自称国際ジャーナリストはもう嘘しかつけない⑤ 異次元脳編

政府はもう嘘をつけない」を読みました。

第5回は、58ページある『「脳内世界地図」をアップデートせよ!』がツッコミ対象となります。

あなたの脳内はどうなっているの?

2008年にIMFの融資条件を受け入れ医療費を40%削減したギリシャでは、国民の健康状態が急激に悪化し、地獄絵図になったという。・・・
障害者のセーフティーネットも次々に外された。注射針の使い回しでHIV感染者数が倍増、乳幼児死亡率が40%に跳ね上がり、路上に病気のホームレスがあふれかえる中、子供を捨てる親も出始めた。
本当に大丈夫?この人。
「乳幼児死亡率が40%」ってドエライことですよ。

世界銀行のデータによると、
1960年以降での乳幼児死亡率の最高は、1963年のマリの 42.1%
2000年以降での乳幼児死亡率の最高は、2000年のシエラレオネの 22.8%
です。

こう書いた時点で、ギリシャの40%が大間違いだとわかるでしょうが、一応グラフ作ったのでを載せておきます。
乳幼児死亡率
40%に跳ね上がりは論外だが、40%上昇と書いても話にならない。
10%強増えましたが、それでもカナダ・アメリカより低いのです。
最初G7+ギリシャのグラフにしたのだが、フランス・イギリスの値がギリシャと近いので外しました。
2015年で見ると、フランス:4.1(0.41%)、イギリス:4.5(0.45%) なのです。

HIV感染者数も見てみましょう。
ヨーロッパの国別の新規HIV診断数
欧州疾病予防管理センターのデータより作成

まあ、倍増っていうのは正しいでしょうけど、ピークでイギリスと大して差がないのです。
俯瞰的に物事をとらえる能力がないようですね。

医療とセーフティーネットを切り捨てたことで、ギリシャは〈経済危機〉を〈健康危機〉にまで広げてしまいました。
上記の2つのグラフを見てもらえばわかりますが、〈経済危機〉の前は先進国よりも良い状況でした。
身の程に合わないことをしていたのが是正されたと考えるべきでは?
まあ、堤氏は参照しているデータが間違っている(または嘘を言っている)ので、狂った結論が出てくることに何の違和感もないが。

ギリシャは×で、アイスランドは○?

ギリシャがダメでその真逆をしたとしてアイスランドを褒めています。
2009年1月。
怒りを爆発させた約3000人(人口の約1%)のアイスランド国民が、国会議事堂前を取り囲んだ。
・・・
内閣は総辞職、首相も辞任する。
国民の真っ当な疑問の声は、翌年3月の国民投票につながり、グリムソン大統領はその結果に沿った政策を実施した。
・・・医療費を切り捨てたギリシャが、今もさらなる借金地獄と国民生活の崩壊に苦しむ一方で、思い切って医療費を増額したアイスランドは、その後も順調に経済を回復させ、借金も返済、2012年以降はユーロ圏でも目を見張る成長を遂げている。
まず、医療費から見てみましょう。

アイスランドの一人当たりの政府支出医療費
世界銀行の「Domestic general government health expenditure per capita (current US$)」より作成

おかしいですね。上の記述だと2011・2012年あたりには「思い切って医療費を増額」していないといけないが、ほとんど変わっていないですね~。

そもそも、アイスランドは医療費かけすぎ。日本の2018年は3587USDです。5000ドル超えってアメリカなどと同レベル。

政府はもう嘘をつけない
堤 未果
角川書店
2016/7/10

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