地の底に落ちた国際ジャーナリスト④ 日本編
「沈みゆく大国 アメリカ」を読みました。
自称国際ジャーナリストの堤未果氏の本です。
ツッコミ4回目の対象は『第4章 次のターゲットは日本』です。過去記事はタグを参照のこと。
日本で憲法を持ち出して「医療」を語ったのだから、アメリカでも比較のために憲法を持ち出して語ると普通の人は思いますよね?
堤氏をなめてはいけません。
『「医療」はビジネス』などとはアメリカ合衆国憲法に書かれていません。
アメリカ合衆国憲法は、議会(立法)・大統領(行政)・司法に関するものがほとんどで人権についてはほとんど書かれていません。
そりゃそうですよね。アメリカ合衆国憲法は一部修正されているとはいえ、1787年(日本は江戸時代で寛政の改革をはじめた時期)にできたものですからね。
1946年にできた日本国憲法とそもそも比べること自体がおかしい。
日本でも医療はビジネスで、慈善活動ではありません。
アホくさ。
「何十冊も関連書籍や資料を読み」が事実であれば、理解力がまるで無いということをこの本でさらけ出していますね。
もしくはデマ本を読み漁ったか。
「医師法」ではなく「医療法」と正しく書いていますね。
2021年8月に出した本「デジタル・ファシズム」では「医師法」と誤って書いていたが、2014年のこの本「沈みゆく大国 アメリカ」では正しく書いている。
堤氏は、学べば学ぶほど劣化していくのですね。
また、正しく引用できない病が発症していますね。
赤字の部分は間違っています。
これは「Are for-profit hospital conversions harmful to patients and to Medicare?(G Picone, SY Chou, F Sloan - RAND Journal of Economics, 2002 -)(全文はここから見られる)」という論文のことでしょう。
「ランド経済学誌が発表したデータ」というが、データはこのものではなく、「National Long-Term Care Survey (NLTCS)」のです。
そのデータを分析した結果を論文として Picone らが RAND Journal of Economics で発表しています。
堤氏は元論文は読まず孫引きしたのでしょう。
「病院が非営利から株式会社経営に変わる」も論文では「hospitals converted from govemment or private nonprofit to for-profit(政府系または民間非営利から営利に転換している)」となっている。
「1984年から95年」までの調査というが、それは営利に変わったタイミングでデータは1982年以降のものを使っている。
死亡率が50パーセント増加したというが、実際は10パーセント未満でしかない。
もっと広い範囲を対象としたメタ分析の結果でも死亡率の増加率は10パーセント未満(2%)の増加なのです。
どこの腐った情報を引っ張ってきたのでしょうね?
さすがミスリードの女王(?)。
これだけ読むと「収益」だけで成果が測られると思えますよね。
実際は違います。
国家戦略特別区域法第十二条に評価が義務付けられていて「国家戦略特別区域基本方針」に従い評価されます。
この基本方針(2014年2月25日の閣議決定なので堤氏が知り得る情報)から引用します。
青天井にするわけがない。
年金積立金管理運用独立行政法人法の第二十条を引用します。
「基本ポートフォリオの考え方|年金積立金管理運用独立行政法人」をみても、ポートフォリオは目標を満たす最もリスクが低いものを選ぶとあります。
「六割」とは何の「六割」なのかがわからない。全世界の年金基金の六割なのか、ノルウェーの年金基金のうち運用しているのが六割なのか。
それがわからないので、「その資金」も何なのか分からない。
極め付きは、運用基金の内の割合でなく、金額の大小で比較していること(基金の絶対額が違えば、その中の株分の金額を比較しても意味がない)。
事実関係はさっぱり理解できないが、言いたいことはGPIFの株式比率が高くて、それを問題にしているということでしょう。
以下を見ると、堤氏の言うことがおバカであることを理解頂けるだろう。

※「海外の公的年金の運用状況はどのようになっていますか。|年金積立金管理運用独立行政法人」より引用
沈みゆく大国 アメリカ
堤 未果
集英社
2014/11/14
自称国際ジャーナリストの堤未果氏の本です。
ツッコミ4回目の対象は『第4章 次のターゲットは日本』です。過去記事はタグを参照のこと。
比較対象がおかしい
なぜ同じ「皆保険制度」でも、日本とアメリカではこんなにも違うのか?これを読むと、アメリカの憲法に『「医療」はビジネス』と書かれているように理解できますよね。
日本の医療は憲法25条(生存権)に基づく社会保障の一環として行われ、その根底には「公平平等」という基本理念が横たわっている。
一方アメリカでは「医療」はビジネスという位置付けだ。
日本で憲法を持ち出して「医療」を語ったのだから、アメリカでも比較のために憲法を持ち出して語ると普通の人は思いますよね?
