普通の人のための原発デマ入門
「保守のための原発入門」(樋口英明)を読みました。
本のタイトルにある「保守」はメンテナンスの意味ではなくイデオロギーの意味です。
以下の人をなめたようなツイートを見つけたのが読もうと思った理由です。
リンクは判決要旨です。
見出し
・はしがき
・第1章 原発の実態
・第2章 原発の本質
・第3章 原発と司法
・第4章 保守と原発
・あとがき
・本文に記した以外の主な参考文献
日本国憲法第七十六条に違反しています。
「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」
イデオロギーに拘束されているので憲法違反です。
そもそも保守を理解していませんね。
司法における「保守」は法律・判例に忠実なことであり、司法の「リベラル」は世論などに従うことです。
書かれていることは司法におけるリベラルです。
「ALPS水・海洋排水の12のウソ」は見事なまでのデマ本です。義務教育を受けていればわかる程度のデマ満載です(詳細はこちら参照)。
著者が言っているのは処理途上のものです。
1/3が処理できたということは技術的に2/3もできるということ。
処理量を優先したため2/3は放出できるレベルに達していないだけで、再処理すれば放出できます。
こんな超初歩的なこともわからないとは酷いものです。
「放射性同位元素等の規則に関する法律」と書いているが法律名が間違っています。
「放射性同位元素等の規制に関する法律」です。
そして「放射線管理区域」を規定しているのは法律ではなく「放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則」という省府令です。
「放射線管理区域では水を飲むことも、ものを食べることも、寝ることも許されない」と書かれているが、飲食が許されてないのは「管理区域」ではなく「作業室」「貯蔵施設」です。
では、飲食が禁止されているのは何によるものかというと「電離放射線障害防止規則」(労働安全衛生法に基づく府省令)なのです。
しかも「電離放射線障害防止規則」でも寝ることは禁止されていません。
れいわ新撰組の山本太郎党首も「僕にもできた! 国会議員」で同じことを言っていました。
「一般公衆の被曝限度は年間1ミリシーベルト」といいつつ「1平方メートルあたり4万ベクレルを超える区域」と出てくるのは、ベクレルとシーベルトの違いを理解していないからでしょうね。
シーベルトは人体への影響を測る尺度でベクレルは放射能の量を測る尺度で全く違います。
※「環境省_単位間の関係」
「管理区域」について、シーベルト(3か月で1.3mSvを超える)とベクレル(表面密度がα線以外で4Bq/cm2を超える)の基準があります。
シーベルトの話をしたのだからどちらかの説明をするのならば前者でしょう。
「1平方メートルあたり」と単位を勝手に上げているのも気に食わん。1立方センチメートルと計測機器が変わるはず。
デタラメな説明は無視して以下を見るとよいでしょう。
・保健福祉職員向け原子力災害後の放射線学習サイト
・管理区域とは| 放射線を知る | 東芝電力放射線テクノサービス
そもそも「放射線量が年間1ミリシーベルトを超えていることによる健康被害の危険である」とはなんですかね?
空間線量を1mSv超えるところなど普通にある。
※「世界原子力協会」より引用
よく行く場所は除染しているので、そもそも高線量ではない。
あなたは側溝の高線量の場所に寝そべって24時間過ごすのですか?っていう話になる。
エネルギー量が大きいから臨界状態を止めても核反応が続くわけではない。
今開発中の核融合炉はエネルギー量は大きいがすぐに核反応は止まります。
ウランの核分裂に伴って半減期の様々な核種ができるからすぐに冷めない。
「燃料が燃え尽きれば収束の方向に向かう」というが、ウラン燃料だって燃え尽きれば収束にむかう。単にそのスパンが長いだけ。
「崩壊熱と呼ばれる核反応の継続」もわかっていないのがバレバレですね。
崩壊熱は核反応によって持たされる熱であって、因果が逆で「核反応の継続によって発生する崩壊熱」ですよ。
デタラメな元裁判官の説明ではなく「崩壊熱 - ATOMICA -」でも見ましょう。
完全自己完結する発電があるのならば教えてもらいたいね。
水力発電・火力発電も他からの電力供給がないと発電を開始できない。
太陽光は「安定して」夜に発電できないし、日中の発電量も気候で容易に変化する。
もう一回言いましょう。アホか。
福島第一原発の吉田所長の発言を引用元を示さず書いていたので吉田調書かと思って調べると、そこに含まれない内容があった。
例えば「第一と第二で計10基の原子炉がやられますから」など。
ググるとここがヒットし「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」からの引用だと分かった。
一応、最後の参考文献に記されているが、酷い引用の仕方ですね。
元裁判官様さぁ、著作権法上、どこを引用しているかわからなくてもよいのですか?
