本当は怖くない長持ち食品① 加工肉編
『本当は怖い! こんな「長持ち食品」』を読みました。
この本の著者は、日本オーガニックレストラン協会の南 清貴代表理事です。
団体の名前から、どんな内容の本かは想像できそうですね。
Amazonのレビューを見ると2つコメントがあり「典型的なトンデモ本」「これはある種の霊感商法ではないのですか?」というタイトルがついていた。
世の中、まんざらでもないかとちょびっと思いました。
「化学反応・化学物質=悪」という思想なのだろうか?
自然のピンク色も化学反応・化学物質の話なのだが。
「問題視しなければいけないのは、その使用量です」というのはその通りで、亜硝酸イオンのADI(一日許容摂取量)は 0.07 mg/日/kg体重 でそれが守られるように制度がつくられています。
では「加工肉を1日50g食べると、大腸がんのリスクが18%アップする」というが、それだけの量を取っているのでしょうか?
「肉の摂取量が増えると早死リスクが高まる」によると、2017年の調査では男性15.0g、女性11.7gとのことです。
※最新の調査結果は厚生労働省の「国民健康・栄養調査」から見られます。
国立がん研究センターの「赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて」によると「加工肉(ハム・ソーセージなど)摂取、日本人の一般的なレベルなら大腸がんリスクとならない」とあります。
何事も量の問題ですが、それを説明しない著者は不誠実であると言えるでしょう。
※ボツリヌス菌のことを書いているのは、他のデマ屋(東大教授・自称国際ジャーナリスト・元農林水産大臣など)とはちょっと違うようです。
安価に提供できるのは、木っ端の鮮度の落ちたものなどを使っているからです。
著者はそれを悪だと断じているようです。
しかし、それらを消費することはフードロスを減らすことになるし、食料品全体の値段を下げる=飢餓を減らす、または動物性タンパク質摂取を維持することになります。
加工肉に使っていたものが食用にされなければ、必然的に全体の値段は上がりますね(中学生にもわかる需要と供給の問題)。
確かに”かさ増し”している食品は色々ありますが、それとこれとは別の問題。
日本骨粗鬆症学の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015 年版」より以下を引用します。

リンの過剰摂取は骨粗鬆症の原因となりますが「過剰摂取」と「摂りすぎる」では受け取るイメージが違いますね。
どの程度が過剰摂取と言えるのでしょうか?
国立健康・栄養研究所の『「健康食品」の安全性・有効性情報』によると、成人男性の目安量は1000mg/日、成人女性で800mg/日、耐容上限量はともに3000mg/日です。
過剰摂取と言うと3000mg/日を指すのでしょう。
では、どのくらい摂取しているのでしょう?
「Q.練りものに添加されるリン、大丈夫?」より引用します。
現状の2倍以上摂ると著者の言うところの「摂りすぎると」に当たるのですね。
それだけ摂れば、塩分摂りすぎなど他の問題が出るでしょうね。
単に■■■が危ないという著者の胡散臭いことよ。量を言えよ!
後が正しいとすると「あらゆる危険な食品添加物」ではなく「あらゆる安全な食品添加物」でなければおかしい。
ただし「食品添加物は、その一つ一つは安全だと証明されています」の「安全だと証明されています」はおかしいのだけどね。
「安全」とは「許容できないリスクが確認されていない状態」を指すので「許容できない未知のリスク」はあるかもしれないのです。
一つのモノを完全に理解することは基本的にできないので、「安全」であることの「証明」は基本的に不可能。
著者は自身が「安全」を全く理解していないことを、この文章で告白していることになります。
このことから、著者が言う「安全」「危険」は、かなり眉唾物だと思って読むべきことがわかります(まあ、書名からして胡散臭いのだけど)。
「安全だと証明されています」とちょっと前に書いておいて「安全かどうかは実験による結果でしょうが」ですか。
何をもって安全であるとしているか知らずに「安全だと証明されています」と書いていたんですか?
しかも、急性毒性試験しかしていないと言うとは、モグリもいいところです。
下記を見てもらえばわかりますが、慢性毒性・遺伝毒性などやります。

