日本の果物はすごい

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日本の果物はすごい」(竹下大学)を読みました。

竹下さんの本は過去に「野菜と果物 すごい品種図鑑」「日本の品種はすごい」の2冊を読みました。
この本も面白い。

柑橘

普段見る柑橘は、カンキツ属(温州みかん・オレンジ・レモン・グレープフルーツなど)、キンカン属、カラタチ属とのこと。
キンカンは庭に植わっていたのでわかるが、カラタチってわからないな。
ということでWikipediaを見ると、エライトゲトゲしい。

越生町にいった時に見た以下はカラタチかも。


日本の柑橘はカラタチを接ぎ木の台木としているとのこと。
そういえば温州みかんは種がないがデラウェアのようにジベレリン処理をしていないから、増やすには接ぎ木が必要ですね。

その温州みかんだが、中国のものを移入したのと思っていたが、実は天草諸島の南端の長島で見つかったそうだ(現在も樹齢300年以上の古木がある)。
紀州みかんにクネンポが交配されたものが温州みかん。
読んでいると温州みかんのように交配でできたものもあるが、偶然の産物である枝変わりケースが多く紹介されている。

伊予柑は、その名前から愛媛で作られた品種だと思ってしまうが、実は山口県萩市で見つかったもの。



柿の葉寿司は、柿の葉に殺菌作用があるからだと思っていたのだが、それほどないそうだ。
そして、柿の葉寿司用の柿の葉は、それ専用の育て方がある。大きな葉にしないといけないので、実は摘果する。
6~8月に収穫した葉を塩漬けして年間使えるようにしている。

和歌山県は日本一の柿の産地だが、育てているのは渋柿の方が多いが、干柿として出荷しているわけではない。
二酸化炭素による脱渋法(CTSD)で渋を抜いているそうだ。甘柿の日持ちが悪いのがその理由。

紀の川を下った後に柿の葉寿司を食べたのだが、紀の川両岸が一大生産地とのこと。

「柿の種」って知っている本物の柿の種とは形が違うが、本物の柿の種には形がいろいろあるそうで、あの「柿の種」は新潟県の大河津という品種がモデルとのこと。
最初に作られた新潟県長岡市ではよく知られた品種。

葡萄

生食用とワイン用で、日本は前者の方が多いが世界的に見ると逆。
求められる質が真逆。前者は大粒・甘い、後者は小粒・酸っぱい。

1879年(明治12年)に勝沼の雨宮作左衛門がブドウ棚を劣化の早い竹ではなく鉄棒に変える施行をしていることが紹介されていた。
この話は知っていますぞ。↓勝沼に行った時に見ています。



戦時中みかんは農地としては適さない斜面での栽培が多かったので影響は少なかったと書かれていた。
葡萄は違う理由で逆に増産された。
その理由は、潜水艦のパッシブソナーに葡萄に含まれる酒石酸を海軍が求めたから。
そして酒石酸を取り出すのに糖分が邪魔になるので発酵させてアルコールに変換させるワイナリーが役に立ったそうだ。

種なし葡萄はジベレリン処理をしたデラウェアを真っ先に思いつくが、何でもかんでも種なしにはできないそうで、難しさにも差があるそうだ。
ジベレリンは日本人が発見・結晶化させたが、使用目的は種なし化ではなく、葡萄の粒間を広げるためだったのが偶然種なしを見つけた。
種なしにすると収穫時期が2週間早まるとのこと。

日本の品種は海外とは異なり4倍体が幅を利かせている。
粒が大きくなるが、栽培しにくい・収量が落ちやすいという欠点はあるが、栽培法でその欠点をカバーしている。

日本の果物はすごい-戦国から現代、世を動かした魅惑の味わい
竹下大学
中央公論新社
2024/9/19

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