誰が農業を殺すのか?少なくともデマ屋が足を引っ張っている

人気ブログランキング

誰が農業を殺すのか」(窪田新之助,山口亮子)を読みました。

まともな本なので、特段ツッコむところは無いのだが、目に留まったところを書いていきます。

第一章 中韓に略奪されっぱなしの知的財産

サブタイトルで「"意識高い系"が反対した種苗法改正」とあるところのお話。

種苗法改正」について、過去にいろいろ書いたので詳細は左記のリンクを見てください。

"意識高い系"とは、控えめな表現だと思いましたが、以下のように書かれていました。
反対派の中心にいたのは、著名な農業経済学者や元農相、JAの組合長らである。農業の知的財産権の一つである種苗を保護するための法改正であるというのに、なぜ彼らはそれに反対したのか。
学者と元農相の名指しがこの章ではされていなかったので、私が書きましょう。

鈴木宣弘東京大学大学院農学教授山田正彦元農林水産大臣です。

この二人のデタラメっぷりは、リンク先を読めばわかります。
こんなヤカラの話は聞く必要はありません。

「なぜ彼らはそれに反対したのか」とありますが、それは「今だけ、金だけ、自分だけ」の権化だからでしょう。
デマをばら撒いて金を稼ぐ。
騙された人が居ても農業に影響があっても知らない、自分の利益だけあれば良い、と思っているからでしょうね。

第二章 「農産物輸出5兆円」の幻想

中国にパックご飯を輸出するなどのアホなことに金・力をかけるのではなく、種苗のライセンスビジネスに力を入れるべきと書いています。
ライセンスビジネスの件は、農業ジャーナリストの浅川芳裕氏も韓国のイチゴの件で語っていました。
まともな人達がそう言うのでそうなのかもしれない。

当たるかどうかわからない品種を何でもかんでもそれぞれの国で品種登録するのは現実的でない。
もう申請できないものも沢山あるだろう。日本では根付いていない販売額の数%を徴収するロイヤリティビジネスが現実的なのかもしれない。

第三章 農家と農地はこれ以上いらない

まだ読んではいないが久松達央氏の『農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ』と近しい主張なのかもしれない。

戦後の人口が増えていて食糧増産しなければならない時期は、本来、農地に適さない箇所を無理やり田畑にしていた。
人口が減ったら、その逆になるのは当たり前。

変な補助金をばら撒いて維持しようとするのはナンセンスだと言いたいようです。
まあ、その通りですね。

「山林」と「田畑としての適地」の間にある耕作放棄地は、耕地としてではなく放牧地として維持するのが良いと個人的には思っています。
維持の手間も耕地に比べ相対的に小さいし、山と田畑の緩衝地帯ができるので、猪・猿などの害も出にくくなるだろう。

第四章 「過剰な安心」が農業をダメにする

過剰な安全・安心が日本をダメにしていると思っています。
コロナも原発も防災も。
なにごとにも一定のリスクがあり、それを理解し許容しなければ、競争力が低下する。
その一つとして、食・農業もあるでしょう。

みどりの食料システム戦略」で有機農業25%にするという話が書かれています。
有機農業で「持続可能性」がどうのとその戦略で謳われているが、全く「持続可能性」であるとは思えないので、有機農業に関するパブリックコメントにそのことを書きました。
まあ、その他の意見として無視されましたが。

みどりの戦略には、スマート農業以外にも首をかしげることがある。たとえば、2050年までの「土壌微生物機能の完全解明とフル活用」がそうだ。
マジでこんなことを言っているの?

環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律
さすがに、法律には「完全解明」などとは書かれていませんでした。
「土壌」に関する記述は第二条の次の記述のみ。
堆肥その他の有機質資材の施用により土壌の性質を改善させ、かつ、化学的に合成された肥料及び農薬の施用及び使用を減少させる技術を用いて行われる生産方式による事業活動

だが「みどりの食料システム戦略(本体)」には書かれていました。
農林水産分野でのゼロエミッション達成と持続的発展に向けた取組

日本の田畑における全土壌微生物の同定すら無理だろうに「完全解明」と書くのは、科学リテラシーが無いことを白状していますね。
こりゃヒドイ。

「3 遺伝子組み換え作物こそ、最も安全んな食べ物である」というサブタイトルを付けて、有機農業で遺伝子組み換えが使えないのはおかしいと書かれています。
その通りですね。
遺伝子組み換え作物ほど調べられている作物は無いでしょう。
これでもか!というほどに調べても何の問題も見つからない。
昔から食べられているものは、大丈夫だろ?って食べているだけで、調べられていない。

「反対することで利益を得る人や組織」というサブタイトルもついていました。
あ~、先に登場させたデマ屋さんたちのことですね。個人名は書かれていませんが、それらの人を批判していますね。
批判ごもっとも。

