現役東大教授がデマ屋という絶望

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自民党という絶望」(鈴木宣弘ほか)を読みました。

●第一章 石破茂(自民党・衆議院議員) “空気”という妖怪に支配される防衛政策
●第二章 鈴木エイト(ジャーナリスト) 反日カルトと自民党、銃弾が撃ち抜いた半世紀の蜜月
●第三章 白井聡(政治学者・京都精華大学准教授) 理念なき「対米従属」で権力にしがみついてきた自民党
●第四章 古谷経衡(作家) 永田町を跋扈する「質の悪い右翼もどき」たち
●第五章 浜矩子(経済学者) “野望”実現のために暴走し続けたアベノミクスの大罪
●第六章 野口悠紀雄(経済学者) 「デジタル後進国」脱却を阻む、政治家のアナログ思考
●第七章 鈴木宣弘(経済学者・東京大学大学院農学生命科学研究科教授) 食の安全保障を完全無視の日本は「真っ先に飢える」
●第八章 井上寿一(歴史学者・学習院大学教授) 自民党における派閥は今や“選挙互助会”に
●第九章 亀井静香(元自民党政調会長) 小泉・竹中「新自由主義」の“罪と罰”
●特別寄稿 浅羽通明(古本ブローカー) 自民党ラジカル化計画――一党優位をコミューン国家へ

鈴木宣弘東京大学教授の記述をメインに見ていきます。
既出のものはスキップしています。
見出しに名前が書いていないのは鈴木教授パートになります。

第七章 鈴木宣弘

アメリカの米生産コスト

アメリカではコメ1俵を4000円くらいの低価格で売るように農家に求めますが、生産するためのコスト1万2000円との差額は全額国が補填するよ、ということを明確に打ち出しているわけです。
面白いことをおっしゃいますね。
コメ1俵は60kgですが、以下の図で見てみましょう。

経営規模・生産コスト等の内外比較
※農林水産省の「経営規模・生産コスト等の内外比較」より引用

コスト1900円とありますが、鈴木教授は1万2000円といいます。
どちらが正しいのでしょうね?

中国から肥料原料が輸入できなくなった?

リンと尿素も化学肥料の原料で、ほとんど100%輸入に頼っており、これらは中国に大きく依存していたのですが、中国が、「自国での需要が大きく上がっているために日本にはもう輸出できない」と言い出したのが2020年のことです。そのため、価格が2倍に跳ね上がるなど相当に厳しい状況に陥り、今や、そもそも原料が入ってこないので、製造中止せざるを得ない配合飼料も出てきている状態です。
不正確というか騙す気満々ですね。
下の図を見ていただくとそれが分かると思います。

化学肥料原料の輸入相手国、輸入量
※農林水産省の「肥料をめぐる情勢」より引用

コロナ禍では米を買いたくても買えなかった?

日本政府は「コメ余りだから作るな」「牛乳も余っているから搾るな」ということを繰り返しています。余っているのではありません。コロナ禍に直撃され、消費者の多くが買いたくても買えないという状況に陥っているのです。
ふ~ん。余っていないというのならば、過去に比べて価格が吊り上がっているっていうことですね。

相対取引価格の推移(税込)(全銘柄平均価格)
※「米に関するマンスリーレポート 価格編(令和5年6月号)」より引用

あれれ?おかしいな~。コロナ禍になってからググっと米価が下がっていますね。

低レベル陰謀論

種を農家に安定供給するための種子法が2018年に廃止され、あるいは農家による自家採種を制限する形で種苗法が2019年に改定されるなど、日本の農業を破壊するような改正が次々と進められていきました。アメリカの穀物メジャーやグローバルの種子農薬企業に向けて、日本の農家を市場として差し出したと言えるでしょう。
いつもの低レベル陰謀論ですね。

(参考)稲、麦、大豆の種子の国産割合の試算(令和3年産)
※農林水産省の「稲、麦、大豆の種子をめぐる状況」より引用

種子法の対象の稲、麦、大豆ですが「アメリカの穀物メジャーやグローバルの種子農薬企業」はどこにいますか?

規制改革推進会議は絶大な権限を持つ?