※食品安全委員会の「食品添加物のリスクについて」より引用
急性毒性試験だけでOKであれば、さぞかし開発コストが下がるでしょうが、実際はそんなことはありません。
2mgの1/30は0.07gでしょうか?
2mg÷30=0.002g÷30=0.00007g ですね。単位もわからないとは。
1日許容摂取量は、基本ラットなどの動物実験で毒性が出なかった量の最大値をベースに決められます。
ラットよりヒトの方が毒に対して弱い可能性がある(一般的には個体が大きい方が感受性が低い)ので10分の1に、
個体差があるのでそれで10分の1、
計、動物実験の100分の1の量を1日許容摂取量としているのですよ。
まあ、急性毒性試験しかしないと言っているおバカですから、仕方ないですけどヒドイものです。
本当は怖い! こんな「長持ち食品」: レトルト、冷凍、総菜、加工食品、輸入品、調味料
南 清貴
三笠書房
2019/5/17
この本の著者は、日本オーガニックレストラン協会の南 清貴代表理事です。
団体の名前から、どんな内容の本かは想像できそうですね。
Amazonのレビューを見ると2つコメントがあり「典型的なトンデモ本」「これはある種の霊感商法ではないのですか?」というタイトルがついていた。
世の中、まんざらでもないかとちょびっと思いました。
加工肉でがんになる?
亜硝酸ナトリウム自体には色はついていませんが、これが食品の成分と化学反応を起こすことによって、鮮やかな色が付きます。・・・豚肉はもともとミオグロビンと呼ばれる赤い色素があるのですが、豚肉を切ってしまうと、時間の経過とともに、黒ずんでいきます。太字は著者がそうしていたので、引用でもそうしました(以降同様)。
・・・
国際がん研究機関(IARC)は2015年10月、加工肉は人に対して発がん性があると発表しました。さらに、加工肉を1日50g食べると、大腸がんのリスクが18%アップするとも発表しています。
・・・
そしてこの亜硝酸ナトリウムは同時に、毒性の高いボツリヌス菌を殺すためにも必要です。ボツリヌス菌が原因で食中毒を起こすとその症状は重く、乳幼児では命の危険もあるので、
「食中毒を防ぐためならしかたがないかも」・・・・・・。
確かにその通りです。
ただ、問題視しなければいけないのは、その使用量です。
「化学反応・化学物質=悪」という思想なのだろうか?
自然のピンク色も化学反応・化学物質の話なのだが。
「問題視しなければいけないのは、その使用量です」というのはその通りで、亜硝酸イオンのADI(一日許容摂取量)は 0.07 mg/日/kg体重 でそれが守られるように制度がつくられています。
では「加工肉を1日50g食べると、大腸がんのリスクが18%アップする」というが、それだけの量を取っているのでしょうか?
「肉の摂取量が増えると早死リスクが高まる」によると、2017年の調査では男性15.0g、女性11.7gとのことです。
※最新の調査結果は厚生労働省の「国民健康・栄養調査」から見られます。
国立がん研究センターの「赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて」によると「加工肉(ハム・ソーセージなど)摂取、日本人の一般的なレベルなら大腸がんリスクとならない」とあります。
何事も量の問題ですが、それを説明しない著者は不誠実であると言えるでしょう。
※ボツリヌス菌のことを書いているのは、他のデマ屋(東大教授・自称国際ジャーナリスト・元農林水産大臣など)とはちょっと違うようです。
なぜ加工肉は安い?
大貫豚とは、繁殖用に育てられている豚のことです。文字通り、標準的な豚より大きなサイズです。もともと食肉用としてとだてられていないため、肉質は硬く、普通の食用肉として出荷できるようなものではありません。・・・普通に売っている豚肉と同じ材料・鮮度で加工肉を作れば高くなりますわ。
このような、本来ならおいしく食べるのには向いていない肉が、ひき肉にされたり、ハムやベーコンなどの加工肉に使われたりしていることがあります。
第一、豚肉そのものに比べて、それに手間をかけて加工して作られているハムやベーコンやソーセージのほうがより安いのはヘンではありませんか。
豚の原材料に加工賃が加わるのですから、本来なら、豚肉よりも肉加工品の方が効果になっていて当然です。
豚肉100gより、ハム100gの方が安くなっている裏には、原材料の安さとともに、水分や食品添加物などで何らかの”かさ増し”がされていることも理由の一つです。
安価に提供できるのは、木っ端の鮮度の落ちたものなどを使っているからです。
著者はそれを悪だと断じているようです。
しかし、それらを消費することはフードロスを減らすことになるし、食料品全体の値段を下げる=飢餓を減らす、または動物性タンパク質摂取を維持することになります。
加工肉に使っていたものが食用にされなければ、必然的に全体の値段は上がりますね(中学生にもわかる需要と供給の問題)。
確かに”かさ増し”している食品は色々ありますが、それとこれとは別の問題。
「摂り続けると骨がスカスカに?」って量を言えよ!
リン酸塩の何が危険なのかというと、摂りすぎるとミネラル不足に陥るということです。
私たちの健康に欠かせないカルシウムは、リンと結合することによって体外に排出されてしまいます。それだけではなく、同時にカルシウムの吸収も妨げてしまいます。
その結果、骨がスカスカになったりもろくなったりする、骨粗しょう症を招く恐れがあるのです。
日本骨粗鬆症学の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015 年版」より以下を引用します。

