元農相デマ 許諾料無償の苗を高額で買わされる!

山田正彦元農相の新作デマブログ記事を「農業の現場では、政府が種子種苗について、また大変なことを仕掛けてきました/勉強会のご案内」を見つけたのでツッコみます。

そんな決定はしていません

登録種苗を自家採種したら厳罰に処せられる種苗法が改定されて今年の4月から施行されていますが、多くの農家はその事実を知らないので、今年は激変緩和措置でほとんどの品種について取り締まりをしませんでした。

しかし農水省は弁護士、種苗企業、全農などと監視取り締まり制度の検討会を開いて着々と準備。

その背景には種子を金儲けに独占したい多国籍種子化学企業の匂いがしますが。

農水省は7月8日の発表では今年度中に民間の弁護士事務所を入れて、 無断で自家採種がなされていないか監視、取締りする機関を設けることを決定したのです。
「種子を金儲けに独占したい多国籍種子化学企業の匂いがします」ですか。
そりゃ、あなたの鼻が腐っているのでは?

まあ、どう思うかは個人の勝手ですが、以下の嘘はダメですよ。
「無断で自家採種がなされていないか監視、取締りする機関を設けることを決定した

決定していません。
海外流出防止に向けた農産物の知的財産管理に関する検討会:農林水産省」の結果の提言に過ぎず、それをどう扱うかは2022年7月8日時点で決まっていません。
上記検討会の論点整理資料から引用します。
II 対応の方向
これらの課題に対応するため、育成者権の管理については以下の方向で対応していくことが必要。
・・・
2. このため、育成者権者の意向を踏まえ育成者権の信託や利用権の設定等を受け、専任的に知的財産権の管理、国内外での侵害の監視・対応、海外ライセンスを行うことができる育成者権管理機関を設置すべきである。
設置すべきと言っているが、設置が決定したわけではない。



無償ですが・・・

農研機構が昨年サツマイモの新しい品種アマハズキを私達の税金で開発しましたが、それについても種苗会社に高い許諾料金を支払いしなければ農家が入手できないとはおかしな話です。

正確な事はわかりませんが、農研機構が新しい品種の育成者権利の専用利用権を売却したのではないでしょうか。
まず簡単なところから。
「アマハズキ」ではなく「あまはずき」です。

そして、「種苗会社に高い許諾料金を支払いしなければ農家が入手できない」は、大嘘です。
カンショ農業者の皆様へ
※農研機構の「カンショ農業者の皆様へ」より引用

引用部分外も含めてまとめます
・自家増殖には許諾が必要で、それは無償
・許諾を受けた種苗会社から購入した場合は、1年間は増殖可
 それを超えた場合は、許諾が必要
・許諾は3年毎に受ける必要がある

無償で利用可能なものを種苗会社が権利を買うメリットは無いので「農研機構が新しい品種の育成者権利の専用利用権を売却したのではないでしょうか」は、まるっきり根拠の無い感想です。

既出デマ

■登録品種の自家増殖の割合
農家の52.2%が登録品種を自家採種していることが明らかになりましたが
52.2%という数字は、自家増殖をしているだろう人の中での割合なので、全農家の中での割合ではありません。
そのため、上記はミスリードです。
それをラジオの対談で指摘されて山田氏は逃亡したという過去があります。

■単なる品種利用許諾
農水省の育種開発機関である農研機構、各都道府県の農業試験場で私達の税金で開発した優良な育種知見が、農業競争力強化支援法8条4項によって国の品種で1980件、地方の品種で420件が民間に提供されていることを農水省が明らかにしたのです。
1980件の育種知見が農業競争力強化支援法8条4項によって民間に提供されているといっていますが、完全なデマです。

農業競争力強化支援法成立前から普通に行われている品種の利用許諾です。
そもそも、農研機構は1980品種も持っていません。
詳細はこちら

また、農業競争力強化支援法8条4項によって、育種知見が提供されたとありますが、
法律に書かれているのは「生産に関する知見」であって「育種に関する知見」ではない。
詳細はこちら

■自家増殖禁止ではない
国会の審議では日本の農家から海外に流出したことはないことが明らかになりましたが、これによって世界で日本とイスラエルだけだという、農民の権利である自家採種を禁止する法律を通したのです
イスラエルが同かは知りませんが、少なくとも日本では「自家採種を禁止する法律」は存在しません。
それは、上記の「あまはずき」の件を見てもらえば明らかです。
禁止されているのに、なぜ許諾を受けられるのですか?っていう話です。

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