軽々しい主張はいただけませんね。
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会にある「資料Ⅱ-1-1関連」には次のようにある。
設計圧力・温度よりも低くて漏れたのならば「欠陥」と言えるかもしれない。
「福島第一原子力発電所設備」によると設計値は、0.38MPa、138℃。
東京電力の「福島原子力事故調査報告書」を見るとその時点では、0.5MPa、170℃です。
原子炉格納容器損傷時の値(0.5MPa以上、170℃以上) > 設計値(0.38MPa、138℃)
このため、「2号機が欠陥であった」という主張は誤りであり、「元裁判官の主張が欠陥であった」と言えます。
この記述を素直に読むと「最悪のシナリオ」が作られたのが先で、その後に4号機の屋根が水素爆発で吹き飛んで放水できるようになったように読めますよね。
「半径250km・5千万人避難の「最悪のシナリオ」(3月25日) - 菅直人公式サイト」によると、3月22日ごろに作成を依頼して3月25日に出てきたのが「最悪のシナリオ」なのです。
悪質ですね。
「核分裂のエネルギー - 原子力発電 | 電気事業連合会」ここを見れば大間違いであることがわかりますが、解説します。
「21トンのウラン」といっているのは核燃料ウランの総重量であって、発電に利用するウラン235の量はその3~5%です。
なので「21トンのウランを核分裂させる」のではなく「1トンのウランを核分裂させる」が正しい。
そして、片や原爆の濃縮率はほぼ100%なので「広島広島型原爆の21000倍」も「広島広島型原爆の1000倍」が正しい。
「トモダチ作戦の被曝基金訴訟 - サンディエゴゆうゆう」によると2020年に原告による控訴が却下されています。
そして、2021年には訴訟が取り消されていて訴訟は全て確定していて、「放射性物質に起因する様々な疾病」は認められていません。
「「トモダチ作戦」訴訟 裁判所が訴え取り下げを認め終結 - YouTube」
そういえば、朝日新聞記者が「漂流するトモダチ アメリカの被ばく裁判」というデタラメな本を出していましたね。
原発では核爆発はおきません。起きるのならば、原爆でウラン235を100%近くまで濃縮する必要はありません。
先ほどの「21トンのウラン」の間違いと根本は同じですな。
無知な樋口さんは以下でも見ましょう。
※「第5章 原子力発電の安全性 | エネ百科|きみと未来と。」より引用
「安全」≠「危険のないこと」なのですよ。
「安全」=「許容できないリスクのないこと」です。
許容できないリスクをどのレベルにするかは人それぞれですが、定義を「安全」=「ゼロリスク」だとするとこの人のようにトンチンカンな答えに行きつきます。
この注釈からは、再処理工場でもなんらかの事故が起きるということだけ。その事故の詳細は、この記述からは不明。
この事故の詳細を調べると書いてある内容とはまったく異なる。
「La Hague, incendie du poste d'interconnexion du 15 avril 1980」に詳細が書かれており、それを以下にまとめます。
・1980年4月15日8時45分火災が発生し配電盤制御室は全焼。
・非常用電源も完全に独立した系ではなかったので使えなくなった。
これを教訓に六ケ所再処理工場では完全に独立させている。
・機密性の高い設備は、午前9時15分から午前9時30分までに予備に保有されていた移動式発電機に順次接続された。
・午前10時30分頃には、施設の消防隊によって火災が完全に制御された。
同時に周辺の電力網から引き込んで電源を仮復旧。
・無傷の変圧器を使って23時30分頃に復旧。
なにが「フランス海軍の兵士たちが決死隊をつくって突入し、電源を回復してポンプを回すことに成功して事なきを得た」だ。
ふざけんな!
