食を壊したい!⑦ 戦後食生活改造デマ
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「ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?」(堤未果)を読みました。
過去記事はタグを参照のこと。
『第6章 日本の食の未来を切り拓け』にツッコみます。
除草のために田んぼに一度も入る必要が無いのならば、最大のコスト差要因である労働費の問題が無くなります。
そうであれば、有機農業は慣行農業に比べ、一般的に単収が二割減るという部分が解消されるのらば(「とんとん拍子に収量も上がり」とあるので、解消されている可能性がある)、コストは同等となり補助は不要になる。
コスト競争力があるのに補助をするとしたら、利益供与に他ならない。
いすみ市が特定の有機農家に利益供与しているか、堤氏の書いていることがデタラメなのか、どちらでしょうかね?
調べましょう。

※農林水産省の「環境保全型農業(稲作)推進農家の経営分析調査結果の概要」より引用
これによると、〈稲葉式稲作技術〉と同分類の「無農薬・無化学肥料栽培」は、慣行農業の92.7%しか単収を得られないようだ。
慣行農業の単収は資料に書かれていないが、逆算すると 525kg である。
いすみ市の例を見てみましょう。

※「千葉県いすみ市の有機農業産地づくり いすみ市農林課 主査 鮫田 晋」より引用
無農薬のケースを見たいので、Kさん513kg がそれに近いでしょう。
慣行農業の 525kg と大差ないので、堤氏の言う「とんとん拍子に収量も上がり」は間違っていなさそうだ。
上記資料に20,000円の収入とあり、山田正彦氏がブログでも書いているように、この金額はいすみ市の購入価格のようです。
慣行米の場合はいくらで売れているのでしょうか。
有機米にするために月給食費を169円上げているとのことで、学校に月20日行くとすると1日あたり8円。
「茶わん1杯のごはん - 米穀安定供給確保支援機構」によると、茶わん1杯のご飯(精米65g)で8円の差額から、元(慣行米)の原価が算出できます。
65g/60000g*20000円 - 65g/60000g*x円 = 8円
x = 12615円
わかりやすくするために、13000円で慣行米を仕入れていたとしましょう。
いすみ市は、慣行米の約1.58倍(=20,000/13,000)の価格で購入していることになります。
単収は変わらず、除草作業も不要なのに、約6割増しで買わなければならない理由は何でしょうかね?

※農林水産省の「環境保全型農業(稲作)推進農家の経営分析調査結果の概要」データから作成
除草作業が不要ならば、慣行農業と比較する時に費用から除外して良いでしょう。
販売経費は、市に直接納入するとして外せるだろうし、建物・農機具など青字は慣行・有機で本来違いはない費用だろうことから除外する。
その結果②では、約1.5割増しで6割増しである必要はない。
③の雇用費用(除草作業等に必要な費用)を足してあげると約3割増しで、6割増しになりません。
ちなみに、上記の「環境保全型農業・・・」の資料に10a当たりの労働時間も記されていて、無農薬・無化学肥料栽培は慣行農業より18時間多く、その差分の半分以上は除草作業です。
計算が合わないので、以下の何かに該当するのでしょう
①「とんとん拍子に収量も上がり」と堤氏は書くが、それが事実と反する
②「一度田植えをしたらその後ずっと田んぼに入らなくても雑草も病害虫被害も出さない」と堤氏は書くが、その農法は使っていないか、その農法では実は除草作業は無くならない
③いすみ市が利益供与している
②が一番怪しいと思いますけどね。
また、「形も大きさも不揃いで虫食いだらけ」なのは、単にその生産者の農業生産技術が乏しいだけで、有機農業だからではありません。
以下を見てもらうと良くわかると思います。
「有機はそういうものだ」と言う農家(技術のないだろう人)が作った有機野菜の方が慣行農業より危険である可能性は十分にあります(カビ毒など)。
こんな有機農業のド常識を無視したことを書く国際ジャーナリスト様は素晴らしいですね。
①PL480 タイトル II をめぐる日米交渉 ──学童服計画の断念と学校給食向け贈与の成立──
