美味しんぼの「鼻血」を新聞の社説はどう評価したか
2014年(東日本大震災の3年後)に漫画美味しんぼで福島第一原発事故関連で話題になりました。
事故による放射線が原因で鼻血が出たとうかがわせる内容がその原因でした。
社説を有料会員限定としている神奈川新聞ですが、この美味しんぼの件は何故か全文公開されていて、それをたまたま発見しました。
ちょうど良いので、他の新聞も含めどう報じていたかをまとめました。

社説へのリンク
反原発の主張ができれば、風評被害があろうと知ったことではないというスタンスなのでしょう。
※水とそっくりなのは、トリチウムではなくトリチウム水
新聞が個人を特定せず「専門家」と書いた場合は、その存在・その専門性を疑った方が良いです(詳細はこちら参照)。
今回もご多分に漏れず、その存在・その専門性は確認できません。
そのため、何の矛盾もないし、再稼働がどうのこうのとも関係ない。
その「専門家」の名前・論文を教えて下さいよ。トンデモ「専門家」の言うことと科学的コンセンサスと同列に扱うな!
混ぜこぜにして詭弁を弄している記述を紹介しましょう。
以下の信濃毎日新聞、毎日新聞、朝日新聞も同様。
当然、美味しんぼを出版するのも自由。
そのクソみたいな主張を批判するのも自由。
政治家による批判がクソみたいな主張だと思えば、次の選挙で投票しないのも自由。
「リベラル」という人たちは、
・自分たちの表現の自由は完全に確保されなくてはならない。そして、「リベラル」による主張を他人(特に政治家)が批判する自由は無い。
・他人の表現の自由は時と場合(「リベラル」の人たちの都合によって決まる)によって制限される。
と考えているとしか理解できないことがよくある。
神奈川新聞と同じく表現の自由について言及したのは、毎日新聞と京都新聞。
■東京新聞:美味しんぼ批判 行き過ぎはどちらだ
■神奈川新聞:「美味しんぼ」問題 「不安封じ」で解決せず
■朝日新聞:美味しんぼ―「是非」争うより学ぼう
■京都新聞:美味しんぼ問題 議論深めるきっかけに
■西日本新聞:美味しんぼ 問題提起は丁寧にしたい
■毎日新聞:美味しんぼ 「鼻血」に疑問はあるが
■信濃毎日新聞:美味しんぼ 漫画に抗議するよりも
■世界日報:漫画と原発、風評被害が生じかねない
■産経新聞:美味しんぼ 独善で風評を助長するな
■社会新報:再稼働シフト 全体像見えぬ小手先の議論や対策
■北海道新聞:「美味しんぼ」 議論深めるきっかけに
■読売新聞:「美味しんぼ」 風評助長する非科学的な描写
事故による放射線が原因で鼻血が出たとうかがわせる内容がその原因でした。
社説を有料会員限定としている神奈川新聞ですが、この美味しんぼの件は何故か全文公開されていて、それをたまたま発見しました。
ちょうど良いので、他の新聞も含めどう報じていたかをまとめました。

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低レベルの放射線被曝で鼻血はあり得るか?
(東京新聞)しかし、時間をかけた取材に基づく関係者の疑問や批判、主張まで「通説とは異なるから」と否定して、封じてしまっていいのだろうか。「水にそっくりのトリチウム(三重水素)」という東京新聞ですから、どれだけデタラメな主張であるか理解していないのでしょう。
反原発の主張ができれば、風評被害があろうと知ったことではないというスタンスなのでしょう。
※水とそっくりなのは、トリチウムではなくトリチウム水
(神奈川新聞)鼻血と被ばくの因果関係は、分からないというのが現状であろう。関係があるという専門家もいれば、ないという専門家もいる。専門家ね。関係があるという専門家がいるとしたら、エセ専門家ですね。
新聞が個人を特定せず「専門家」と書いた場合は、その存在・その専門性を疑った方が良いです(詳細はこちら参照)。
今回もご多分に漏れず、その存在・その専門性は確認できません。
(社会新報)漫画『美味しんぼ』の「鼻血シーン」問題で、首相や環境相、消費者相らが一斉に「放射能に直接起因する健康被害は確認されていない」などと批判のコメントを発したことは、鮮烈な印象を残した。山下俊一福島県立医大副学長が事故直後、「100ミリシーベルトまでは大丈夫」と発言したときは、こんなことにならなかった。これも再稼働シフトだと考えれば、ある意味理解できることだが。100ミリシーベルトまで被曝の影響を確認できないと言うことも、福島第一原発事故の放射線被曝程度で鼻血が出ないと言うことも、科学的にコンセンサスに従ったものです。
そのため、何の矛盾もないし、再稼働がどうのこうのとも関係ない。
(北海道新聞)問題視されたのは、そのごく一部にすぎない。しかも一定以下の放射線による被ばくが健康被害を及ぼすのか、専門家の間で見解が分かれている。一部かどうかは関係ない。
その「専門家」の名前・論文を教えて下さいよ。トンデモ「専門家」の言うことと科学的コンセンサスと同列に扱うな!