リンの過剰摂取は骨粗鬆症の原因となりますが「過剰摂取」と「摂りすぎる」では受け取るイメージが違いますね。
どの程度が過剰摂取と言えるのでしょうか?
国立健康・栄養研究所の『「健康食品」の安全性・有効性情報』によると、成人男性の目安量は1000mg/日、成人女性で800mg/日、耐容上限量はともに3000mg/日です。
過剰摂取と言うと3000mg/日を指すのでしょう。
では、どのくらい摂取しているのでしょう?
「Q.練りものに添加されるリン、大丈夫?」より引用します。
リンの過剰摂取がカルシウムの吸収を抑制するのは事実です。・・・リンは練りものだけでなく魚、肉、豆腐、野菜などにも自然に含まれ、ハムやソーセージなどの加工食品にも用いられます。これらトータルの摂取量を考える必要があります。・・・これは、科学ジャーナリストの松永和紀さんが書いたものですが、いたって普通のことを書いていますね。
東京大学の研究者が日本全国の男女各 161人の尿による調査結果を発表。リンは加工食品、自然なものを問わず、食べると尿に排出されるので、排出量から摂取量を推定したのです。その結果、男性では平均して1日1393mg、女性は1082mg のリンを摂っていました。食事摂取基準の目安量は超えていますが、懸念するような状況にはないことが分かりました。
私は、練りもののリンをことさらに心配する必要はないと考えます。それよりも、練りものが塩分を比較的多く含むことが気になります。おいしい食品も、そればかりを口にする「ばっかり食べ」になっては弊害が出てきます。多品目の食品をほどほどに食べましょう。
現状の2倍以上摂ると著者の言うところの「摂りすぎると」に当たるのですね。
それだけ摂れば、塩分摂りすぎなど他の問題が出るでしょうね。
単に■■■が危ないという著者の胡散臭いことよ。量を言えよ!
全く理解していないね
もし、少しずつでも1日のうちに肉加工品を食べていれば、あらゆる危険な食品添加物が、大量に何種類も体内に入ってきてしまうということになります。前後の下線部分は大いに矛盾していますね。
「何を大げさな」「そこまで脅さなくても・・・・・・」と思われるでしょうか?
確かに今現在、日本で使用が認められている食品添加物は、その一つ一つは安全だと証明されています。
後が正しいとすると「あらゆる危険な食品添加物」ではなく「あらゆる安全な食品添加物」でなければおかしい。
ただし「食品添加物は、その一つ一つは安全だと証明されています」の「安全だと証明されています」はおかしいのだけどね。
「安全」とは「許容できないリスクが確認されていない状態」を指すので「許容できない未知のリスク」はあるかもしれないのです。
一つのモノを完全に理解することは基本的にできないので、「安全」であることの「証明」は基本的に不可能。
著者は自身が「安全」を全く理解していないことを、この文章で告白していることになります。
このことから、著者が言う「安全」「危険」は、かなり眉唾物だと思って読むべきことがわかります(まあ、書名からして胡散臭いのだけど)。
安全かどうかは実験による結果でしょうが、「安全」という言葉の根拠も、「急性毒性はないですよ」という意味での安全です。急性毒性とは、その物質を体内に取り込んだ時に、初期に現れる毒性のことです。こりゃひどい。
「安全だと証明されています」とちょっと前に書いておいて「安全かどうかは実験による結果でしょうが」ですか。
何をもって安全であるとしているか知らずに「安全だと証明されています」と書いていたんですか?
しかも、急性毒性試験しかしていないと言うとは、モグリもいいところです。
下記を見てもらえばわかりますが、慢性毒性・遺伝毒性などやります。

※食品安全委員会の「食品添加物のリスクについて」より引用
急性毒性試験だけでOKであれば、さぞかし開発コストが下がるでしょうが、実際はそんなことはありません。
亜硝酸ナトリウムは1日の許容摂取量が体重30kgに対しておよそ2mgといわれています。体重1kgあたりおよそ0.07gと、ごくごく微量です。もちろんメーカーも、それを考えて生産しているはずです。ド素人ですね・・・。
ただ、安全性を体重だけで判断することが、どこまで正しいのかもわかりません。
同じものを食べても、どのように反応するかは、個人差も大きいでしょう。
2mgの1/30は0.07gでしょうか?
2mg÷30=0.002g÷30=0.00007g ですね。単位もわからないとは。
1日許容摂取量は、基本ラットなどの動物実験で毒性が出なかった量の最大値をベースに決められます。
ラットよりヒトの方が毒に対して弱い可能性がある(一般的には個体が大きい方が感受性が低い)ので10分の1に、
個体差があるのでそれで10分の1、
計、動物実験の100分の1の量を1日許容摂取量としているのですよ。
まあ、急性毒性試験しかしないと言っているおバカですから、仕方ないですけどヒドイものです。

南 清貴
三笠書房
2019/5/17
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