②日本の援助受入政策とその時代背景 ― 占領期から1950年代における日米間援助を中心として ―
この論文(主に①。3割/7割・キッチンカーの話は②)に書かれている内容を次にまとめます。
・単純資金援助ではない
・1億ドル相当の余剰農産物を日本が受け入れる
・その内、1500万ドル相当は日本への贈与(学校給食に利用)、残り8500万ドル分を国内で売った7割を日本が使い、残り3割をアメリカが使う
・8500万ドルの7割に相当する日本円を年2.5%の利率で返済する
・日本の7割分のお金は愛知用水整備などに使った(IMFの融資は用途が制限されていたが、これはそうではない)
・アメリカの3割分のお金でキッチンカー事業(堤氏の書く「移動式ミニバン・・・」に相当)などに使われた
・アメリカは贈与分の用途として「脱脂粉乳(学校給食)+綿花(学童服)」を想定していた。
だが、日本側では「小麦(学校給食)+綿花(学童服)」を考えていた。
いろいろな事情から「小麦(学校給食)」に要求を変えた。
しかし、アメリカからの小麦はパンに適さないものなので、カナダ産小麦などとブレンドされた小麦を要求した。
①の論文では、PL480を使ってアメリカが意図的に小麦食に誘導したというのを否定している。論文の最後を引用します。
しかし、堤氏の「毎年1万5000トンの小麦を4年連続で学校給食用に使用させられた」はどこから持ってきた数字なのでしょう?

※①の論文より
4年間というのだから、贈与分の話をしているのだろうか。
だが、数字が違う。
最も少ない4年目でも2万5千トン。
しかも「使用させられた」だからね。贈与されたものなのに。
海外に出ていくお金を減らす為なのならば、小麦でなくもっと単価の高い作物を育てるべきなのですよ。

※「今治市農林水産業振興計画 平成25年6月 今治市」より引用
生産額ベースの自給率を見てもらえばわかりますが、小麦の寄与率はカスです。
今治市は何をすべきかは、以下を見てもらえばわかります。

※「今治市農林水産業振興計画 平成25年6月 今治市」より引用
やるべきことは、生産額は高いが割合が相対的に低い「野菜」を充実させ、生産額が高く得意な「果実」「魚介類」により注力することでしょう。
米は相対的に低いが、他の県に任せれば良い。畜産についての判断は保留。
間違っても、パン用の小麦ではない。
ちなみに、
「わがマチ・わがムラ 愛媛県今治」
を見ると、麦類の出荷額は2千万円、果実は40億3千万円。
しかし「それは長い間、PL480法に基づく協定に苦しめられてきた日本の小麦が、ついに反旗を翻し、アメリカ小麦からその座を奪い返した瞬間だった」ってアホですね(これは堤氏の言)。
平成23年度(2011年度)の今治市の小麦自給率は上のグラフを見てもらえばわかりますが、たった0.7%。
何、アホなことを言っているのだ?
なお、特産品として小麦を栽培し、お土産・食事処で提供するなどの目的でやるのならば、それはそれで良いと思う。
だが、「九州から種を手に入れ」とあるように、独自のものではないようなので、その目的もなさそう。
堤氏が法律に関して書いていたら、かなりの確率で間違っているので大いに注意しましょう。
「2011年4月」に法改正がされたように書かれていますが、2011年8月26日なので違います。
「地方分権一括法を知っていますか?」などと書くわりに、その改正内容について全く説明していないクソっぷり。
仕方ないので以下の概要を引用します。

※『「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号)(第2次一括法)が成立。 : 地域主権改革 - 内閣府』の概要より
堤・山田両氏の書いてあることを読むと、国からの通知に従う必要はなく、地方で決められるようになったことが、改正の内容であると読み取れます。
しかし、どっこい、そんな話ではないのです。
「地方分権一括法」が成立したのは、上記のように2011年8月なのですが、新型コロナで主に関係する通称「新型コロナ特措法」(正式名:新型インフルエンザ等対策特別措置法)は、2013年4月13日に施行されていて関係無いのです(一括法に違反しないように特措法ができているので)。
本当に和歌山県知事は「私たちは地方分権一括法を忘れているのではないか?」などと言ったのでしょうか?
