆議院法制局
参議院法制局

内閣法制局は、内閣が法律案を出す前にチェックする行政に属する組織。
衆議院法制局・参議院法制局は、国会議員が法律案を出す前にチェックする立法に属する組織。

次のくだりが笑えます。
内閣が閣法を国会に提出する前に、その中身が憲法に沿っているか、他の法律との整合性があるか、などをチェックする「内閣法制局」も官僚だ。
おい!あんた、さっき法制局は司法って言いましたよね。
著者も編集者も内閣が行政であると知らないようです。内閣総理大臣って何の長ですかね?

内閣法制局についての詳細はこちら参照。

この後、公務員・官僚の話になるが、会話形式で引用し難いので飛ばします。アホすぎることを語っています。
牛耳っているのは官僚だと言いつつ、その後には、人事権で官僚を掌握していると書いている。支離滅裂すぎます。

珍しいこともあるものだ

アメリカでは国会議員1人に、立法業務をサポートするための人員を国が公費をつけてくれる。日本は第一、第二、政策秘書のたった3人しかおらず、現実的にも話にならない。あちらは平均で下院なら22人、乗員なら44人のスタッフという大人数で、人数制限のない上院に至っては、77人の秘書を持つ議員までいるのだ。
数字があるので、どうせまた違っているだろうと調べると、驚くことにあっている。ただし、77人の秘書がいる議員がいるかどうかは知らないが。

ただし、堤氏の書き方は誤解を招くので補足します。
上院の人数制限はないが、金額の上限はあるので、金額の許す範囲で何人でも雇えるということ。各自の待遇は国会議員が決められるので、安い人なら多く雇える

州によって異なるが、上限金額は次の通り。
下院:約 1 億 4394 万~1 億 6334 万円
上院:約 3 億 7458 万~5 億 9091 万円
※「欧米主要国の議員秘書制度【第 3 版】」より

マジで大丈夫?

「普通は外資に投資してもらうために規制を緩めるのに、日本は国内の色々な規制を取っ払いたいから憲法や現行法に引っかからない特別な地域を作って、ここなら文句ないでしょう、と言って市場原理をどんどん入れている。
手段と目的が完全に逆になっているんです。」
これは、立教大学経済学部の郭洋春教授の『国家戦略特区の正体』という本からの引用とのこと。
堤氏はこれに関して、異論を呈していないので同意しているのでしょう。

特区という名前のものを作れば、規制がなくなるのではない。
法律を作って、特定の地域だけ規制を無効化なり、違うかたちにしているのだ。
法律を作らずして、法律にひっかからないようにはできない。ましてや憲法を回避できるわけがない。
法律作らずして規制を回避する特区を作ったら、違法です。

ちなみに、特区を作るための法律は「国家戦略特別区域法」といいます。
この法律もそうですが、新型コロナ特措法と呼ばれている「新型インフルエンザ等対策特別措置法」も元の法律は修正せず特例を設けています。
いろんな状態が起き得るので、いろんなパターンを各法律本体に埋め込むと訳わからなくなるので、外に出しています。
そうすれば、改正する時に影響するのは基本、その特措法だけになり改正しやすくなります。

こんな憲法無視した発言がさらっと出る人達が、憲法守れとか言うからお笑いですわ。

さらに、合計10カ所で来た特区間でも、当然競争が起きるでしょう。新潟のいわゆる農業特区と東京のいわゆる最先端の特区で、どっちがそれは栄えるかといったら、当然東京の特区が上回る。
これは、先ほど出た郭洋春教授の発言です。
この人もそうですが、デマ屋の特徴として比較できないもの同士を比較します。

農業特区と国際ビジネス特区(上で「いわゆる最先端の特区」と書いてあるやつ)を比較できるわけないし、比較の意味もない。
全く別物なので競争・競合もない。
正にアホの主張です。

この後、真偽不明な情報が延々と続くがとても全て見られないので、『日本に忍び寄る「ファシズムの甘い香り」』へのツッコミはここで終わりにします。

政府はもう嘘をつけない
堤 未果
角川書店
2016/7/10

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