疑惑が深まった宍道湖のワカサギ激減ネオニコチノイド原因説
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TBSの報道特集が「最も使われている殺虫剤 ネオニコ系農薬 人への影響は」という番組を放送しました。
これは、東京大学の山室真澄教授が書いて Science に載った論文をベースにしたものです。
山室教授説に対するツッコミ第三弾です。
過去分は第一弾、第二弾
振り返りですが、山室教授説は、ワカサギのエサであるキスイヒゲナガミジンコ(Sinocalanus tenellus)がネオニコチノイド系農薬によって激減したのでワカサギも激減したというものです。

このグラフは、国土交通省出雲河川事務所の非公開データから作っているそうです。
これに関する新たな資料を見つけました。
山室教授が座長をしていた(今は別の人がしている)「汽水湖汚濁メカニズム解明調査ワーキンググループ」の資料となります。
このワーキンググループ(以降WG)で使っている資料に山室教授の資料と同じデータをもとにしていると思われるグラフ(以降、資料①)を発見したのです。
以下のグラフは、山室教授の資料と国土交通省の資料を合体したものです。

(2009年など山室教授のグラフでは範囲外になっているところで、キスイヒゲナガミジンコが十分回復しているのですよね。なんで途中で切れているのでしょうね?)
WGでも平成6年から平成16年で動物プランクトンが減っているのは何だ?っていう話になりました。
そして、WGの事務局側で調べたのですが、原因を特定するために必要な資料等が残っておらず、原因不明との結論(以降、資料②)に至っています。以下その資料から一部引用します。
■おかしな点その1 シラウオがエサである動物プランクトンが少ないはずなのに増えている
資料①②より、キスイヒゲナガミジンコが動物プランクトンにおいて優占種であることに変わりがないことがわかります。
それが事実であるならば、動物プランクトンをエサとする全て(例えば、シラウオとか)が減少しなければならない。
しかし、以下のグラフから1998年(平成10年)シラウオは増えているので、キスイヒゲナガミジンコ以外の動物プランクトンが増えていなければならない。

しかし、以下を見てもらうと平成10年は全動物プランクトンは少ない(グラフの上は全動物プランクトンで、下はキスイヒゲナガミジンコなどのグラフ)が、シラウオが増えているので大きく矛盾する。

※資料①より引用
なお、シラウオ・ワカサギともに4月頃孵化して、動物プランクトンをエサにして成長します。
シラウオの生態については第一弾参照のこと。
■おかしな点その2 平成16年(2004年)以降軒並み動物プランクトンが回復している
山室教授の資料では、2004年に少しキスイヒゲナガミジンコが回復したように描かれている。
山室教授は、Scienceのサイトに投稿されたコメントに対して次のように返しています。
ですが、下を見て下さい。

キスイヒゲナガミジンコだけでなく、他の動物プランクトンも同時に回復しているのです。
複数種が同時期に耐性を得て個体が爆発的に増加するって、とても素晴らしい偶然ですね(「根拠の無い推測×物凄い確率の低い偶然」でないと説明できない説ってどうですかね?)。
キスイヒゲナガミジンコを含む動物プランクトンが回復したにも関わらず、ワカサギが回復していないのは何故でしょうね?
仮に1993年のワカサギの減少がネオニコチノイドが理由だったとしても、2004年以降ワカサギが回復していない理由をネオニコチノイドでは説明できない。
山室教授は、高水温が原因でワカサギが回復しないのはデマと言っていますが(後述)、そうならば山室教授説もデマになりませんか?
■おかしな点その3 島根県のデータではキスイヒゲナガミジンコが減っていない
第二弾でも書きましたが、島根県水産試験場の資料ではキスイヒゲナガミジンコが減っていないのです。

※別の資料「中海・宍道湖漁場環境基礎調査 定期観測基礎調査」によると、1994年(平成6年)夏、前年に比べ1/10程度に減ったとある。減った理由は高水温・高塩分だと書かれている。
このように、山室教授は、色々怪しい国土交通省出雲河川事務所のデータをもとにしているのです。
元データがあやしいのならば、そこから導かれた結論の信憑性はどうなるでしょう。
ブログより引用します。
そのため、資源回復しない直接原因が高水温であるとは言えないでしょう。
だが、それはデマと言い切れるのでしょうか?もう少し見ていきましょう。

これからは、水温と漁獲量の間に何の相関も見られませんね。
ちなみに1999年~2019年で8月の最高水温30℃超の日が最も多かったのは23日の2010年(平成22年)でした。