このフレーズで検索しても山田氏関係のものしか見つからない。
そもそも、新型コロナ特措法における地方自治体と国の責任を見ると、いちいち厚生労働省の通知で動くのはおかしいのです。
特措法の「第三条(国、地方公共団体等の責務)」をまとめます(詳しくはリンク先を見てください)。
■国の責任
・自ら新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施
・地方公共団体及び指定公共機関が実施する新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に支援
・国全体として万全の態勢を整備する
・ワクチンその他の医薬品の調査及び研究を推進する
・諸外国との国際的な連携を確保し、調査及び研究に係る国際協力を推進する
■地方自治体
・基本的対処方針に基づき、自らその区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施
・区域において関係機関が実施する新型インフルエンザ等対策を総合的に推進する
■それぞれ
・相互に連携協力し、その的確かつ迅速な実施
上記を見れば、ワクチン・国際連携は国、それ以外は地方自治体の責任なのです。
権限を渡すということは、すなわち責任も一緒についてきますが、新型コロナでは地方がその責任を果たさず、いちいち厚労省の通知で動いていたのです。
そして「各省庁も、この法改正について隠しているんです」とは、完全な騙しですね。
何故なら「地方分権一括法」は改正法なので、施行されると各法律に溶け込み、附則以外は意味を失います(詳細は「改正の方式」参照)。
そのため、各省庁は個々の法律改正について広報します。当たり前ですよね。
山田氏は弁護士でかつ元国会議員・国務大臣なので、そんなこと百も承知だろうが。
さすがデマ屋ですね。詳細はこちら参照。
「微生物が安心して暮らせる」のですね。ノーベル賞もらえますよ。微生物に心があることを証明してくれたのですね?
「雨が降るとカルシウムやカリウムなどのミネラルが土中に流れ出してしまう」って、どこから流れ出してしまうのでしょう?
「土中に」って書いているので、土以外の何かから流れ出すということらしい。
植物からかな?植物から流れ出すとしたら、強酸でないと無理だと思いますが。
常識的に考えれば
「雨が降るとカルシウムやカリウムなどのミネラルが土中から流れ出してしまう」
でしょうね。
「完全無酸素の状態で外から熱分解」すると、重金属・鉄・アルミ・リチウムなどが消えてなくなるのですか?
水素・窒素・硫黄などは気体の酸化物になって空気中に放出されるのだろうが、重金属などは残るでしょう。
「ゴミが出ない」とはどういうことだ?
それを畑にまいても安心なんだ?
安全(アルミは植物の成長に害があるし、重金属は人に害がある)ではないが、堤氏みたいにモノを知らない人は「安心」できるのでしょうね。
「土に還り、循環の輪にもどるのだ」は、大爆笑ですね。
先ほどの「炭素だから分解されることもなく」と完全に矛盾していることを書いている。
和歌山県印南町の高機能炭和歌山研究所の田中稔所長という人が言ったらしいことが書かれている。
アルミからは、酸化アルミニウムしかできないだろうが、アルミニウムが炭素になると思って試したのでしょうか?
常識的にあり得ないですね、先ほどの記述からも単に堤氏に中学校理科の知識が無いので、デタラメな内容になっているのでしょう。
次も、田中所長が言ったらしいことが書かれている。
土の中→川→植物プランクトン→動物プランクトン→魚
と移動していくのはわかる。
「蒸発して水蒸気となって山に戻る」?
水蒸気に鉄が含まれて雨と一緒に山に戻ると堤氏は理解して書いているようです。
すげー。
鉄が水と一緒に蒸発するのならば、塩分(塩化ナトリウム)も一緒に蒸発して地球上の土で塩害が出そうですな。
この後と免疫力などふわ~っとした話ばかりで、ツッコみ難いのでスキップします。
ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?
堤未果
文藝春秋
2022/12/16
過去記事はタグを参照のこと。
『第6章 日本の食の未来を切り拓け』にツッコみます。
それなら補助いらないよね?