調べると「もう原発にはだまされない」(藤田祐幸)にそのデマが書かれているようだ。なお、「保守のための原発入門」には何を参考に書かれたかは示されていない。
※「弁護士会の読書:もう原発にはだまされない」より
そんな主張はしていない。
読者に対して全く誠実性というのがない。
説明が面倒なのでデマ本「なぜ日本は原発を止められないのか?」でツッコんだ箇所を見てください。そこにも樋口氏のアホな主張が登場します。
「保守のための原発入門」でもこの後で岩盤の上にある原発とそうでない住宅の耐震性を同列に比較しています。
もう一回言いましょう、アホな主張ですね。
引用部分の前後を含め「4 原発の耐震性」というタイトルでpp.40-67で原発の耐震性についてあーだこーだと書いています。
住宅の耐震性との対比もしています。
ではひっくり返して差し上げましょう。
その前に、文章として間違っている箇所を指摘します。
「②の命題は間違いである」といっているが、それは「約半数の原発」に当てはまる話なので「②の命題は半分は間違いである」と書かないと文章としておかしい。
まあ、どちらにしても最終的に「②の命題は正しいのである」になるのですけどね。
では説明します。
解放基盤表面の定義を原子力規制委員会の「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド」から引用します。
では、原子力発電所はどこに設置できるのでしょうか?
「原子力発電所の新立地技術 (02-02-01-06) - ATOMICA -」より引用します。
「④岩盤の揺れは普通の地面の揺れよりも遥かに小さい」も原発が立地するところと比較した場合正しい。
②の件で「岩盤」=「解放基盤表面」としているのですべてがくるっています。
東京電力の資料を見てもらえばわかりますが、その表面上部に何もないと仮定したものなので、実際にそこで発生する揺れよりも大きくなります。
原発では地震動が減るように工夫をしています。
例えば、原子炉は地表ではなく岩盤を掘ったところに設置しています。
※「地震対策 基本的な耐震設計 / 自主的に耐震性を強化 - 設備対策の強化|中部電力」参照
樋口氏は、国会議事録(発言066~074)を引用して危険を煽っています。
しかし、引用外のところで大事なことを原子力規制委員会の更田豊志委員長が発言しているのだが、それをど無視しています。
その大事な部分(発言061)を引用します。
住宅と比較している時点で理解していないことを如実に表していると言えます。
この本での樋口氏の主張をより広範に引用しているページがあるので全体像はそちらで見る方がよいかもしれません。
この本の批判をしているのは次がわかりやすいかと思います。
「研究ノート 以下の記事は、私がAmazonに記した樋口英明『私が原発を止めた理由』(旬報社、2021)の学術的書評(2021.6.5、☆2)の再録であり、部分的に補足してあります|kiyoshi sakurai」
「東日本大震災に伴う緊急消防援助隊北海道東北ブロック活動検証会議報告書」には、「3 月 12 日 福島県浪江町請戸での救助活動(福島県防災航空隊)」ということで救助の写真が載っていますが、これは何なのですかね?
令和6年能登半島地震のことを書いています。
パイを切るように扇形でのモニタリングポストの欠測であったのならば、その可能性はあります。
「志賀原発モニタリングポスト 地震でデータ欠測 電源対策に課題 | NHK | 各地の原発」を見ればわかるが、ドーナッツの一部を切った感じで欠測になったので大きな問題ではない。
原子力緊急事態宣言は、原子力災害対策特別措置法の第十五条をもとに発せられています。
この発動条件は原子力災害対策特別措置法施行令の第四条で「一時間当たり五マイクロシーベルトの放射線量とする」とあります。
「空間線量モニタリング結果情報 - ふくしま復興情報ポータルサイト - 福島県ホームページ」を見ると、大熊町の夫沢三区地区集会所では 5.37μSv/h なので、解除できる状態ではありません。
あり得ないと言われても、法律で決まっているので、法治国家である日本は樋口氏のように無視しろとは言えません。
なお、5μSv/hは、約4.4mSv/y です。
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の第一条を引用します。
先ほども書きましたが「安全」とは「許容できないリスクのないこと」なので、「考えうるすべてのことをなすべき」などという無限の対策を求めるものではありません。
法の精神から、樋口氏の主張は間違いです。
こういう根本が狂っているので、狂った判決を出すのでしょうね。
この裁判に関わった弁護士が書いた「東電役員に13兆円の支払いを命ず!」という本を読みましたが、裁判官・弁護士ともどもダメダメです。
仕方がないので国会議事録から引用しましょう。
リスクとハザードの両方を考慮しないといけないのだが、ハザードの話しかしていない。
巨大隕石が地球に落ちてきたら人類滅亡だというのがハザードの話。それが具体的にどれくらいの可能性があるかというのがリスクの話。
前者だけ考えて危険だ!だから滅亡する前に今、好きなことをやろう!って言っているようなものです。
しかもこの樋口理論の根本的な欠陥は、原発が住宅の耐震性より低いという誤ったものを根拠にして④を主張していること。
④が誤っているので⑤も間違い。
結果として樋口理論は間違いです。
「玄海原子力発電所 基準地震動について 平成29年1月19日 九州電力株式会社」を見てもらえばわかりますが、他の地域の地震観測記録も参考にしつつ決めています。
デタラメを言うのは止めてもらえますかね。
