アマゾン五〇〇年 植民と開発をめぐる相剋

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アマゾン五〇〇年 植民と開発をめぐる相剋」(丸山浩明)を読みました。

・アマゾンは、低湿地・氾濫原である「ヴァルゼア」と台地の「テラフィルメ」でまるで違う。
 前者はアマゾンの数パーセントしかないが、川の魚・氾濫がもたらす肥沃な土壌、水運により古くから人口を養っていた。雨季に水浸しになるため高い木が育たない。
 後者はアマゾンの大部分を占め洪水時も浸水しない。高い所は200mに達する。鉄・酸化アルミニウムを主成分とする黄色ラトソルで、痩せている。
 例外的に肥沃な「テラ・プレータ(黒土)」がある。そこには木炭が豊富に含まれている。
 不完全燃焼させた木炭を土壌に提供していた焦がし畑農業(slashrn and char farming)だったかもしれないと書かれている(現在の焼き畑農業の slash and burn farmingとは異なる)。
 常緑広葉樹の樹種が豊富だが、林床は下草が貧弱で養分は樹木に吸われる。樹木が伐採されると土壌流出し自然再生は困難。
・ポルトガルは先住民の奴隷化に反対していたが抜け穴があった
・ナポレオンの時代にポルトガル本国はフランスから攻められてブラジルに避難した
・南北戦争で勝った北軍は奴隷をブラジルに送り付けてアメリカを白人の国にしようとしたが、うまくいかなった
・天然ゴムは初期アマゾンがメインであったが、南アジアにゴムの木のタネが持ち出されてシェアが落ちた。
 漆のように木を傷つけて樹液を採るが、燻蒸してゴム玉というのを作って輸出していた(今はどうしているかは知らない)。
・フォードが大々的なゴム園をアマゾンでやろうとしたが大失敗。
 密植したことで病気が蔓延したり土壌流出したりしてダメだった。

アマゾン五〇〇年 植民と開発をめぐる相剋
丸山浩明
岩波書店
2023/8/18

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