山室真澄教授のワカサギ激減ネオニコ原因説は大ハズレ?

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TBSの報道特集が「最も使われている殺虫剤 ネオニコ系農薬 人への影響は」という番組を放送しました。
これは、東京大学の山室真澄教授が書いて Science に載った論文をベースにしたものです。

①ネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)が田んぼに散布された

②それが宍道湖に流れ込んだ

③それにより、ワカサギの餌である動物プランクトン、キスイヒゲナガミジンコが激減した

④動物プランクトンをエサとしているワカサギが激減した

という内容の論文です。

これに対して、農薬工業会が「TBSテレビ報道特集に関する農薬工業会の見解」という反論記事を書いていました。
今度は農薬工業会に対して、山室教授がブログに反論記事「農薬工業会がTBSのネオニコチノイド報道を批判」を書きました。

山室教授の反論への反論を先週書いた記事「宍道湖のワカサギ減少はネオニコチノイド系農薬が原因?」に追記しようと思ったのですが、衝撃の事実を知ったので別記事にしました。
その内容を以下に記します。



キスイヒゲナガミジンコは1993年5月を境に激減した?

山室教授の反論に次の文があります。
私の論文を予断なく読めば分かると思いますが、ワカサギの餌である動物プランクトンは、宍道湖ではキスイヒゲナガミジンコ1種でほぼ占められます。その動物プランクトンの減少傾向が1993年の10年以前から続いていると主張されていますが、下記が動物プランクトンの生物量の推移です。この図から1993年5月を境に激減しており、それ以前の「減少傾向」なるものと全く異なる状況になっていることが明らかです。
「この図」とあるのは下記の図です。
宍道湖湖心におけるキスイヒゲナガミジンコの現存量
最後の「明らかです」が本当に明らかは疑わしいですが、そんなことどうでも良いレベルの発見をしてしまいました。

宍道湖におけるワカサギ不漁原因の検討とワカサギ、シラウオ資源モニタリング(島根県水産試験場)」
これに個体数推移の情報が載っています。
キスイヒゲナガミジンコの平均個体数
あれれ?キスイヒゲナガミジンコが全然減っていませんね。
この図のst.1-3の意味は、以下図の3地点をあらわしていて、この平均です。
キスイヒゲナガミジンコ調査地点
それに対して、山室教授の方は湖心だけなので、分布が偏ったのかもしれません(st2はほとんどおらず、st1,st3に偏在したのかも。好意的に考えるとこういうケースもあり得る。)。

どちらにしても、キスイヒゲナガミジンコが減っていないので、山室教授の主張は破綻したことになります。
山室教授を含め、まわりの人は島根県水産試験場の資料を見ないものかな?
島根県水産技術センター年報(事業報告書)」にワカサギ関係の資料が沢山あります。

他にも、農薬工業会に山室教授は反論していますが、キスイヒゲナガミジンコが激減していない時点で、山室教授は反論の根拠を喪失したので触れません。

宍道湖のワカサギが減った本当の理由は何なのか?

宍道湖のワカサギが減った理由は「有用水産動物生態調査(ワカサギ、シラウオ)」にありました。
ワカサギの水温と死亡率の関係
この図から、30℃近くになるとワカサギが死んでしまうことがわかります。
そりゃそうですね。宍道湖がワカサギの南限だっていうことは、そういうことです。

大橋川水深 1mにおける 7~9 月の 1 時間毎の観測水温中の 30°Cを越えた観測回数  (S61~H11 国土交通省データ。H12~14 は 内水面水産試験場データ。S63、H1、H3~5 は資料不十分)
そして、この図を見ると平成6年(1993年)に30℃越えが多い。
実際に1993年に死んでいるワカサギを見かけたそうです。

水温に関して、山室教授は考慮しなかったのか?という疑問が起きる。
Scienceへ載った後に山室教授が書いた記事「農薬による湖沼生態系の撹乱 -島根県・宍道湖の例-」に次のようにあります。
水温や塩分,護岸工事や漁獲努力など,考えられるあらゆる要因が 1993 年以前と以後とで有意な差はないことを示し,宍道湖でウナギやワカサギが1993 年を境に激減した原因はネオニコチノイドによって甲殻類を含む餌生物が減少した為と結論しました.
あれ?水温しらべているの?
Scienceの本文添付ファイルで触れているようには見えませんでしたが・・・
化学的酸素要求量:Chemical Oxygen Demand、溶存酸素:Dissolved Oxygen、塩素濃度:Chlorinity については書いてありましたがね。

