TBS報道特集のデタラメな有機農業報道

TBSが報道特集「有機農業の未来は?」でいつものようにデタラメを報道していたのでツッコみます。

有機農業≠無農薬

今日の特集です。地球環境に優しいとして、今、化学農薬も化学肥料も使わない有機農業が注目されています。
のっけから、よくある間違いをしていますね。
有機農業≠無農薬 です。無農薬の有機農業をしている人もいますが、有機農業の定義としては化学農薬を使えます。

有機栽培でも農薬を使うことができるのですか。」を見ればわかりますが、硫酸銅など決められた化学農薬が使えます。
日本だけのことではなく、たとえばアメリカでも同様です。

有機≠見栄えが悪い=農業技術が低い

(1分17秒頃)割高で見栄えも悪いと有機食材は敬遠されてきたが、消費者の意識は変わりつつある。
これも、素人さんが陥る間違いです。
見栄えが悪いのは、農業技術の低い有機農家の生産物にあたってしまっているだけです。
↓を見て下さい。有機・慣行関係ありません。



法律の制定≠施行

(1分40秒頃)
だが、日本の有機農業は、農地全体のわずか0.6%、世界から出遅れている。そこで日本政府は7月に法律を制定。2050年までに有機農業を前のうちの25%に増やすことにした。
みどりの食料システム法(正式名「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」)のお話です。

法律を制定(法律が成立)したのは、2022年7月ではありません。
2022年04月22日:成立(制定)
2022年05月02日:公布
2022年07月01日:施行 ←このことを言っている。

以下を見てもらえば分かりますが、画面のキャプションでは正しいのですよね。
いい加減なチェックであることがわかります(有機農業=無農薬と言っている時点で終わっていますがね)。
みどりの食料システム法施行

みどりの食料システム法にそんな目的ありますか?

(2分15秒頃)政府が有機農業を推進する理由の一つは、環境保護、さらに世界的に食料事情が悪化する中、高齢化で先細りする日本の農業に新たな担い手を呼び込むためだ。
どこにそんなこと書いてありますか?
以下の資料にも無いし、法律の目的にもそんなこと一言も書かれていない。
みどりの食料システム戦略(概要)
※農林水産省のみどりの食料システム法に関するブロック別説明会資料より引用

あくまでも、法律の名前の通り環境負荷を減らすのが法のある理由ですが、TBSはどこからそんな情報拾ってきたのでしょうか?

コウノトリ

(16分5秒頃)環境と経済を両立させたまち作りを目指し、9年前、コウノトリを復活させた兵庫県豊岡市に職員を派遣。鍵は農薬をできるだけ減らした農業だとわかり、さらにハードルの高い有機農業に挑むことにした。
千葉県いすみ市のお話です。

コウノトリ復活の鍵は農薬を減らしただってさ。
では「コウノトリと育む|豊岡市公式ウェブサイト」を見てみましょう。

書いてあるのは、生息地の保全ということで湿地を作ること、そして水田では「コウノトリ育む農法」。
この農法の説明を引用します。
この農法の一番の特徴は水管理にあります。冬期間も田んぼに水を張る冬期湛水(とうきたんすい)や、田植えの1カ月前から田んぼに水を張る早期湛水(そうきたんすい)などを行うことで、ほぼ1年を通して田んぼに水があり、コウノトリの餌となる多くの生きものを育んでいます。
農薬を減らすことはメインではないのです。

論文「豊岡盆地の水田におけるコウノトリ育む農法の生物多様性保全効果」を読むと減農薬・無農薬はコウノトリ復活にそれほど寄与していないことがわかる。
面白い記述があったので引用します。
動物分類群の中で唯一、アカネ属(羽化殻)の個体群密度には、環境保全型(無農薬)が負の影響を及ぼしていた。トンボ類の幼虫は、殺虫剤や除草剤といった農薬の影響を強く受けるとされ、本研究はこれらの結果と矛盾していた。慣行型では使用薬剤が明らかな 19 圃場のうち 12 圃場でネオニコチノイド系の殺虫剤が使用されていた。


いすみ市のオーガニック給食、流布されているイメージと違いますね

(18分45秒頃)実は有機農家を何より支えたのは子供たちだった。
ほう、面白いことを仰る。
面白い資料を見つけたのでお見せします。
いすみ市 地産地消(有機)給食
※いすみ市の「食を取り巻く現状と課題」より引用

子供たちが有機農家を支えていると言うが、1/4以上が(中学生に至っては1/3以上)が有機農産物を使っていることを知らないとは。


いすみ市が1.5倍の価格の有機米の差額を補填
ふ~ん、価格が1.5倍する有機米の差額を税金で補填ですか。

(19分55秒頃)有機米の生産は順調に伸び、2017年には教職員と生徒の給食2500人分で42tを超えた上回った分は、高級ブランド米として一般にも販売している。今のところは1人勝ちですからね。収穫すれば収穫するほど、2万5000円ぐらいで売れるんですから。
あれ?1人勝ちで2万5千円で売れるのに、1/4以上の生徒児童が有機米であることを知らないものに税金で補助する必要あるのですかね?

報道で使ったグラフよりも情報量が多いのを見つけたので貼ります。
有機米生産の推移(いすみ市)
※「千葉県いすみ市の有機農業産地づくり いすみ市農林課 主査 鮫田 晋」より引用

23農家で100トン程度?
エライ誇大広告ですね。

農林水産省の「わがマチ・わがムラ」によると、2020年のいすみ市の情報は以下の通りです(カッコ内は有機農業の割合)。

水稲面積:1797 ha(1.4%)
水稲経営体:719 経営体(3.2%)
水稲生産高:9,670 t(1.0%)

収穫すればするほど1俵2万5000円で売れるという米なのに、14農家(ここによる。全体の2%弱に相当。)を税金で補助する理由は何でしょうね?

(22分15秒頃)コウノトリを呼ぶことを含む環境保全にいすみ市の方々が賛同したことで、有機化も加速して地域が豊かになっていました。
ふ~ん、そうなんですね。という感想しかないですな。

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