恐ろしい知識レベルの応用物理専攻の元総理大臣

東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと」を読みました。
これは、原発事故当時のトップである菅直人元総理大臣の本です。

期待してまっせ

私は東京工業大学で応用物理を専攻した。原子力については、学生時代に学んだ基礎的な知識がある程度で、原子炉を設計したりしたことはなく、原子力の専門家ではない。しかし、文系出身の政治家よりも多少「土地勘」があり、原発事故の状況を把握する上で役立った。
生兵法は大怪我のもとと言いますが、どうなんでしょうか。
読み進めるとどうであるか分かっていくかもしれません。

核反応は化学反応ではなく物理の世界の話なので、化学科出身の私よりも応用物理の元総理の方が専門は近いから詳しいでしょうね。
楽しみです。


原発は制御棒を挿入して核分裂反応を停止させても、核燃料の自己崩壊熱が出続けるために冷却を続けないと、原子炉の水が蒸発して体期の状態となり、やがてメルトダウンする。
何を言っているのだ?
核分裂反応を停止させたのならば、自己崩壊熱は出続けないのだが。
そもそも、自己崩壊熱ってウランなどが核分裂反応することにより発生するのですけど・・・。

間違いは「核分裂反応を停止させても」の部分ですね。「臨界状態を止めても」が正しいでしょう。

火力発電所の火災事故の場合、燃料タンクに引火しても、いつかは燃料が燃え尽き、事故は収束する。
・・・
だが、原子力事故はそれとは根本的に異なる。制御できなくなった原子炉を放置すれば、時間が経過すればするほど事態は悪化していく。燃料は燃え尽きず、放射性物質を放出し続ける。
原子炉において「燃え尽きず」と書いたのは比喩的表現だと思いたいが、実際どうだろうか。
「根本的に異なる」というのをどういう意味で言っているか分からないが、それは正しい。
火力発電は「化学反応」で原子力発電は「核反応(物理反応)」ですから。

「燃料は燃え尽きず」というが、そうであったならば永久機関ですね。
単に燃え尽きる時間が、短いか、長いかの違いで、燃え尽きることに根本的な違いはない。

しかし太陽は地球から約一億五千万キロ離れており、この距離が放射能を弱め、太陽の核反応による放射能は地球上の人類にはほとんど影響がない。
驚きですね。この御仁は、放射能と放射線の区別がついていないのですね。
放射線・放射能・放射性物質とは
※「環境省_放射線・放射能・放射性物質とは」より引用

放射能は放射線を出す能力であって、太陽から届くのは主にガンマ線など(放射線)です。
距離の二乗に反比例して面積当たりの照射量は減るので、地球に届く量は大したことはないが、その多くは大気が吸収してくれている。


嘘をついてはダメ

報じられているように、事故発生から四日目の十四日夜から十五日の未明にかけて、東電が事故現場から撤退するという話が持ち上がった、・・・
嘘を書きますね。
当時の枝野幸男官房長官の著書「枝野ビジョン」でも同じ嘘が書かれていました。
詳細はそちら参照してください。

面白いことを仰る

私の頭の中の「避難シミュレーション」は大きく二つあった。一つは、数週間以内に五千万人を避難させるためのオペレーションだ。「避難してくれ」との指示を出すと同時に計画を提示し、これに従ってくれと言わない限り、大パニックは必至だ。
現在の日本には厳戒令は存在しないが、厳戒令に近い強権を発動する以外、整然とした避難は無理であろう。
この方、立憲民主党の最高幹部なのですよね。
その立憲主義を党是とする最高幹部が憲法違反をしないと国民を守れないことがわかっているのに、憲法改正に反対するとは面白いですね。
原発やめても、例えば富士山の大噴火が起きれば首都圏の多くは避難が必要でしょう。

この本の面白いのは『私の頭の中の「避難シミュレーション」は大きく二つあった。』と書きながら一つしか提示していないのですよね。

この後、時系列で色々書いているのだが、事実確認ができないので飛ばします。

東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと
菅 直人
幻冬舎
2012/10/26


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