さらに一度田植えをしたらその後ずっと田んぼに入らなくても雑草も病害虫被害も出さない手法を編み出した。米、麦、大豆の輪作に、東日本大震災の後はナタネも追加し、地道に研究と実践を重ねた結果、ついに〈誰でもどこでもできる、農薬と化学肥料を使わない稲作技術〉が完成する。なかなか面白いことを仰る。
・・・
〈稲葉式稲作技術〉のおかげでそこからはとんとん拍子に収量も上がり、ついに日本初の〈100%有機倍学校給食〉が実現する。
・・・
学校給食では、有機米と慣行米の差額が保護者や生産者の負担にならないよう、そこは市の予算で埋めることにした。
・・・
いすみ市の英断を給食費に換算すると、慣行米との価格差は、生徒一人当たり毎月169円だ。
除草のために田んぼに一度も入る必要が無いのならば、最大のコスト差要因である労働費の問題が無くなります。
そうであれば、有機農業は慣行農業に比べ、一般的に単収が二割減るという部分が解消されるのらば(「とんとん拍子に収量も上がり」とあるので、解消されている可能性がある)、コストは同等となり補助は不要になる。
コスト競争力があるのに補助をするとしたら、利益供与に他ならない。
いすみ市が特定の有機農家に利益供与しているか、堤氏の書いていることがデタラメなのか、どちらでしょうかね?
調べましょう。

※農林水産省の「環境保全型農業(稲作)推進農家の経営分析調査結果の概要」より引用
これによると、〈稲葉式稲作技術〉と同分類の「無農薬・無化学肥料栽培」は、慣行農業の92.7%しか単収を得られないようだ。
慣行農業の単収は資料に書かれていないが、逆算すると 525kg である。
いすみ市の例を見てみましょう。

※「千葉県いすみ市の有機農業産地づくり いすみ市農林課 主査 鮫田 晋」より引用
無農薬のケースを見たいので、Kさん513kg がそれに近いでしょう。
慣行農業の 525kg と大差ないので、堤氏の言う「とんとん拍子に収量も上がり」は間違っていなさそうだ。
上記資料に20,000円の収入とあり、山田正彦氏がブログでも書いているように、この金額はいすみ市の購入価格のようです。
慣行米の場合はいくらで売れているのでしょうか。
有機米にするために月給食費を169円上げているとのことで、学校に月20日行くとすると1日あたり8円。
「茶わん1杯のごはん - 米穀安定供給確保支援機構」によると、茶わん1杯のご飯(精米65g)で8円の差額から、元(慣行米)の原価が算出できます。
65g/60000g*20000円 - 65g/60000g*x円 = 8円
x = 12615円
わかりやすくするために、13000円で慣行米を仕入れていたとしましょう。
いすみ市は、慣行米の約1.58倍(=20,000/13,000)の価格で購入していることになります。
単収は変わらず、除草作業も不要なのに、約6割増しで買わなければならない理由は何でしょうかね?

※農林水産省の「環境保全型農業(稲作)推進農家の経営分析調査結果の概要」データから作成
除草作業が不要ならば、慣行農業と比較する時に費用から除外して良いでしょう。
販売経費は、市に直接納入するとして外せるだろうし、建物・農機具など青字は慣行・有機で本来違いはない費用だろうことから除外する。
その結果②では、約1.5割増しで6割増しである必要はない。
③の雇用費用(除草作業等に必要な費用)を足してあげると約3割増しで、6割増しになりません。
ちなみに、上記の「環境保全型農業・・・」の資料に10a当たりの労働時間も記されていて、無農薬・無化学肥料栽培は慣行農業より18時間多く、その差分の半分以上は除草作業です。
計算が合わないので、以下の何かに該当するのでしょう
①「とんとん拍子に収量も上がり」と堤氏は書くが、それが事実と反する
②「一度田植えをしたらその後ずっと田んぼに入らなくても雑草も病害虫被害も出さない」と堤氏は書くが、その農法は使っていないか、その農法では実は除草作業は無くならない
③いすみ市が利益供与している
②が一番怪しいと思いますけどね。
見事なまでの有機農業についての不見識
愛媛県今治市のお話です。きっかけは1981年に遡る。有機野菜が慣行農業で作った野菜より安全であるというエビデンスはありません。