堤氏をなめてはいけません。
『「医療」はビジネス』などとはアメリカ合衆国憲法に書かれていません。
アメリカ合衆国憲法は、議会(立法)・大統領(行政)・司法に関するものがほとんどで人権についてはほとんど書かれていません。
そりゃそうですよね。アメリカ合衆国憲法は一部修正されているとはいえ、1787年(日本は江戸時代で寛政の改革をはじめた時期)にできたものですからね。
1946年にできた日本国憲法とそもそも比べること自体がおかしい。
日本でも医療はビジネスで、慈善活動ではありません。
アホくさ。
学ぶほどに劣化する?
私自身、今回の執筆のために何十冊も関連書籍や資料を読み、現場の医師たちから話を聞いて初めて知ったことがたくさんあった。ふ~ん。そうですか。
「何十冊も関連書籍や資料を読み」が事実であれば、理解力がまるで無いということをこの本でさらけ出していますね。
もしくはデマ本を読み漁ったか。
日本ではこれまで、医療の非営利性を維持するために「医療法」で持ち株会社の医療法人設置を認めず、一部特区を除き各部指揮会社の参入が規制されてきた。あれ?
「医師法」ではなく「医療法」と正しく書いていますね。
2021年8月に出した本「デジタル・ファシズム」では「医師法」と誤って書いていたが、2014年のこの本「沈みゆく大国 アメリカ」では正しく書いている。
堤氏は、学べば学ぶほど劣化していくのですね。
どこから引用したのですか?
2002年にランド経済学誌が発表したデータによると、1984年から95年までに全米3645病院を対象にした調査では、病院が非営利から株式会社経営に変わると平均死亡率が3年で50パーセント増加、その逆だと死亡率は下がったという。
また、正しく引用できない病が発症していますね。
赤字の部分は間違っています。
これは「Are for-profit hospital conversions harmful to patients and to Medicare?(G Picone, SY Chou, F Sloan - RAND Journal of Economics, 2002 -)(全文はここから見られる)」という論文のことでしょう。
「ランド経済学誌が発表したデータ」というが、データはこのものではなく、「National Long-Term Care Survey (NLTCS)」のです。
そのデータを分析した結果を論文として Picone らが RAND Journal of Economics で発表しています。
堤氏は元論文は読まず孫引きしたのでしょう。
「病院が非営利から株式会社経営に変わる」も論文では「hospitals converted from govemment or private nonprofit to for-profit(政府系または民間非営利から営利に転換している)」となっている。
「1984年から95年」までの調査というが、それは営利に変わったタイミングでデータは1982年以降のものを使っている。
死亡率が50パーセント増加したというが、実際は10パーセント未満でしかない。
もっと広い範囲を対象としたメタ分析の結果でも死亡率の増加率は10パーセント未満(2%)の増加なのです。
どこの腐った情報を引っ張ってきたのでしょうね?