TPPにおいては、日米並行交渉で確認した書簡、いわゆるサイドレターというものが存在しています。
・・・
このサイドレターには驚くべきようなことが書かれているからです。日米間の規制改革について「外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める」としたうえで、「日本国政府は規制改革推進会議の提言に従って必要な措置をとる」と明記されてしまっている。
つまり、「規制改革推進会議」に絶大な権限が付与されたということです。この規制改革推進会議というのは、財界人を中心に、選挙で選ばれたわけでもない民間人が集まっている総理直属の諮問機関です。
デマ仲間の山田正彦元農林水産大臣と同じようなことを言っていますね。

このサイドレターというのは、「TPP交渉参加国との間で作成する文書」の「国際約束を構成しない(法的拘束力を有しない)文書」の分類にある「ホ 保険等の非関税措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の書簡」のことです。
法的拘束力を有しない文書なので、規制改革推進会議が本来持つ権限を超越することはできない。

規制改革推進会議に何ができるかというと、内閣府本府組織令の第三十二条にある通り、内閣総理大臣の諮問に応じ調査・審議して内閣総理大臣に意見を述べることなのです。
「絶大な権限」ね。その通りですね。ぷぷっ。

そもそも「提言に従って必要な措置をとる」は「提言に従う」ではないので、不要な提言だと思えば無視するし、どこまでやるかは受け手次第です。
日本語を理解できないのね~。

第一章 石破茂

防衛費をGDP2%にすることに関して次のように言っています。
たしかに、何の危機感も抱かず、何の抑止力向上の努力もしないという選択はありません。しかし、実際に何を脅威と考えるべきかについては、精緻かつ冷静な分析が必要です。たとえば、陸続きのロシアがウクライナに侵攻したことと、海峡を挟んだ中国と台湾との状況は直結して論じられることか、といったことです。
この後、台湾は上陸可能な海岸が少ない・予備役が多いなどと言っている。
ウクライナは陸続きだから陸軍が動いたが、台湾は海があるからミサイル・航空戦力による徹底的な破壊が先にあるというだけですよ。

「何だかプロパガンダのような根拠のない煽り文句のようにも聞こえる」などと言うが、大丈夫かね?

後の方で「軍事バランスが崩れると戦争が起こりやすくなる」とまともなことを言っているのだが、それとの整合性はどう取るのでしょう?

中国はたしかに軍事力を増強し続けており、またその意図も不明確で、我が国を含む周辺地域を不安定化させていますが、一方でその隣国はインドやロシア、パキスタンや北朝鮮などの国々であり、その軍事力をすべて台湾や日本に向けられる状況にはありません。
地上戦力は大していらないのでインド・ベトナムに張り付けておけば良い。ロシア・パキスタン・北朝鮮は友好国なのに軍を張り付ける必要あるの?

防衛費のGDP2%はNATO並みと言いますが、一方でNATOは加盟国に対して厳しく財政規律を課しているわけでしょう。
これは寒すぎる発言ですね。
加盟国に財政規律を課しているのは、NATOではなくEUですよ。
政府債務残高をGDPの60%以内にするようしているのはマーストリヒト条約です(財務省の資料参照)。

第二章 鈴木エイト

統一教会の取材を進めていくうちに、多くの政治家が、選挙に当選したいがために統一教会の末端の信者を使い捨てにしている構図を目の当たりにしました。「カルト団体よりも悪質なのが政治家じゃないのか」と感じたのが直接のきっかけです。
単行本のエピローグにも書いたのですが、私は2011年、都内の区議選に出馬した当選したある女性議員について、「統一教会の青年信者を運動員として使っている」という実態を『やや日刊カルト新聞』で報じました。この女性区議は自民党候補ではありませんでしたが、2007年に初出馬した際も統一教会の青年信者数十人を運動員として使い、新人ながらトップ当選を果たしていました。
取材の過程では、私はこの女性区議から猛抗議を受けることになりました。
「統一教会など初めて聞いた。まったく関係ありません」
そう主張するわけです。しかし、この区議は教団の礼拝や青年組織の偽装ボランティア活動にも参加しており、「まったく関係ない」という説明を信じることはできませんでした。
青年信者たちは、この区議が統一原理を理解し受け入れてくれたからこそ、無償で選挙活動を支援していたわけですが、いざその関係が明るみに出ると、政治家は躊躇なく信者たちを切り捨てる。
ここで書かれている件を『やや日刊カルト新聞』を見てみましたが「この区議が統一原理を理解し受け入れてくれた」どころか、統一教会の関係者だと知って付き合っていたかどうかも判断できない内容でした。
エイト氏がメディアによく出ているらしいことは知っていたが、こんなデタラメな論理を振りかざす人だったのですね。