原発事故が起きたことと、不安を煽ることは全く別の話
原発安全神話や原発事故が起きたこと自体と、不安を煽ること自体は全く別のことで、一緒に論じる話ではない。混ぜこぜにして詭弁を弄している記述を紹介しましょう。
(東京新聞)東電が1号機の格納容器から大量の放射能を含んだ蒸気を大気中に放出するベント作業をした後も、住民にそれを知らせなかった。「そうとは知らず、われわれはその放射線を浴び続けてたんです」と、前町長は作中で訴える。赤字の部分は、この件と全く関係無い。
SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射能の拡散情報が、住民に伝えられなかったのも事実である。
またそれよりずっと以前から、原発は絶対安全だと信じ込まされてきたというさらに強い疑念がある。それらが払拭(ふっしょく)できない限り、被災者の心の底の不安はぬぐえまい。素朴な疑問や不安にも、国として東電として、丁寧に答える姿勢が欠かせない。情報隠しの疑念こそ、風評の温床なのである。
以下の信濃毎日新聞、毎日新聞、朝日新聞も同様。
(信濃毎日新聞)福島の人々が不安を感じる背景には、国が正確な情報を伝えてこなかったことがある。放射能を空中に放出するベント作業を住民に伝えないまま実施したのは一例だ。国や県は漫画表現に目くじらを立てる前に、どうすれば不安が軽減できるかを考えるべきだ。
(毎日新聞)もともと、根拠のない「安全神話」のもと、原発政策が進められた結果が今回の事故につながった。「美味しんぼ」の中でも指摘されているが、事故後の放射性物質放出についての政府の情報公開のあり方は、厳しく批判されるべきだろう。また、汚染水はコントロール下にあるといった政府の姿勢が人々の不信感を招き、不安感につながっているのも確かだ。
(朝日新聞)今回のような健康被害に関する主張は事故後あちこちで見られてきた。それが広く関心を集める背景には、巨大な被害を招いた原発政策への怒りも反映していよう。
美味しんぼで鼻血を描くのも自由。だが、それを批判するのも自由
(神奈川新聞)そうした不安を漫画で表現することに問題があるのだろうか。政治家による相次ぐ批判は過熱気味で「表現の自由の侵害」となりかねない。何より、放射能の問題に真摯に向き合う姿勢があるのかという、事故後に多くの国民が感じた不信を再び喚起するだろう。クソみたいな表現をするのも表現の自由として認められます。
当然、美味しんぼを出版するのも自由。
そのクソみたいな主張を批判するのも自由。
政治家による批判がクソみたいな主張だと思えば、次の選挙で投票しないのも自由。
「リベラル」という人たちは、
・自分たちの表現の自由は完全に確保されなくてはならない。そして、「リベラル」による主張を他人(特に政治家)が批判する自由は無い。
・他人の表現の自由は時と場合(「リベラル」の人たちの都合によって決まる)によって制限される。
と考えているとしか理解できないことがよくある。
神奈川新聞と同じく表現の自由について言及したのは、毎日新聞と京都新聞。
(毎日新聞)この問題をきっかけにして、原発の安全性や放射線による健康被害を自由に議論すること自体をためらう風潮が起きることを懸念する。
(京都新聞)根拠のない「安全神話」の下で原発政策が進められ、福島の事故につながった。不都合な事実を隠したり、表現の自由を萎縮させては、真の復興につながらない。
社説リンク
■東京新聞:美味しんぼ批判 行き過ぎはどちらだ
■神奈川新聞:「美味しんぼ」問題 「不安封じ」で解決せず
■朝日新聞:美味しんぼ―「是非」争うより学ぼう
■京都新聞:美味しんぼ問題 議論深めるきっかけに
■西日本新聞:美味しんぼ 問題提起は丁寧にしたい
■毎日新聞:美味しんぼ 「鼻血」に疑問はあるが
■信濃毎日新聞:美味しんぼ 漫画に抗議するよりも
■世界日報:漫画と原発、風評被害が生じかねない
■産経新聞:美味しんぼ 独善で風評を助長するな
■社会新報:再稼働シフト 全体像見えぬ小手先の議論や対策
■北海道新聞:「美味しんぼ」 議論深めるきっかけに
■読売新聞:「美味しんぼ」 風評助長する非科学的な描写
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