「令和5年2月10日(金)定例閣議案件 | 閣議」で「GX 実現に向けた基本方針」が閣議決定されています。
この基本方針には次のようなことが書かれています。
「原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する。」
「2030 年度電源構成に占める原子力比率 20~22%の確実な達成に向けて~原子炉の再稼働を進める。」
「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替え」
そういえば、ショックドクトリンで全くないものをショックドクトリン!って、騒いでいる自称国際ジャーナリストがいましたね。
それと同レベルということですな。
仕方がないので次の情報を元に計算してみましょう。
「核分裂のエネルギー - 原子力発電 | 電気事業連合会」
「第2部 第2章 第2節 一次エネルギーの動向│令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024) HTML版|経済産業省・資源エネルギー庁」
■100万kWを1年間発電する時に必要な燃料
ウラン:21トン、天然ガス:95万トン、石油:155万トン、石炭:235万トン
■埋蔵量
ウラン:791万トン(左記はU235の換算値。核燃料のU235は3~5%なので保守的に5%を使うと核燃料としては15820万トン)
天然ガス:188.1兆m3(1m3は0.72kgなので135.4兆kg=135億トン)
石油:1.72兆バレル(1バレル159リットル、1リットル0.8kgなので、227兆kg=227億トン)
石炭:10,741億トン
■総発電量比
ウラン:15820万トン ÷ 21トン=753万
天然ガス:135億トン ÷ 95万トン=1.42万
石油:227億トン ÷ 155万トン=1.46万
石炭:10,741億トン ÷ 235万トン=45.7万
ウラン:天然ガス:石油:石炭≒530:1:1:32
上記から、樋口氏のいっていることが超デタラメだとわかりましたね。
天然ウランにはU235は0.7%しかないので、残り99.3%を発電に利用できる高速増殖炉を使った場合は、上記から桁違いに上がるでしょう。
放射性物質の下りもヒドイものです。
広範囲であるかは、事故の規模によるし、致命的かはその濃度による。
福島第一原発事故では、広範囲ではあったが全く致命的ではなかった。
二酸化炭素も酸素も高濃度であれば致死的です。
そもそも低線量放射線による影響はそもそもわかっていません。
「点検を怠った」のではなく「点検の対象から漏れていたので検査されなかった」が事実です。
※「QAどうして点検リストから欠落し、修正できなかったのですか[関西電力]」参照
事実が違えばそれに対する意見・対策も変わるでしょう。
そもそも点検を怠ったために「劣化が生じた」って何さ?
点検しようがしまいが、常に劣化します。点検をしていなかったために、劣化が進んで安全基準を満たさなくなった部品が交換されずに放置されていたのです。
これを見た時点でこの本を読む価値がないと理解できますね。
そのデマは『自由報道協会が追った3.11』というデマ本にも書かれていました。
そもそも、メルトダウンという言葉がちゃんと定義されていないのですよ。
デマに基づいた憶測なので、それは通常間違いだと言えますよね。
「福島原発メルトダウン」というデマ本も間違いだらけで似たようなことを書いていたが、志賀原発の所長が正しく本店に報告しなかったのであって、北陸電力全体がかかわった不正ではありません。
そのため「北陸電力」という主語は大きすぎます。
「日本国憲法改正草案 Q&A(増補版)」を見てもらえばわかりますが、憲法11条に97条のエッセンスを取り込み統合した上で97条を消しているのです。
調べればすぐわかる話なので騙すために書いているとしか思えない。
調べていないのならば、調べずに本を書くだけのクズだってことです。
どちらにしてもクズです。
『半島の原発を大地震が直撃したら… 四国の震度6弱で避難リスク再燃 「逃げ場がなくなる」能登と同じ構図:東京新聞 TOKYO Web』
これは本の出版前の2024年4月19日の報道です。次のように伊方原発における南海トラフの危険性を述べている。
樋口氏は烏賀陽弘道氏の「ALPS水・海洋排水の12のウソ」という本を引用していたが、この本には最低でも16個の烏賀陽氏の嘘がありました(なお、12のウソとタイトルであるが、それは全てウソではない)。
それに匹敵するほどの嘘ですわ。
①は新設についてはわからない(確認していないため)が、既存の原発では新たなコストは運転コストしか発生しないので十分安い。
例えば、過去に100兆円のコストをかけて50兆円回収できていないとする。
原発を止めたら原発以外で回収せざるを得ないので(火力・再エネなどの料金に上乗せする)、止めようが・止めまいが過去分のコストは原発のコストとは関係ない。
②原発が安定電源でないというのならば、この世に安定電源など存在しない。
③古い非効率な火力発電を無理やり動かし、停電しないようにしている事実を無視している。土地が狭い日本でCO2排出を減らすのには必須。
④は第2章で樋口氏の主張を否定しました。
⑤も第2章で樋口氏の主張を否定しました。
⑥以下を見てもらえば樋口氏の主張が誤りであるとわかります。
『原発は「低炭素への移行を加速」 欧州委が位置づけ方針発表:朝日新聞デジタル』
⑦メンタルヘルス以外の問題が出ているのならば言ってみろ!なお、甲状腺がんは過剰診断です。
「東電福島第一原子力発電所事故」
だが憲法の研究者であり、法律についても助言をもらってこの体たらくですか。
どのような主張をするのもかまわないが、事実に関するところは事実通りに書きましょう!
