「大人の食物アレルギー」←良本です

大人の食物アレルギー」を読みました。

著者の福冨友馬氏は、アレルギーに関する論文をバリバリ出しているマジの専門家のようです。

花粉も含め全くアレルギーを持っておらず無知であったので色々お勉強になりました。
目に止まったものをまとめます。

・日本の成人食物アレルギーの有病率は1~2%程度だろう
・成人食物アレルギーになりやすい傾向のある人(遺伝とは限らない)
 ①アレルギー体質である
  遺伝的素因・環境的素因との相互作用によって形成される人それぞれの総合的な性質。
 ②花粉アレルギー(花粉症)がある
 ③生活習慣が乱れている
  過労・慢性的なストレス・睡眠不足・偏食。
  特に偏食。砂糖の取りすぎが原因であることが多い。
  砂糖を取りすぎるとブドウ糖代謝時にビタミン・ミネラルを消費してしまう。
  そして砂糖を好む微生物(カンジダ菌など)が腸内で増えることでバランスが崩れる。炎症反応を悪化させる。
  砂糖だけでなく果糖・異性化液糖などもマズイという話もあるそうだ。
 ④過度のきれい好き
  こういう説もある
 ⑤ビタミンD不足
・相模原病院アレルギー科での成人食物アレルギー原因食物
 1位:48.4% 果物・野菜(豆乳・大豆を含む)
 2位:15.7% 小麦
 3位:7.2% 甲殻類
 4位:5.9% スパイス
 5位:5.2% ナッツ
 6位:2.6% アニサキス
 7位:2.0% ダニ
 8位:1.3% ラッテクス
 9位:0.6% 軟体類
・アレルギー発症の原因となる花粉と果物・野菜との関係
 カバノキ科花粉(シラカンバ・ハンノキ):バラ科(リンゴ・サクランボ・モモ・ナシ・イチゴ・プラム)、マメ科(大豆・ピーナッツ)、セリ科(ニンジン・セロリ)
 草の花粉(イネ科・ブタクサ・ヨモギ):ウリ科(メロン・スイカ・キュウリ)、トマト、オレンジ、バナナ、アボカド
 ヒノキ科花粉(スギ・ヒノキ):バラ科果物、柑橘系果物、梅干し
・食べた(経口摂取)だけではなく、経皮・経粘膜感作でも起きる。
 口紅など化粧品、石鹸、ラッテクスなどで起きる
・食物アレルギーの原因は構造の似たタンパク質への免疫系の過剰反応
 新型コロナと同じね。
・小麦アレルギーでなくて小麦で発症したというケースがある。
 開封した小麦粉にダニが繁殖し、それが原因となる。海外ではパンケーキ症候群とよばれる。
・IgE抗体検査で陽性だったいっても食物アレルギーとは限らない
 新型コロナのPCR検査で陽性だからとしても無症状であるのと同じね。
 陽性だからといって、それを食べなくするのは良くない。抑止するものは最小限にすべきとのこと。
・食物アレルギーではないが、似た症状を起こすものとして次の3つがある。
 ・乳糖不耐症
  牛乳を飲んで下痢を起こすやつ
 ・非セリアック・グルテン過敏症
  小麦アレルギーでもないのに、小麦製品を摂取すると腹痛などおきる
 ・化学物質過敏症
  原因は良くわかっていない
・食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)
 原因となる食物を摂取したあと2~4時間に運動をすると発症。
 原因は明らかになっていないが運動によって腸管での吸収が促進されて起きているのではないかと言われているらしい。

「おわりに」の最後に次のように書いています。
成人食物アレルギーとはなんであるかを認識し、”正しく怖れる”ために本書がお役に立つことを強く願うものです。
赤字の部分大事ですね。
何事においても。過ぎたるは猶及ばざるが如し。

大人の食物アレルギー
福冨友馬
集英社
2022/3/17

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