日本の魚は残念ながら大丈夫ではない

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日本の魚は大丈夫か」を読みました。
Twitterでフォローしている勝川俊雄さんの本です。

こりゃヒドイ

地元の口が悪い水産業者は、「組合に金を入れても、組合長のテレビや車が新しくなるぐらいの効果しかない」と断言します。組合に投入された公的資金がどのように使われたかを納税者は確認する手段はないので、実際にどうなっているかは調べようがありません。事実は闇の中です。
多額の財政負担が未来の世代に先送りされたとして、10年後、20年後に何が残るでしょうか。広く浅く、既得権保持者にばらまかれた税金は焼け石に水。まともな産業は残らないでしょう。あとに残るのは、既得権団体と、無駄に立派な多数の漁港と、赤字国債だけです。
投入された公的資金って何に使ったか報告されるものと勝手に思っていたのですが、こりゃないわ。

イメージと違うな

「"魚好きの日本人(年間1人当たりの消費量)」ということで以下の図があった。魚好きの日本人(年間1人当たりの消費量)
一人当たり、肉類が40kg、魚介類は輸入国産ともに30kgで合計60kgであるように見える。
思っていたのと違うな。

食用魚介類及び肉類の1人1年当たり消費量(純食料)とたんぱく質の1人1日当たり消費量の推移
※「水産物消費の状況:水産庁」より引用

水産庁の資料を見ると2010年くらいには肉類・魚介類でほぼ同じとなっている。
魚介類には海藻などが含まれるからタンパク質量が少ない?もしくは魚介類の方がタンパク質の含有割合が低い?

2010年度の食料需給表を見ると、肉類は29.1kg、魚介類は29.6kg(ともにタンパク質量ではない)となっている。
ちなみに魚介類と海藻は別の分類のようだ。

平成22年度食料需給表(概算値)」を見たら違いが分かった。

平成22年度食料需給表(概算値)
勝川氏は、黄色の部分でグラフを作っている。
だが、灰色の部分は人が食べるものではないので除外しないとならない。
そして、橙色の歩留り(過食部分以外、たとえば骨、内臓、頭などを除外していない。100%だと全てが食べられる。)が考慮されていない。
結果として人が食べている量の緑色は2010年時点で、肉と魚介類はトントンとなる。

国産・輸入で分割するのならば、純食料を国産・輸入の比率で案分する必要がある。

関係ないが、歩留りを上げることも必要でしょうね。
本の後に日本の魚が乱獲で小さくなっているということが書いてあったが、この歩留りも年々悪くなっているのかな?と思い調べました。

2003年:55.0%
2010年:55.7%
2020年:56.2%

一応、少しだが改善されている。エコなどの話で捨てるものを減らしたのが、小さくなっているのに勝っているのかな?
この数字だけではわかりませんね。

しかし、鯨の歩留り100%というのが面白い。骨も食えるの?
歩留りの値を見ると面白いね。
米90.6%、小麦78.0%、大麦46.0%、サツマイモ・ジャガイモ90.0%、大豆100.0%、ミカン75.0%、リンゴ85.0%、牛・豚63.0%、鶏71.0% となっている。

大麦低いね。リンゴよりミカンの方が高いと思ったが微妙。鶏が牛・豚より高いのは、骨が軽いからかな?

乱獲

東北大学の馬奈木俊介准教授は、現状の漁獲量を維持するのに必要な日本の漁船規模は現在(被災前)の15%という試算をしています。
まだ読んでいないが「農家はもっと減っていい」と言っていることは同じですね。
しかし、15%とは驚くべき数字ですね。

マグロの話で、1歳の3kg(単価550円/kg)をとるのではなく、6年待って97kg(単価5000円/kg)を獲るべきだという。
数は162万本⇒47万本と減るが、総漁獲高は27億円⇒2280億円と桁違いになる。

サバも同じ話で、0歳だと100gの10尾65円でそれは産卵できないが、3年末と500gで3尾260円で産卵もできる。
ノルウェーでは加工技術が無いので冷凍だけして送っているが、日本でノルウェーと同じこと(漁業資源を厳格に保護)ができれば、加工技術もあるし輸送費もかからず高い付加価値をつけて売ることができるという。

ノルウェーのことで以下が書かれていた。
このオークションシステムでは、正確な情報が流れることが重要なポイントになります。取った魚の測定方法は、1トンにつき何尾計測するなど細かいことまで決められていて、いいかげんな船は、入札者の信用を失って値がつかなくなる、という形で制裁を受けます。
また、水揚げ時に正確な重量を測定するので、漁獲量をごまかすことはできません。
最近、焼津のマグロのようなことは発生しえないということですね。


他にも色々あって書こうと思ったが、沢山あって大変なので、このへんで終わります。
10年以上前の本ですが、現状たいして変化していないのをみると、このまま漁獲量が減って漁師も減って最低の状態にまで行くことしかできないように思える。
最低ラインまでいけば、そこで残っている人達だけならば、漁獲制限などもし易いだろう。
どうせ規制できないのならば、その時まで無駄な補助金など出さず、すべて基金として貯めておくのは良いのではないか。
補助金だすとしても、漁協を閉めて撤去を促進するためのものだけに制限するなど。

日本の魚は大丈夫か 漁業は三陸から生まれ変わる
勝川俊雄
NHK出版
2011/9/8

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