東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理
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「東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理」(服部美咲)を読みました。
この本は、オンラインメディアSYNODOSの「福島レポート」の記事をもとに加筆・修正したものとのことです。
ピックアップした箇所の記事もリンクしておきます。
今の日本は何事も ALAP になってしまっていますね。
コロナも「社会的、経済的」影響を無視しすぎ。経済的なものを無視したら、長期的にはかなりヤバイことになるのだけど。
ALARA という考え方が広まらないかな。
UNSCEAR がどのような組織かが良くわかります。
「UNSCEARの報告はなぜ世界に信頼されるのか――福島第一原発事故に関する報告書をめぐって/明石真言氏インタビュー / 服部美咲 - SYNODOS」
UNSCEAR:放射線影響に関する報告を出す
↓
ICRP:勧告を出す
↓
IAEA:要件・原則・指針を出す
↓
加盟各国:国内法を作り施行する
という関係性で、UNSCEARでは、政策については取り扱わないという。
特徴的なことを箇条書きします。
・UNSCEAR 自体が何かを推奨したり勧告したりはしない。
論文について「科学的見地に基づいて評価した場合、この研究には不足がある」と報告することはあるが、推奨や助言はしない。
・UNSCEARでレビューする5・6倍の論文をチェックしている
・UNSCEARでリストアップされる論文の条件
・査読付きであること
・英語論文であること
・論文の科学的クオリティが低いもの(疫学分野であれば母集団が小さすぎる、統計的処理が曖昧など)は選考から落とされる
・科学的クオリティが低い場合でも「社会的に影響が大きい」ものは、あえて取り上げた上で、そのダメなところを報告する。
例えば津田敏秀岡山大学教授の論文とか
・福島第一原発事故に関しては、公平性の観点から日本人は報告書を書けず、データの収集・技術的アドバイスなど下働きしかできなかった
以下の図を見てもらうと(本の中でも引用している)、福島県の甲状腺がんが多く「発生」しているのではなく「発見」しているだろうことがわかりますね。

※「環境省_チェルノブイリ原子力発電所事故と東京電力福島第一原子力発電所事故との比較(甲状腺線量)」より引用

※「環境省_チェルノブイリ原子力発電所事故と東京電力福島第一原子力発電所事故との比較(被ばく時年齢)」より引用
この「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」は良いですね。一通り目を通しておくと良いと思います。

この本は残念ながらお高いので買うのをためらっている人は「福島レポート」と「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」をネットで読むことをおススメします。
東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理
服部美咲
丸善出版
2021/6/18
この本は、オンラインメディアSYNODOSの「福島レポート」の記事をもとに加筆・修正したものとのことです。
ピックアップした箇所の記事もリンクしておきます。
ALARA ではなく ALAP で本来受ける必要がない被害が出た
「科学を福島の住民の生活につなぐ/丹羽太貫×早野龍五 / 服部美咲 - SYNODOS」(早野龍五東京大学名誉教授)「ALARA」(注8)とはまさに、「放射線リスクを必ずしもゼロにしなければならないわけではない」ということのはずなのに、そしてこの六年半、専門家は常にこの意味で「ALARA」と言ってきたはずなのに、実際には一度も「ALARA」は実行されませんでした。本来避難する必要がなかった線量で避難したことで精神的なものなどで放射線以外の問題が発生したという話はよく聞きます。
人々は「ALARA」の代わりに「ALAP」(注9)を実行しました。ND(不検出)じゃなければいけない、空間線量率は毎時0.24μSvになってはいけない。しかし、それと引き換えに壊されたものはあまりにも大きいものでした。家族を壊されたし、コミュニティを壊されたし、豊かな食文化も壊されたし、そこに住む生活の楽しみも壊されました。でもこうして線量を見てみれば、これほどのものをすべて投げ打つ必要なんてなかった。
注8:As Low As Reasonably Achievable の略。(社会的、経済的に)合理的な範囲でできうる限り低い被ばく線量を目指す
注9:As Low As Possible の略。(無条件に)可能な限り低い線量を目指す
今の日本は何事も ALAP になってしまっていますね。
コロナも「社会的、経済的」影響を無視しすぎ。経済的なものを無視したら、長期的にはかなりヤバイことになるのだけど。
ALARA という考え方が広まらないかな。
UNSCEAR
2017年より UNSCEAR の日本代表をつとめた明石眞言氏が UNSCEAR について説明をしています。UNSCEAR がどのような組織かが良くわかります。
「UNSCEARの報告はなぜ世界に信頼されるのか――福島第一原発事故に関する報告書をめぐって/明石真言氏インタビュー / 服部美咲 - SYNODOS」
UNSCEAR:放射線影響に関する報告を出す
↓
ICRP:勧告を出す
↓
IAEA:要件・原則・指針を出す
↓
加盟各国:国内法を作り施行する
という関係性で、UNSCEARでは、政策については取り扱わないという。
特徴的なことを箇条書きします。
・UNSCEAR 自体が何かを推奨したり勧告したりはしない。
論文について「科学的見地に基づいて評価した場合、この研究には不足がある」と報告することはあるが、推奨や助言はしない。
・UNSCEARでレビューする5・6倍の論文をチェックしている
・UNSCEARでリストアップされる論文の条件
・査読付きであること
・英語論文であること
・論文の科学的クオリティが低いもの(疫学分野であれば母集団が小さすぎる、統計的処理が曖昧など)は選考から落とされる
・科学的クオリティが低い場合でも「社会的に影響が大きい」ものは、あえて取り上げた上で、そのダメなところを報告する。
例えば津田敏秀岡山大学教授の論文とか
・福島第一原発事故に関しては、公平性の観点から日本人は報告書を書けず、データの収集・技術的アドバイスなど下働きしかできなかった
福島の甲状腺検査を概観する
これに関する直接的な記事はないが「福島における甲状腺がんをめぐる議論を考える――福島の子どもをほんとうに守るために/服部美咲 - SYNODOS」が一番近い。以下の図を見てもらうと(本の中でも引用している)、福島県の甲状腺がんが多く「発生」しているのではなく「発見」しているだろうことがわかりますね。

※「環境省_チェルノブイリ原子力発電所事故と東京電力福島第一原子力発電所事故との比較(甲状腺線量)」より引用

※「環境省_チェルノブイリ原子力発電所事故と東京電力福島第一原子力発電所事故との比較(被ばく時年齢)」より引用
この「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」は良いですね。一通り目を通しておくと良いと思います。

この本は残念ながらお高いので買うのをためらっている人は「福島レポート」と「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」をネットで読むことをおススメします。
東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理服部美咲
丸善出版
2021/6/18
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