沖縄タイムスのファクトチェックをファクトチェックする

沖縄タイムスの阿部岳記者のファクトチェックがファクトチェックアワード2024の優秀賞を受賞しました。
おかしなファクトチェックなので、それに対してファクトチェックもどきをやってみました。
対象の記事は
『ひろゆき氏「沖縄は親を寝たきりにして年金で暮らす」をファクトチェック 主張の前提3点は2点誤り1点不正確 | 沖縄タイムス+プラス』
になります。
※現在は有料記事で本文が見られないので、アーカイブにリンクしています。
阿部記者によるファクトチェックの概要は次の通りです。
では3点を見ていきましょう。タイトルは阿部氏の主張になります。
しかし、これはおかしい。記事には次のようにあるので、FIJのレーティング基準に従ったということになります。
FIJのレーティング基準は次のようになっています。
寝たきりの統計は無く、要介護5認定の比率を見て寝たきりが多くないというのは阿部氏の単なる推察でしかない。
そのため「誤り」ではなく「根拠不明」が適切だ。
年金支給額は現役時代の所得に依存するので、所得の低い沖縄が低いの当たり前で、金額の数で比較するのはナンセンス。
現役時代に払った分のどれだけが戻ってくるかの比率で見るべきです。
よく言われる話ですが「数を主張されたら割合を見ろ、割合を主張されたら数を見ろ」にもろ該当します。
「公的年金制度における 47 都道府県の所得代替率に関する考察」によると、2015年の所得代替率トップは鳥取県で、2位が沖縄県です。
そのため、「年金が多めに出てしまう」のは、「誤り」ではなく「ほぼ正確」です。
※「正確」としても良いかと思ったが、どういう文脈で言ったかわからないので、厳しめに付けた。
厚生労働省の「年金制度における世代間の給付と負担の関係について」によると、若い人ほどもらえる額が減るので、この視点においては、ひろゆき氏の言うことは正しい。
どういう文脈で「年齢が高い高齢者はそれだけで、もらえる年金の額が多い」と言っているか不明のため、「不正確」ではなく「判定留保」が妥当だ。
総評すると、阿部氏のファクトチェックは適切ではないので、ファクトチェックアワードなる賞を受ける対象ではないと言える。
そもそも、「実業家のひろゆき(西村博之)氏が今年2月のユーチューブ配信で」と書いているが、YouTubeへのリンクが無いのはどういうことだ?
文脈が不明で判断できないとしたが、「FIJのガイドライン」には次のようにある。
ガイドラインに違反しているファクトチェックへ賞を与えるってどういうことでしょうね?
おかしなファクトチェックなので、それに対してファクトチェックもどきをやってみました。
対象の記事は
『ひろゆき氏「沖縄は親を寝たきりにして年金で暮らす」をファクトチェック 主張の前提3点は2点誤り1点不正確 | 沖縄タイムス+プラス』
になります。
※現在は有料記事で本文が見られないので、アーカイブにリンクしています。
阿部記者によるファクトチェックの概要は次の通りです。
実業家のひろゆき(西村博之)氏が今年2月のユーチューブ配信で、沖縄は老いた親をあえて寝たきりにしてその年金収入で暮らす構造があると発言していたことが分かった。「寝たきり老人が人口当たり一番多い」など、前提にした3点の主張を本紙がファクトチェックすると、2点が「誤り」、1点が「不正確」だった。
では3点を見ていきましょう。タイトルは阿部氏の主張になります。
「沖縄県は寝たきりが多い」というのは「誤り」
寝たきりの統計は無いため、要介護5認定の比率を見て、沖縄県は全国平均に近いので「誤り」と言っています。しかし、これはおかしい。記事には次のようにあるので、FIJのレーティング基準に従ったということになります。
本紙がNPO「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のガイドラインに沿ってファクトチェックした。
FIJのレーティング基準は次のようになっています。
正確 | 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。 |
---|---|
ほぼ正確 | 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。 |
ミスリード | 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。 |
不正確 | 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。 |
根拠不明 | 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。 |
誤り | 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。 |
虚偽 | 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。 |
判定留保 | 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。 |
検証対象外 | 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。 |
寝たきりの統計は無く、要介護5認定の比率を見て寝たきりが多くないというのは阿部氏の単なる推察でしかない。
そのため「誤り」ではなく「根拠不明」が適切だ。
「年金が多めに出てしまう」というのは「誤り」
「65歳以上人口で割り、1人当たりの額」は「沖縄は月額約7万7千円と全国最下位」なので「誤り」とのこと。年金支給額は現役時代の所得に依存するので、所得の低い沖縄が低いの当たり前で、金額の数で比較するのはナンセンス。
現役時代に払った分のどれだけが戻ってくるかの比率で見るべきです。
よく言われる話ですが「数を主張されたら割合を見ろ、割合を主張されたら数を見ろ」にもろ該当します。
「公的年金制度における 47 都道府県の所得代替率に関する考察」によると、2015年の所得代替率トップは鳥取県で、2位が沖縄県です。
そのため、「年金が多めに出てしまう」のは、「誤り」ではなく「ほぼ正確」です。
※「正確」としても良いかと思ったが、どういう文脈で言ったかわからないので、厳しめに付けた。
「年齢が高い高齢者はそれだけで、もらえる年金の額が多い」は「不正確」
阿部氏は次のように書いている。厚労省によると、年金は加入期間に応じて支払われるため、年齢は大きく影響しない。どういう文脈で言っているかわからないので、阿部氏の主張は一部をカバーしているに過ぎない。
ただ、厚生年金は給付水準が次第に切り下げられてきた経緯があり、年齢が高い方がやや多い傾向にある(厚労省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」⑤)。逆に国民年金は制度が拡充された1986年まで加入していなかった人がいるため、高齢者ほど少なくなる。ひろゆき氏の3点目の主張は不正確だった。
厚生労働省の「年金制度における世代間の給付と負担の関係について」によると、若い人ほどもらえる額が減るので、この視点においては、ひろゆき氏の言うことは正しい。
どういう文脈で「年齢が高い高齢者はそれだけで、もらえる年金の額が多い」と言っているか不明のため、「不正確」ではなく「判定留保」が妥当だ。
総評すると、阿部氏のファクトチェックは適切ではないので、ファクトチェックアワードなる賞を受ける対象ではないと言える。
そもそも、「実業家のひろゆき(西村博之)氏が今年2月のユーチューブ配信で」と書いているが、YouTubeへのリンクが無いのはどういうことだ?
文脈が不明で判断できないとしたが、「FIJのガイドライン」には次のようにある。
(2) 対象言説の表記文脈を示せとあるが、発言のパーツしか書いていない。
a. 対象言説は、できるだけ記事の冒頭において、その内容を必要な限度で引用するとともに、誰が、いつ、どこで、どのような文脈で発信したものかも、できるだけ具体的に記載するものとします。
ガイドラインに違反しているファクトチェックへ賞を与えるってどういうことでしょうね?
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