平成22年は最近の漁獲量ピークで、その翌年からはトレンドとして減る傾向が見られるが、水温がきっかけかはわからない。
ただし「2010年夏季の霞ヶ浦におけるワカサギのへい死の発生とワカサギの生存可能な上限水温の推定」によると宍道湖と同様にへい死したワカサギがいたそうです。
霞ヶ浦は、宍道湖よりも水温が高いのに相対的にワカサギが減っていないのは、逆に平均水温が高いからではないかと思える。
山室教授のブログの赤字部分がそれを示唆しています。宍道湖は夏の時点で十分成長していないので高水温への耐性が低く、霞ヶ浦は成長しているので耐性があると。
ちなみに、島根県の「耳石 Sr:Ca と採集調査から推定された宍道湖産ワカサギの回遊パターン」は、なかなか興味深い。
昔も今も斐伊川などの河口あたりが産卵場所であることに変わりはない。
だが、宍道湖にずっといるタイプと中海や海に出るタイプがいて、今は後者がメインだが豊漁期は前者がメインであるとのこと。
上記回遊パターンの変化が資源回復しない理由だとすると、高水温が間接的な原因と言えるかもしれない。
『「宍道湖でワカサギが減ったままなのは地球温暖化が原因」というデマ』
『「宍道湖でワカサギが減ったままなのはネオニコチノイドが原因」というデマ』
どちらがデマの可能性が高いのでしょうかね?
これは、東京大学の山室真澄教授が書いて Science に載った論文をベースにしたものです。
山室教授説に対するツッコミ第三弾です。
過去分は第一弾、第二弾
振り返りですが、山室教授説は、ワカサギのエサであるキスイヒゲナガミジンコ(Sinocalanus tenellus)がネオニコチノイド系農薬によって激減したのでワカサギも激減したというものです。
そのデータ信用できますか?
山室教授説の根本はキスイヒゲナガミジンコの激減です。以下は教授の資料からの引用ですが、1993年を境に減っていますね。
このグラフは、国土交通省出雲河川事務所の非公開データから作っているそうです。
これに関する新たな資料を見つけました。
山室教授が座長をしていた(今は別の人がしている)「汽水湖汚濁メカニズム解明調査ワーキンググループ」の資料となります。
このワーキンググループ(以降WG)で使っている資料に山室教授の資料と同じデータをもとにしていると思われるグラフ(以降、資料①)を発見したのです。
以下のグラフは、山室教授の資料と国土交通省の資料を合体したものです。

(2009年など山室教授のグラフでは範囲外になっているところで、キスイヒゲナガミジンコが十分回復しているのですよね。なんで途中で切れているのでしょうね?)
WGでも平成6年から平成16年で動物プランクトンが減っているのは何だ?っていう話になりました。
そして、WGの事務局側で調べたのですが、原因を特定するために必要な資料等が残っておらず、原因不明との結論(以降、資料②)に至っています。以下その資料から一部引用します。
・個体数の換算ミス:検鏡時の計数値→個体数密度(単位体積当たりの個体数)の換算については過去に遡って検証が出来ない。このように、山室教授の説は、検証もできない不確かなデータを根拠にしているのです。
・個体数単位の変更・ミス:過年度報告書を見る限り単位の変更はなく、単位の取り違えによるミスはないと思われる。
・炭素量単位の変更・ミス:過年度報告書を見る限り単位の変更はなく、単位の取り違えによるミスはないと思われる。
■おかしな点その1 シラウオがエサである動物プランクトンが少ないはずなのに増えている
資料①②より、キスイヒゲナガミジンコが動物プランクトンにおいて優占種であることに変わりがないことがわかります。
それが事実であるならば、動物プランクトンをエサとする全て(例えば、シラウオとか)が減少しなければならない。
しかし、以下のグラフから1998年(平成10年)シラウオは増えているので、キスイヒゲナガミジンコ以外の動物プランクトンが増えていなければならない。

しかし、以下を見てもらうと平成10年は全動物プランクトンは少ない(グラフの上は全動物プランクトンで、下はキスイヒゲナガミジンコなどのグラフ)が、シラウオが増えているので大きく矛盾する。

※資料①より引用
なお、シラウオ・ワカサギともに4月頃孵化して、動物プランクトンをエサにして成長します。
シラウオの生態については第一弾参照のこと。
■おかしな点その2 平成16年(2004年)以降軒並み動物プランクトンが回復している
山室教授の資料では、2004年に少しキスイヒゲナガミジンコが回復したように描かれている。
山室教授は、Scienceのサイトに投稿されたコメントに対して次のように返しています。
動物プランクトンの個体数が2004年5月以降、おそらくネオニコチノイドに対する耐性を発達させることによって回復し始めた可能性があることを示唆しています。
ですが、下を見て下さい。