国家戦略特別区の評価方法
この制度(※国家戦略特別区のこと)は導入してから成果が検証され、上手くいけば全国にも広げてゆく計画だという。成果は「収益」で測られるため、これはかなりの確率で日本中に拡大するだろう。
さすがミスリードの女王(?)。
これだけ読むと「収益」だけで成果が測られると思えますよね。
実際は違います。
国家戦略特別区域法第十二条に評価が義務付けられていて「国家戦略特別区域基本方針」に従い評価されます。
この基本方針(2014年2月25日の閣議決定なので堤氏が知り得る情報)から引用します。
②評価項目当たり前ですが行政が「利益」だけで判断するかっていう話です。
区域会議が実施する評価に際しては、次に掲げる項目について、総合的に評価を行う
ものとする。
ア)国家戦略特区において実施し又はその実施を促進しようとする特定事業の進捗状況
イ)認定区域計画の実施により実現した経済的社会的効果
ウ)区域計画において設定した目標の達成状況。この場合において、再興戦略KPIを踏まえて目標を設定した場合には、再興戦略KPIへの寄与度についても、評価する。
エ)規制の特例措置の活用状況及びその効果(法第 10 条第1項第1号の特定事業(以下「構造改革特区法の特定事業」という。)に係る構造改革特別区域法(平成 14 年法律第 189 号)第4章の規定による規制の特例措置(以下「構造改革特区の規制の特例措置」という。)の活用状況及びその効果を含む。以下同じ。)。併せて、これらの規制の特例措置の活用によって弊害が生じている場合には、弊害の内容及び対策の実施状況についても、評価する。
オ)金融上の支援措置の活用状況及びその効果
カ)その他目標の達成に向けた取組の実施状況
キ)その他国家戦略特区の評価に資する事項
年金基金
GPIF(※年金積立金管理運用独立行政法人のこと)は、株式保有率を青天井にすることに加え、運用委託先も大きく変更したからだ。アホですか?
青天井にするわけがない。
年金積立金管理運用独立行政法人法の第二十条を引用します。
(中期計画の記載事項)まあ当たり前ですよね。
第二十条 管理運用法人は、中期計画に、次に掲げる事項を定めるものとする。
・・・
2 前項各号に掲げる事項は、資産の管理及び運用に関し一般に認められている専門的な知見並びに内外の経済動向を考慮するとともに、年金積立金の運用が市場その他の民間活動に与える影響に留意しつつ、安全かつ確実を基本とし、年金積立金の運用が特定の方法に集中せず、かつ、厚生年金保険法第七十九条の二及び国民年金法第七十五条の目的に適合するものでなければならない。
「基本ポートフォリオの考え方|年金積立金管理運用独立行政法人」をみても、ポートフォリオは目標を満たす最もリスクが低いものを選ぶとあります。
世界中を見ても、国民年金を国家レベルで株式運用している国は少なく、六割を運用するノルウェーですらその資金は日本の半分以下で規模自体比にならない。この文章を読んで正確に理解できる人はいるだろうか?
「六割」とは何の「六割」なのかがわからない。全世界の年金基金の六割なのか、ノルウェーの年金基金のうち運用しているのが六割なのか。
それがわからないので、「その資金」も何なのか分からない。
極め付きは、運用基金の内の割合でなく、金額の大小で比較していること(基金の絶対額が違えば、その中の株分の金額を比較しても意味がない)。
事実関係はさっぱり理解できないが、言いたいことはGPIFの株式比率が高くて、それを問題にしているということでしょう。
以下を見ると、堤氏の言うことがおバカであることを理解頂けるだろう。

※「海外の公的年金の運用状況はどのようになっていますか。|年金積立金管理運用独立行政法人」より引用

堤 未果
集英社
2014/11/14
この記事へのコメント
もし機会がございましたら、「株式会社アメリカの日本解体計画」に関ましてもお取り上げ頂けますと幸いです。
>
>過去に堤さんの書籍を、データが正しいという前提で読んでいた事がある為、こちらのシリーズ、とても勉強になりました。
そう言っていただけると嬉しいです。
>もし機会がございましたら、「株式会社アメリカの日本解体計画」に関ましてもお取り上げ頂けますと幸いです。
残念ながらその本、図書館に無いので現状できません。
デマ屋に金を貢がないというポリシーなので、誰かが図書館にリクエストするまでお待ちください。