被害者救済法に関する話です。
いわゆる「マインドコントロール」に関する規定が明記されていないという点です。マインドコントロールという言葉を定義するのは難しいのですが、外形的には自ら納得し、進んで献金しているという場合、そのお金が戻ってくるのかというと、今回の救済法案では戻ってこない可能性が高いのです。
・・・
常識的に考えれば、自分や家族の生活に影響を及ぼす献金というのは、何らかのマインドコントロールがなされた結果であることが多いので、そうした心理操作を明確に禁止する条文を盛り込まなければ、実質的な効果は見込めないわけです。
「自分や家族の生活に影響を及ぼす」だけの金を誰かに貢ぐ原因として「マインドコントロール」は少数例外的なものでしょうね。
アイドルに貢ぐ、ホストに貢ぐなどよくある系は「マインドコントロール」ではない。
お話になりません。

「マインドコントロールという言葉を定義するのは難しい」というが、エイト氏すらこの言葉を定義できないのならば、法律に組み込めるわけがない。
法治国家で定義がないものを取り締まることはできません。

教団が議員たちに重宝された最大の理由は選挙協力です。統一教会は、直近の参院選の全国比例区での組織票を見てもせいぜい8万票ほどで、創価学会のような大票田ではありません。その代わり、選挙時に24時間、献身的に働く運動員を提供してくれる。もちろんそこに多少の「統一教会票」が上積みされるわけですから、議員にとってこれほどありがたい存在はありません。
統一教会のメンバは24時間働いてくれるのですね。ふ~ん。
そうかそうか、8万票の弱小組織が「これほどありがたい」(=これ以上ありがたいものはない)というのですか。
頭大丈夫?
全国で8万票は「多少」ではなく「極少」ですね。

統一教会としては、最終的に、創価学会と公明党のような関係を自民党と築きたかったのではないかと思います。
統一教会が創価学会と比べてカスであったことをゲロっていますね。
全国比例区で600万の公明党、信者800万と8万。
この数字を見て統一教会が!という輩はアホですわ。

このことから、以下の話は納得できると思います。統一教会という影響力がない極少組織との関係性で何が問題になるんだっていう話です(そもそも、信教の自由の問題でもある)。
事件から間もない2022年7月、自民党の福田達夫総務会長(当時)が、メディアの質問に答え「なんでこんな騒いでいるのか、正直よくわからない」と発言しました。
福田氏はその後、発言について釈明を迫られましたが、私はここに自民党議員の本音が象徴されていると思います。要するに問題意識がないわけですから、関係を断ち切る必要性についても理解していないはずです。
これに関して問題があるとしたらマスゴミの存在でしょうかね。

第三章 白井聡

過去に白井氏の本を読みましたが、どうしようもない内容でした。
それに勝るとも劣らないほどの読む価値のない内容でした。

ユーミン死んだらいい発言の白井君ですが、肩書を見て驚いた。
京都精華大学准教授!
講師から准教授に偉くなっている。

第四章 古谷経衡

古谷氏のパートも白井氏に負けず劣らず読む価値がないですね。

第五章 浜矩子

毎年のように日本経済が破綻する!みたいな本を出す浜矩子同志社大学経済学教授の登場です。
まず、私はアベノミクスではなく、本質を明確にするために「アホノミクス」と呼ばせていただきますが、アホノミクスにおいて経済の舵取りが「うまくいかなくなった」のではなく、「非常に悪質になった」ということだと思っています。
浜教授の「"スカノミクス"に蝕まれる日本経済」という本を読みましたが、どうしようもないものでした。

次の文を見て、やっぱりこの人の本は読む価値がないと再認識しました。
彼の言うところの「戦後レジームからの脱却」とは、戦後というフレームワークから飛び出すことを意味しますから、つまりは戦後の否定、戦後を逆行していくことに重点が置かれていました。そこには、言わば21世紀版の大日本帝国を構築したいという野望があったことは間違いないでしょう。
間違いないのですって。