加工食品や冷凍食品が中心の大型給食センターで作る給食を、安全な地元産の食材を使って学校の調理室でつくる自校方式に切り替えてほしい。そう願って署名を集めた保護者たちの声が、それを公約に掲げた新人の岡島一夫候補を市長選で当選させた。翌年5月、岡島市長の元に地元農協から、「子どもや孫に美味しくて安全な食べ物を食べさせたいから給食に地元産野菜と有機食材を入れてほしい」という要望が届く。
・・・
一部でも有機にすると難色を示す地元の青果事業協同組合、形も大きさも不揃いで虫食いだらけの有機野菜に眉を顰める栄養士たち、「有機はそういうものだ」と譲らない生産者・・・
また、「形も大きさも不揃いで虫食いだらけ」なのは、単にその生産者の農業生産技術が乏しいだけで、有機農業だからではありません。
以下を見てもらうと良くわかると思います。
有機でボコボコの農産物が好みとのことですが、それは農法関係なく、単純に要素欠乏から来る整理障害のケースが多いので、農産物自体は不健康な状態ですね。ちなみにこの画像は当農場で生産していた有機JAS認証のピカピカツルツルの有機野菜たちです😊 https://t.co/AiSSn2jSDL pic.twitter.com/9E90zvfKtk
— 徳本修一|I AM A FARMER (@tokumoto1122) August 11, 2022
「有機はそういうものだ」と言う農家(技術のないだろう人)が作った有機野菜の方が慣行農業より危険である可能性は十分にあります(カビ毒など)。
こんな有機農業のド常識を無視したことを書く国際ジャーナリスト様は素晴らしいですね。
PL480
例えば1950年代に、増産しすぎて売れなくなった米国産の輸出用穀物を代金後払いで押しつけられ、国内で宣伝させられた上に、毎年1万5000トンの小麦を4年連続で学校給食用に使用させられた〈PL480法〉に基づく余剰農産物協定もその一つだ。次の論文に書いてあることとまるで違いますね(ちなみに例の東大農学教授も同じようなことを言っています)。
米国政府は、家族の食材選びに決定権を持つ〈主婦〉と、食の嗜好に大きな影響力を持つ〈学校給食〉をターゲットに、調理器具のついた移動式ミニバンに全国2万ヶ所を回らせて小麦と大豆を使った欧米式料理の作り方を披露。全国200ヶ所で製パン技術の講習会が開かれ、ここから生まれた約1万人のパン職人の存在を、テレビ、ラジオ、新聞が、新しい時代の象徴のように取り上げるという徹底した宣伝活動が展開された。
①PL480 タイトル II をめぐる日米交渉 ──学童服計画の断念と学校給食向け贈与の成立──
②日本の援助受入政策とその時代背景 ― 占領期から1950年代における日米間援助を中心として ―
この論文(主に①。3割/7割・キッチンカーの話は②)に書かれている内容を次にまとめます。
・単純資金援助ではない
・1億ドル相当の余剰農産物を日本が受け入れる
・その内、1500万ドル相当は日本への贈与(学校給食に利用)、残り8500万ドル分を国内で売った7割を日本が使い、残り3割をアメリカが使う
・8500万ドルの7割に相当する日本円を年2.5%の利率で返済する
・日本の7割分のお金は愛知用水整備などに使った(IMFの融資は用途が制限されていたが、これはそうではない)
・アメリカの3割分のお金でキッチンカー事業(堤氏の書く「移動式ミニバン・・・」に相当)などに使われた
・アメリカは贈与分の用途として「脱脂粉乳(学校給食)+綿花(学童服)」を想定していた。
だが、日本側では「小麦(学校給食)+綿花(学童服)」を考えていた。
いろいろな事情から「小麦(学校給食)」に要求を変えた。
しかし、アメリカからの小麦はパンに適さないものなので、カナダ産小麦などとブレンドされた小麦を要求した。
①の論文では、PL480を使ってアメリカが意図的に小麦食に誘導したというのを否定している。論文の最後を引用します。
以上,日米両政府の公文書分析からは,小麦を中心とする学校給食向け贈与は「アメリカ小麦戦略」でも「日米合作の食生活改造」でもなく,①財政制約による綿花贈与の断念,②外貨節約のための粉食奨励方針に基づく小麦贈与の要望,③国内酪農振興政策の開始およびアメリカ脱脂粉乳価格の割高による脱脂粉乳贈与の抑制といった,1950 年代半ば固有の経済的諸条件のもと意図せざる結果として形成された歴史的所産として捉えられることを指摘して結びにかえたい.