キスイヒゲナガミジンコだけでなく、他の動物プランクトンも同時に回復しているのです。
複数種が同時期に耐性を得て個体が爆発的に増加するって、とても素晴らしい偶然ですね(「根拠の無い推測×物凄い確率の低い偶然」でないと説明できない説ってどうですかね?)。
キスイヒゲナガミジンコを含む動物プランクトンが回復したにも関わらず、ワカサギが回復していないのは何故でしょうね?
仮に1993年のワカサギの減少がネオニコチノイドが理由だったとしても、2004年以降ワカサギが回復していない理由をネオニコチノイドでは説明できない。
山室教授は、高水温が原因でワカサギが回復しないのはデマと言っていますが(後述)、そうならば山室教授説もデマになりませんか?
■おかしな点その3 島根県のデータではキスイヒゲナガミジンコが減っていない
第二弾でも書きましたが、島根県水産試験場の資料ではキスイヒゲナガミジンコが減っていないのです。

※別の資料「中海・宍道湖漁場環境基礎調査 定期観測基礎調査」によると、1994年(平成6年)夏、前年に比べ1/10程度に減ったとある。減った理由は高水温・高塩分だと書かれている。
このように、山室教授は、色々怪しい国土交通省出雲河川事務所のデータをもとにしているのです。
元データがあやしいのならば、そこから導かれた結論の信憑性はどうなるでしょう。
それってデマ?
山室教授はブログに『「宍道湖でワカサギが減ったままなのは地球温暖化が原因」というデマ』という記事をあげていました。ブログより引用します。
下記地元水産試験場の報告ではシラウオも夏場の高水温に弱いこと、ワカサギが減ったのは高水温だけでは説明できないことが書かれています。確かに、高水温が続いたわけではないのにワカサギの資源が回復していない。
https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/suisan/shinkou/suigi/publish/jigyouhou/2001/naisuimen.data/01-3-a.pdf
そのため、資源回復しない直接原因が高水温であるとは言えないでしょう。
だが、それはデマと言い切れるのでしょうか?もう少し見ていきましょう。
宍道湖はワカサギの自然分布の日本海側の南限で、高水温リスクが高いのは事実です。では太平洋側の南限はどうでしょう?それは霞ヶ浦ですが、霞ヶ浦では冬になる前にまるまる太ったワカサギが漁獲され、「夏ワカ」として売り出されています。その霞ヶ浦の水温上昇度は、宍道湖の約2倍です。出典は下記です。霞ヶ浦の岸に近い観測地点の水面から20cmのところで観測したデータ「霞ヶ浦臨湖実験施設気象データベース」と「霞ヶ浦北浦におけるワカサギの漁獲量の推移」から関係性をグラフにしてみました。
https://www.env.go.jp/water/honpen_kikouhenndoueikyohyoukatebiki.pdf

これからは、水温と漁獲量の間に何の相関も見られませんね。
ちなみに1999年~2019年で8月の最高水温30℃超の日が最も多かったのは23日の2010年(平成22年)でした。

平成22年は最近の漁獲量ピークで、その翌年からはトレンドとして減る傾向が見られるが、水温がきっかけかはわからない。
ただし「2010年夏季の霞ヶ浦におけるワカサギのへい死の発生とワカサギの生存可能な上限水温の推定」によると宍道湖と同様にへい死したワカサギがいたそうです。
霞ヶ浦は、宍道湖よりも水温が高いのに相対的にワカサギが減っていないのは、逆に平均水温が高いからではないかと思える。
山室教授のブログの赤字部分がそれを示唆しています。宍道湖は夏の時点で十分成長していないので高水温への耐性が低く、霞ヶ浦は成長しているので耐性があると。
ちなみに、島根県の「耳石 Sr:Ca と採集調査から推定された宍道湖産ワカサギの回遊パターン」は、なかなか興味深い。
昔も今も斐伊川などの河口あたりが産卵場所であることに変わりはない。
だが、宍道湖にずっといるタイプと中海や海に出るタイプがいて、今は後者がメインだが豊漁期は前者がメインであるとのこと。
上記回遊パターンの変化が資源回復しない理由だとすると、高水温が間接的な原因と言えるかもしれない。
『「宍道湖でワカサギが減ったままなのは地球温暖化が原因」というデマ』
『「宍道湖でワカサギが減ったままなのはネオニコチノイドが原因」というデマ』
どちらがデマの可能性が高いのでしょうかね?
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