第六章 野口悠紀雄

この方も経済学者です。超やばい雰囲気を醸し出している人というイメージした。
彼の本は初めてなので、読んでどういう人かの判断を下そうと思いました。

この本で書かれていることは、可もなく不可もない内容ですが、いたって凡庸です。
これだけだと判断できませんね。

第八章 井上寿一

この方は歴史学者なんだそうですが、名前すら知りませんでした。
安倍元首相に関する話で次のように書いていました。
モリカケ(森友学園)問題など黒に近いグレーな部分もありました。
あ~、この方は党派性で歴史を捻じ曲げてしまう歴史学者なんですね。

第九章 亀井静香

年収が上がっていないのはなぜか?と聞かれ次のように言っています。
簡単だよ。企業が内部留保している。財務省の発表では今、企業の内部留保が516兆円もあると言うんだな。本来なら、貯める前に従業員の給与を上げるべきだろう。それをしないで企業が貯め込んでいるわけだ。
ではどうすればいいか。これは、岸田首相がやろうと思えばいつだってできる。内部留保に課税すればいい。
うわ~引くわ。日本共産党と同じことを言っている。
内部留保はすべてが現金ではなく、そもそも次の投資に使うための原資です。
それに課税するということは、成長する可能性を奪うということ。
目先は良いでしょうが、それで終わり。
読む価値無し。スキップですわ。

特別寄稿 浅羽通明

この方は「古本ブローカー」らしい。プロフィールをみると結構本を出している。
一党優位を許容しつつ、官邸主導となった自民党を、かつての疑似的政権交代が行われ得る準国家機関へと戻すことは、あるいは可能かもしれませんよ。それには立憲、国民両民主党、維新以下の野党に頑張ってもらうしかない。
ここで要請される野党の「頑張り」とはもちろん、既述のような、政権交代できるように党勢を強め支持層を増やし合同を汲む方向の頑張りではない。その真逆です。
どうすればよいのか?そんなことは決まっています。
野党は、自民党の総裁選のたびに、それぞれが推す自民党総裁候補、すなわち首相候補を発表して、応援するのです。そんなの世論調査の好感度上昇に毛の生えた外野の声援にすぎない、と思われますか?ところがそうでもない。
まるで意味ないですわ。

メディアは自民党総裁選で相対的に左翼に好かれる人を推します。
例えば、この本にも登場する石破茂氏。メディアが応援している時点で野党がそれに加わったところで大した効果がない。

似たような手法を使うのならば、野党支持者であるのを隠して自民党員になればよい。
そうすれば、投票権を取得できますから。
「野党支持者であるのを隠して」が大事。他党応援すると党則により処分される(場合によっては除名)。

今の政治をよくするには、
・まともな野党(マスゴミの出す話題に乗っかってスキャンダルなどを追及しない野党)を増やす
・マスゴミのスポンサーにあたって偏向報道に広告を出さないようにさせる
くらいしか手はないかな。

自民党という絶望
石破茂、鈴木エイト、白井聡、古谷経衡、浜矩子、野口悠紀雄、鈴木宣弘、井上寿一、亀井静香
宝島社
2023/1/27

この記事へのコメント

Type26
2023年06月20日 21:35
まあ、この鈴木エイトという報道匪賊ですが、この反体制報道暴民についてはnoteサイト上にあるカトウ・フミヒロ氏の記事で"陰謀論者"扱いされている程度のヘイト使いでしかないのですからね。

邪教というか、破壊的カルト教団なんてもんは家庭連合本体(米国に本部を持つこれの分派の方が危険度が高いからこう書く)以外にも多く存在するのに「なぜか」家庭連合「だけが」叩かれ続けている。

前述のカトウ・フミヒロ氏記事によるなら、ついに、この叩きとヘイトは米国国務省の知るところとなり、信教の自由についての報告書の一つにて日本編として取り上げた際にこの件についてもきちんと記している。

このまま報道匪賊や反体制暴民どもを「物として」始末しないで放置し、野放しにしておくと、いずれ、日本は『スキャンダルジャーナリズム独裁強権支配国家』と呼ばれて逆に国際社会そのものから徹底討伐されるはずだ。死文化しているとは言え、日本国に国連こと連合国から課せられている旧敵国条項が厳然として存在していることを忘れてはならない。