しかし、堤氏の「毎年1万5000トンの小麦を4年連続で学校給食用に使用させられた」はどこから持ってきた数字なのでしょう?

※①の論文より
4年間というのだから、贈与分の話をしているのだろうか。
だが、数字が違う。
最も少ない4年目でも2万5千トン。
しかも「使用させられた」だからね。贈与されたものなのに。
それは目的に即した行動ではありませんね
1999年、当時、今治市ではパンに使える小麦の生産量はゼロだったが、市長の掛け声で九州から種を手に入れ、市の試験場で栽培を開始する。今治市の人達が本当にこんな感じの事を言っているとしたならば、明後日の方向に進んでいますね。
2001年、今治市生まれの小麦で作ったパンが初めて給食メニューに加えられ、2009年になると、ほとんどが輸入小麦だった給食パンの6割を、今治産小麦で作ったパンに置きかえることに成功した。
それは長い間、PL480法に基づく協定に苦しめられてきた日本の小麦が、ついに反旗を翻し、アメリカ小麦からその座を奪い返した瞬間だった。
今治市の元職員である安井孝氏は、著書「地産地消と学校給食」の中で、この時のこと「日本の麦作復権の一助」と表現している。
それまで、海の向こうのアメリカにいる生産者に流れていた、市民の貴重な給食費が、ようやく今治市内の小麦生産者に届くようになったこと。たとえその規模は小さくても、地域の中で経済を循環させることは、環境負荷を最小限に抑え、そこに住む生産者の誇りや子どもたちの健康に貢献するのだと。
海外に出ていくお金を減らす為なのならば、小麦でなくもっと単価の高い作物を育てるべきなのですよ。

※「今治市農林水産業振興計画 平成25年6月 今治市」より引用
生産額ベースの自給率を見てもらえばわかりますが、小麦の寄与率はカスです。
今治市は何をすべきかは、以下を見てもらえばわかります。

※「今治市農林水産業振興計画 平成25年6月 今治市」より引用
やるべきことは、生産額は高いが割合が相対的に低い「野菜」を充実させ、生産額が高く得意な「果実」「魚介類」により注力することでしょう。
米は相対的に低いが、他の県に任せれば良い。畜産についての判断は保留。
間違っても、パン用の小麦ではない。
ちなみに、
「わがマチ・わがムラ 愛媛県今治」
を見ると、麦類の出荷額は2千万円、果実は40億3千万円。
しかし「それは長い間、PL480法に基づく協定に苦しめられてきた日本の小麦が、ついに反旗を翻し、アメリカ小麦からその座を奪い返した瞬間だった」ってアホですね(これは堤氏の言)。
平成23年度(2011年度)の今治市の小麦自給率は上のグラフを見てもらえばわかりますが、たった0.7%。
何、アホなことを言っているのだ?
なお、特産品として小麦を栽培し、お土産・食事処で提供するなどの目的でやるのならば、それはそれで良いと思う。
だが、「九州から種を手に入れ」とあるように、独自のものではないようなので、その目的もなさそう。
地方分権一括法
地方分権一括法を知っていますか?デマ屋仲間の山田正彦氏が登場しました!