この現象を山室理論で説明してください

山室教授のブログを見ていたら「宍道湖で1993年以降ウナギとワカサギがとれなくなった原因はネオニコチノイド」というのを見つけました。
日本は欧米と違って主食が米です。水田にまかれた水溶性かつ難分解性のネオニコチノイドは、川や湖に直接流出して、その生態系に影響を及ぼします。小麦ですと土壌を通って地下水として供給されるので、日本ほど大きな影響を与えにくく、そのことでこれまで、魚類への影響が見過ごされてきたのだと思われます。
こちらに北海道の網走湖でキスイヒゲナガミジンコがメインなのに、そっちが減らないのはおかしくないですか?って書きました。
網走市周辺は田んぼではなく、小麦などの畑メインなので、上記のような反論が来そうだなと思ったので、先に書いておきます。

八郎潟および八郎湖におけるプランクトン研究」には次のようにあり、主となる動物プランクトンは宍道湖とあまり変わらなそうです。
卓越種の Sinocalanus tenellus(キスイヒゲナガケンミジンコ) は 4、5 月に個体数が多く、6月以降減少し、9 月に再び増加を始めて 11 月に最高を示し、12 月に減少するし、輪虫類で多く見られた Keratella cruciformis(シオミズカメノコウワムシ)は 4、5 月にやや多く、6~10 月は減少し、11 月に約 20 倍に増加して最高を示したあと 12 月に減少したと報告している。

農業 | 大潟村百科事典」によると、平成21年時点で約9割が田んぼなので、宍道湖周辺より比率は高いだろう。

そして、朝日新聞の「ネオニコ系農薬、八郎湖で高濃度検出 生態系影響に懸念」には次のようあります。
木口准教授によると、八郎湖での今回の調査で検出されたネオニコ系農薬の濃度は、産総研などの同じ研究グループが18年度に宍道湖で調べた時より1桁から3桁高いという。

 一方で、秋田県の統計などによると、八郎湖での漁獲量は、ワカサギは1999年に273トン、昨年は198トン、シラウオは99年は10トン、昨年17トンなど、増減しつつも捕れ続けている。

 木口准教授は、「宍道湖ではネオニコ系農薬でワカサギが捕れなくなった可能性が指摘されているが、八郎湖では捕れ続けている。ネオニコ農薬が生態系にどう影響しているのか、濃度と生態系の両面からしっかりと調べていく必要がある」と指摘する。
ネオニコチノイドの濃度が宍道湖の1桁から3桁多いらしいが、ワカサギは減っていない。

これらも山室教授の主張を否定する根拠になると言えるでしょう。

この記事へのコメント

2023年09月11日 09:20
 論理的な御主張拝読しました。すっきりしました。私は陸水学とは無縁ですが、郷里の宍道湖のアオコが気になり調べ始めました。島根県は宍道湖の水質管理につき、山室教授を座長とする諮問員会をつくりました。山室教授に座長をは思い込みで仕事する人です。アオコ発生は塩素イオン濃度×気温×越境汚染のせいとして、アオコ発生防止策に踏み込まず、2012年のアオコ大発生による自浄作用でレジームした宍道湖の水草の繁茂を農薬の使用減のせいとしただけでなく、2016年(彼女は会長だった)の陸水学会誌に筆頭著者として、6月の水温と翌年のシジミ漁獲量の相関式を提案しました。水温はほぼ一定。シジミの漁獲量は右肩下がりの中、直近3年間の水温として6/1の値を採用し偽相関を作り上げました。私は誤りを指摘しましたが、本人は認めず、陸水学会も逃げました。東大の研究に関する倫理員会にも提訴しましたが、データの改竄ではないので倫理規定違反ではないと中間報告してきて、最終報告はありません。彼女は理系の基礎学力、論理的思考能力と道徳心を
欠いています。