エジプトの空の下
「エジプトの空の下」を読みました。
飯山陽さんの本は「イスラームの論理と倫理」に続く2冊目です。
イスラム的自由は、イスラム教を正しく信仰するための自由であって、西洋のとは違う。
・鶏は皮つきで売っていない
・野菜などはキロ単位でしか売っていない
・魚は刺身用などと鮮度がわかる売り方をしていないので、生で食べる時は注意
・近親婚が多い。通常結婚する時に妻へ婚資を支払わないといけないが、近親婚ならそれを回避できる
・学費が無料な公立学校も及第するには教師に金を払い「補修」をうけないとダメという「制度」がある。
そのため、貧困層は卒業できないので、上の学校にも入れないので、学業をもって貧困から抜け出すこともできない。
・エジプトの1980年代には人口6031人あたり1つしかモスクがなかったが、サウジの資金により2000年だいには745人当たりに1つに増えた。
・1985年に出版された本のうち宗教本は6%、1994年のカイロブックフェアで販売された書籍では25%、1998年には85%
・エジプト人の85%が公共の場では髪を隠すべき、10%が顔を隠すべきという
・世界をユダヤ人が支配しているというようなユダヤ陰謀論を驚くほどのイスラム教徒が信じている。
「信念と現実の矛盾から生じる認知的不協和を解消する最も手軽な手段として、ユダヤ陰謀論が絶大な人気を集めているのでしょう」と書かれている。
エジプトの空の下 わたしが見た「ふたつの革命」
飯山陽
晶文社
2021/11/19
飯山陽さんの本は「イスラームの論理と倫理」に続く2冊目です。
その他大部分の中東イスラム研究者を毛嫌いする理由
この本を読んで毛嫌いする理由が良くわかりました。シン政権を人権抑圧の独裁政権だと非難する「専門家」や海外メディアは極めて偽善的かつ無責任です。
日本にも、「テロリストとは戦うな、話し合え」と意見する「専門家」や政治家や、文化人などがいます。しかしどこに潜んでいるかわからず、軍や治安部隊だけではなく丸腰の一般市民をも標的として無差別テロ攻撃をしかけてくる相手と、いったいどのように話し合えばいいのでしょう。・・・こちらはやられるまがままのんびり待つのが「近代的」で「民主的」で「人道的」なやり方なのでしょうか。そんな非現実的な見解が、テロとの戦いの現場で受け入られる余地は皆無です。
異なる考えを持つ他者に対して、お前たちは殲滅されなければならないなどという言葉を投げつけるのは、研究者としては言うまでもなく、人間としてもあるまじき行為だと私は思います。
日本の中東イスラム研究者のほとんどは、アラブ人でもイスラム教徒でもありません。しかし彼らはパレスチナのみに正義があると頑なに信じ、「占領国家」イスラエルとシオニストを口汚く罵倒する人に喝采を送ります。
・・・
異文化との架け橋となるべき中東イスラム研究者が、率先して考えの異なる他者を否定し罵倒するとは、嘆かわしいにもほどがあります。中東イスラム研究業界全体のこうした偏向が、日本で中東やイスラム教についての正しく客観的な理解が広く広まらない一大要因であると私は思います。
西洋近代的な自由民主主義だけが世界で唯一正しい政治体制であるというのは、実におかしな話です。なぜ西洋だけに、正しさの基準を独占する権利があるのでしょうか。その権利を独占した者を見下す奢り高ぶった態度は反省し改めるべきだと歴史を通じて学んだはずではなかったのでしょうか。西洋近代思想の中には、価値の多様性を認めるという考えがあったはずではないでしょうか。
・・・それまで私が日本の中東イスラム研究者の立ち位置や論調に対して抱いていた不信感は、彼らは極度に変更しており現実の人々や事象などどうでもよく、ただ中東やイスラム教を利用して自らの政治的イデオロギーを吹聴しているだけなのだ、という確信に変わりました。
考え方の違い
・イスラム的自由と西洋的自由は違うイスラム的自由は、イスラム教を正しく信仰するための自由であって、西洋のとは違う。
小ネタ
・モロヘイヤの茎・さや・種には毒がある・鶏は皮つきで売っていない
・野菜などはキロ単位でしか売っていない
・魚は刺身用などと鮮度がわかる売り方をしていないので、生で食べる時は注意
・近親婚が多い。通常結婚する時に妻へ婚資を支払わないといけないが、近親婚ならそれを回避できる
・学費が無料な公立学校も及第するには教師に金を払い「補修」をうけないとダメという「制度」がある。
そのため、貧困層は卒業できないので、上の学校にも入れないので、学業をもって貧困から抜け出すこともできない。
・エジプトの1980年代には人口6031人あたり1つしかモスクがなかったが、サウジの資金により2000年だいには745人当たりに1つに増えた。
・1985年に出版された本のうち宗教本は6%、1994年のカイロブックフェアで販売された書籍では25%、1998年には85%
・エジプト人の85%が公共の場では髪を隠すべき、10%が顔を隠すべきという
・世界をユダヤ人が支配しているというようなユダヤ陰謀論を驚くほどのイスラム教徒が信じている。
「信念と現実の矛盾から生じる認知的不協和を解消する最も手軽な手段として、ユダヤ陰謀論が絶大な人気を集めているのでしょう」と書かれている。

飯山陽
晶文社
2021/11/19
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