・・・
全国オーガニック給食フォーラムの仕掛け人である山田正彦氏は、元農水大臣と弁護士という立場から、ほとんど知られていない、だが極めて重要な法律について、日本全国各地で講演し、こう呼びかけている。
「明治以来中央集権国家だった日本で、各都道府県と市町村は、ずっと国の指揮命令監督下に置かれていました。でも『地方分権一括法』という、地方自治法の大改正があったことを、皆さんは知っていますか?」
地方分権一括法(法律105号)。
2011年4月に、憲法上の地方分権に沿って行われた、とても大きな法改正だ。
だが大手新聞もテレビも事実上黙殺しており、ほとんどの国民は、この改正があったことも、その中身も知らないでいる。
「各省庁も、この法改正について隠しているんです」
山田氏は、そう訴える。
「でも中には、ちゃんと知っていて、これを活用している自治体もあるんです。
例えば新型コロナウィルスのパンデミックの対策について、国は市町村にどんどん通知を出して、市町村は素直に従っていましたね?でも日本で唯一、国の通知と違うことをした自治体があったんです。どこだと思います?和歌山県です。あそこは独自のコロナ対策をやって成功を収めた。
和歌山県知事は、『私たちは地方分権一括法を忘れているのではないか?』と改めて問いかけ、県の若い職員さんたちは『厚労省の通知が良いか悪いかは私たちが判断します』とはっきり言った。
わかりますか皆さん?これが地方分権なのです」
堤氏が法律に関して書いていたら、かなりの確率で間違っているので大いに注意しましょう。
「2011年4月」に法改正がされたように書かれていますが、2011年8月26日なので違います。
「地方分権一括法を知っていますか?」などと書くわりに、その改正内容について全く説明していないクソっぷり。
仕方ないので以下の概要を引用します。

※『「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号)(第2次一括法)が成立。 : 地域主権改革 - 内閣府』の概要より
堤・山田両氏の書いてあることを読むと、国からの通知に従う必要はなく、地方で決められるようになったことが、改正の内容であると読み取れます。
しかし、どっこい、そんな話ではないのです。
「地方分権一括法」が成立したのは、上記のように2011年8月なのですが、新型コロナで主に関係する通称「新型コロナ特措法」(正式名:新型インフルエンザ等対策特別措置法)は、2013年4月13日に施行されていて関係無いのです(一括法に違反しないように特措法ができているので)。
本当に和歌山県知事は「私たちは地方分権一括法を忘れているのではないか?」などと言ったのでしょうか?
このフレーズで検索しても山田氏関係のものしか見つからない。
そもそも、新型コロナ特措法における地方自治体と国の責任を見ると、いちいち厚生労働省の通知で動くのはおかしいのです。
特措法の「第三条(国、地方公共団体等の責務)」をまとめます(詳しくはリンク先を見てください)。
■国の責任
・自ら新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施
・地方公共団体及び指定公共機関が実施する新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に支援
・国全体として万全の態勢を整備する
・ワクチンその他の医薬品の調査及び研究を推進する
・諸外国との国際的な連携を確保し、調査及び研究に係る国際協力を推進する
■地方自治体
・基本的対処方針に基づき、自らその区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施
・区域において関係機関が実施する新型インフルエンザ等対策を総合的に推進する
■それぞれ
・相互に連携協力し、その的確かつ迅速な実施
上記を見れば、ワクチン・国際連携は国、それ以外は地方自治体の責任なのです。
権限を渡すということは、すなわち責任も一緒についてきますが、新型コロナでは地方がその責任を果たさず、いちいち厚労省の通知で動いていたのです。
そして「各省庁も、この法改正について隠しているんです」とは、完全な騙しですね。
何故なら「地方分権一括法」は改正法なので、施行されると各法律に溶け込み、附則以外は意味を失います(詳細は「改正の方式」参照)。
そのため、各省庁は個々の法律改正について広報します。当たり前ですよね。
山田氏は弁護士でかつ元国会議員・国務大臣なので、そんなこと百も承知だろうが。
いつになったら正しいことを書けるようになる?一生無理か・・・
山田氏は、私たち国民の主要農作物である米・麦・大豆の種子を都道府県の責任で開発し、農家に安く提供する「主要農作物種子法」が廃止された後、全国を回って、海外資本から地域の品種を守るために種子の主権を維持する重要性と、この地方分権一括法につい啓蒙した。赤字の部分は「主要農作物種子法」に一切記されていません。
さすがデマ屋ですね。詳細はこちら参照。
何を言っているのか意味不明
高機能炭なるものの解説がされている。炭素だから分解されることもなく、安心して暮らせるこの部屋の中で、微生物は元気いっぱいに活動しだし、植物と微生物たちとの共生関係が活性化し始める。「炭素だから分解されない」って、どういうこと?