遺伝子組み換え技術を活用して微生物にキモシンを作る遺伝子を組み込むことで、キモシンを大量生産できる技術が開発された。一般社団法人Jミルクによると、現在、世界におけるチーズの製造量の約6割が遺伝子組み換えキモシンを活用している。
もちろん日本人もそのチーズを普通に食べている。
完全にジョークですね。
遺伝子組み換えを忌避している人の気が知れない。

ふと遺伝子組み換えキモシンを使った場合は、オーガニックチーズと呼べないのかな?と思った。
Are GMOs Used to Make Organic Cheese? | The Fanning Mill
によると、イギリス・アメリカ・カナダの場合は、オーガニックチーズと呼べないらしい。

日本の場合は「遺伝子組換え食品Q&A

「現在、日本で流通している遺伝子組換え食品には、①遺伝子組換え農作物とそれから作られた食品、②遺伝子組換え微生物を利用して作られた食品添加物があります。」
とあるので、オーガニックチーズとは呼べないと思われる。

少し古いが「欧米諸国等におけるレンネットに関する調査」にいろいろとまとまっている。
なお、キモシンはレンネットの成分。

第五章 日本のコメの値段が中国で決まる日

日本のコメ先物市場のことが書かれています。
試験上場して10年経った2021年に本上場しようとしたら、圧力がかかって廃止されたとあります。
そういえば、そんなことを聞いた記憶があるぞ。

「農水省は参加者が少ないからといった理由で本上場を不認可とする」と書かれている。
堂島取引所という株式会社なのだから、好きにやらせれば良いのにね。
変な欲を出さなければ、農家の損にならないと思うのだが、マネーゲームの対象がどうのでいう理由もあるようだ。

面白いことに、2005年に認可直前まで行ったが自民党に阻まれて、民主党政権時代の2011年8月に試験上場がなって、自民党の時代に不認可となったそうだ。
珍しく民主党時代に良いこともあったのですね。

第六章 弄ばれる種子

当たり前だが、農業経営にとって大事なのは、投下資本よりも収益性である。ただ、こうした事実を差し置き、誤解や憶測の議論が放置されているところに、種子法を巡る混乱の一端がある。しかも、その論陣を張っている面々に日本最高学府の学者だけでなく第一章で紹介した種苗法改正に反対する元農相やJAの組合長らが加わっているから厄介である。
それにしても不思議なのは、そこに鈴木氏が混ざっていることである。東京大学の学者であれば、種子法廃止や種苗法改正に反対する論拠が乏しいことは理解しているはずだ。それなのに反対派に与して種子にこだわりを見せるのは、よほどの事情があるに違いない。
よほどの事情はなんでしょうね?
それは「今だけ、金だけ、自分だけ」だと思いますが。

全国における作付面積は、コメが約140ヘクタールなのに対し、ムギとダイズはそれぞれ約28万ヘクタールと約15万ヘクタール(いずれも2021年産)でともに少ない。
・・・
この研究者が欧米の種苗会社に聞いたところ、一つの品種を普及して利潤を生むのに必要な面積は10万ヘクタールだった。・・・「10万ヘクタール以上」が事実なら、そもそも日本ではムギやダイズの育種で民間企業が入り込む余地は限定的とみるのが当然だ。
地域・種などの条件によるのだろうが、それなりの規模が無いとペイ出来ないというのはそうでしょうね。

民間育種のコメ「みつひかり」が10万ヘクタール(日本の1/14程度)もあるとは思えないので調べてみました。
みつひかりの特長 | 三井化学アグロ 農薬製品サイト」を見ると2020年で約1400ヘクタールとのこと。
品種別作付動向 | 米穀安定供給確保支援機構:米ネット」を見ると20位で作付けは 0.7%(1万ヘクタール)。

三井化学アグロの種苗事業は大赤字ってことな?

第七章 農業政策ブーム「園芸振興」の落とし穴

まともな計画も立てず、まともな農家を関与させず、補助金をじゃぶじゃぶ使って労働集約型の園芸農業に転化させようとしても失敗します!ってことが書かれています。

まぁごもっとも。
他の誰もやっていない新規事業ならば計画よりも実践が求められるだろうが、そうではない場合はその通りでしょう。

園芸振興の成功例として高知県のことが書かれており、その成功の理由は人とデータ。
指導員を育て、データに基づく農業をして単収を向上させ、ナス・ピーマン・シシトウ・キュウリ・ミョウガ・ニラは全国一位。
1ヘクタール当たりの農業生産額が599万円でダントツ一位とのこと。

第八章 「スマート農業」はスマートに進まない

熟練者がロボットを導入するとマイナスの効果が出るというという試算がされたそうだ。
まあ、AIなどは、人の経験を機械に詰め込んだもので、その習熟レベルによっては熟練者には劣る場合もあるでしょう。
当分の間は、素人でもそれなりの農業ができるように補助する役割に徹するでしょう。
そして時が経てば、少しずつ熟練者が手を出さなくても良いようになっていくだろうね。

誰が農業を殺すのか
窪田新之助,山口亮子
新潮社
2022/12/19



この記事へのコメント