東大農学教授に見習ってもらいたい農業本

キレイゴトぬきの農業論」を読みました。

この本に書かれていることは概ね同意できるものです。
東大農学教授とは雲泥の差です。

参考文献を見ればまともさがわかります。
畝山智香子松永和紀小島正美

同意できる内容

神話1 有機だから安全
神話2 有機だから美味しい
神話3 有機だから環境にいい

あ~、神話ですねっていう感じです。


本の中で次の図に近いものが載っていました。
日本における野菜の実用化年代とその原産地
※独立行政法人農畜産業振興機構の「伝統野菜といわれるもの」より引用
『「伝統野菜」のウソ』ということで次のように書かれています。日本で食べられている野菜の大半は、もともと外国から持ち込まれたものです。・・・料理の主役級の野菜で日本原産のものは皆無です。
よく「伝統野菜を大切にしよう」と言われますが、持ち込まれた時期の差こそあれ、伝統野菜と言われているものも元々は外国のものです。
伝統ってなんですか?っていうレベルですね。
伝統については、この本を読むと面白いですよ。

ちなみに「野菜と果物 すごい品種図鑑」によると、ハクサイは日清・日露戦争の時に持ち込まれたそうです。
伝統野菜万歳!
「○○は体に悪い」という表現が日常的に使われていますが、これは実は日本語として成立していません。「○○という食べ物の中の□□という物質は、このくらいの量を摂るとこのくらいのリスクがある」という表現が適切です。
仰る通り。
これなんかは、ダメな典型でしょう。

疑問符がつく内容

ADI(一日許容摂取量)についての解説を次のようにしていました。
平たく言えば、こういうことです。
「仮にある農薬が、関連するすべての農産物に基準値上限まで残留していたとする。それを一生涯にわたって毎日、国民平均の100倍食べた続けたとしても、動物実験で健康に影響がでない範囲に収まる」
平たく言いすぎでしょう。
ADIの100倍も食べたら人に影響が出てもおかしくないと思います。
100倍は、種差(10倍)と個体差(10倍)の掛け算です。
ヒトがラットよりも10倍感受性が高いかもしれない、普通より10倍過敏に反応するヒトがいるかもしれない、ということで安全係数100掛けているのです。
動物実験に使う動物もヒト以外を全部使っているわけでもないですし。

キレイゴトぬきの農業論
久松 達央
新潮社
2013/9/14

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