酸性の土が多い日本では、雨が降るとカルシウムやカリウムなどのミネラルが土中に流れ出してしまうのだが、アルカリ性である炭でこれが中和され、植物の根に共生する放線菌が増殖して、育ちやすい環境になるのだ。
「微生物が安心して暮らせる」のですね。ノーベル賞もらえますよ。微生物に心があることを証明してくれたのですね?
「雨が降るとカルシウムやカリウムなどのミネラルが土中に流れ出してしまう」って、どこから流れ出してしまうのでしょう?
「土中に」って書いているので、土以外の何かから流れ出すということらしい。
植物からかな?植物から流れ出すとしたら、強酸でないと無理だと思いますが。
常識的に考えれば
「雨が降るとカルシウムやカリウムなどのミネラルが土中から流れ出してしまう」
でしょうね。
無機の炭を作れるだけでなく、廃プラスチック、電池やビニール、建築廃材、リチウム電池、生ゴミ、汚泥、レアメタル、タイヤ、ゴムローラー、フレコンバッグなど、完全無酸素の状態で外から熱分解するため、燃やしてもダイオキシンなどの有害ガスが発生せず、炭の中にも残らない。だから無農薬の畑にも、安心して撒ける。ゴミなど出ない。土に還り、循環の輪にもどるのだ。電池・建築廃材・リチウム電池・汚泥などに含まれる重金属はどこに行くのですか?
「完全無酸素の状態で外から熱分解」すると、重金属・鉄・アルミ・リチウムなどが消えてなくなるのですか?
水素・窒素・硫黄などは気体の酸化物になって空気中に放出されるのだろうが、重金属などは残るでしょう。
「ゴミが出ない」とはどういうことだ?
それを畑にまいても安心なんだ?
安全(アルミは植物の成長に害があるし、重金属は人に害がある)ではないが、堤氏みたいにモノを知らない人は「安心」できるのでしょうね。
「土に還り、循環の輪にもどるのだ」は、大爆笑ですね。
先ほどの「炭素だから分解されることもなく」と完全に矛盾していることを書いている。
和歌山県印南町の高機能炭和歌山研究所の田中稔所長という人が言ったらしいことが書かれている。
知人の紹介で知ったCYC社の炭化装置を思い切って導入し、みかんにアルミ、ヘドロに松ぼっくりと、ありとあらゆるものを炭化する実験を繰り返す。だが灯台下暗し、最後に行き着いたのは、和歌山県人にとって最も身近などこにでもある梅のタネだった。みかん・ヘドロ・松ぼっくり・梅のタネはわかるが、本当に「アルミ」もやったのでしょうか?
アルミからは、酸化アルミニウムしかできないだろうが、アルミニウムが炭素になると思って試したのでしょうか?
常識的にあり得ないですね、先ほどの記述からも単に堤氏に中学校理科の知識が無いので、デタラメな内容になっているのでしょう。
次も、田中所長が言ったらしいことが書かれている。
針葉樹が植林されるようになって、昔のように落ち葉が落ちなくなったからです。落ち葉の腐葉土は、フミン酸、フルボ酸を出してくれます。鉄の話をしています。
雨が降って、腐葉土の中を通ると、その酸が溶けて土の中の鉄がひっつく。このフルボ酸鉄が川に流れて植物性プランクトンを育てて、それを食べた動物性プランクトンを魚が食べる。海に流れて、ワカメや海藻を育てる。それがまた魚に食べられて蒸発して水蒸気となって山に戻る、というように、本来は循環しているんです。
土の中→川→植物プランクトン→動物プランクトン→魚
と移動していくのはわかる。
「蒸発して水蒸気となって山に戻る」?
水蒸気に鉄が含まれて雨と一緒に山に戻ると堤氏は理解して書いているようです。
すげー。
鉄が水と一緒に蒸発するのならば、塩分(塩化ナトリウム)も一緒に蒸発して地球上の土で塩害が出そうですな。
この後と免疫力などふわ~っとした話ばかりで、ツッコみ難いのでスキップします。
ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?堤未果
文藝春秋
2022/12/16
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