ということで、ゴミのような本でした。
この本から得ることはなく、ツッコむために調べたことで知ることはそこそこありました。
東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 『国会事故調報告書』(徳間書店、2012)
★小泉純一郎 『原発ゼロ、やればできる』(太田出版、2018)
★菅直人『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬舎、2012)
門田隆将『死の淵を見た男』(PHP研究所、2012)
島崎邦彦『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』(青志社、2023)
★広瀬隆『広瀬隆 白熱授業 日本列島の全原発が危ない!』(デイズジャパン、2017)
塩谷喜雄『「原発事故報告書」の真実とウソ』(文藝春秋、2013)
★古賀茂明『原発の倫理学』(講談社、2013)
水戸巌 『原発は滅びゆく恐竜である』(緑風出版、2014)
★田井中雅人、エイミ・ツジモト 『漂流するトモダチ アメリカの被ばく裁判』(朝日新聞出版、2018)
★小出裕章『原発と戦争を推し進める愚かな国、日本』(毎日新聞出版、2015)
★矢ヶ崎克馬『放射線被曝の隠蔽と科学』(緑風出版、2021)
★河合弘之 『原発訴訟が社会を変える』(集英社、2015)
原発を止めた裁判官による 保守のための原発入門
樋口英明
岩波書店
2024/8/8
本のタイトルにある「保守」はメンテナンスの意味ではなくイデオロギーの意味です。
以下の人をなめたようなツイートを見つけたのが読もうと思った理由です。
この本の著者は2014年大飯原発運転差止判決、2015年高浜原発再稼働差止決定をした裁判官です。「さあ、保守に誇りを持つ皆さん。この挑戦、受けて立ちませんか」
— 岩波書店 (@Iwanamishoten) October 21, 2024
10/21毎日新聞夕刊「特集ワイド」で、『原発を止めた裁判官による 保守のための原発入門』の著者で、10年前に原発の運転差し止め判決を出した元裁判官、樋口英明さんのインタビューが掲載されました。
☞ https://t.co/DZSBYA2Xvw https://t.co/bjtteeety2 pic.twitter.com/rHCTR1JoxC
リンクは判決要旨です。
見出し
・はしがき
・第1章 原発の実態
・第2章 原発の本質
・第3章 原発と司法
・第4章 保守と原発
・あとがき
・本文に記した以外の主な参考文献
はしがき
「コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によっ多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなること国富の喪失であると当裁判所は考えている。」この人ひどいですね。イデオロギーで判決を出していますわ。
この判決文を読んだ保守を標榜する言論人が、「この判決を出した裁判官は革新的な人で、判決「文は左翼的だ」と批判した。この批判は、保守=原発推進革新脱原発という先入観や固定観念にとらわれた結果であり、これらの人々は「保守は仲間で革新は敵」という感覚が抜けない人たちであろう。先入観を捨てて判決文を読んで欲しい。この判決文に示されているのは間違いなく保守の精神である。
日本国憲法第七十六条に違反しています。
「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」
イデオロギーに拘束されているので憲法違反です。
そもそも保守を理解していませんね。
司法における「保守」は法律・判例に忠実なことであり、司法の「リベラル」は世論などに従うことです。
書かれていることは司法におけるリベラルです。
第1章 原発の実態
烏賀陽弘道氏の「ALPS水・海洋排水の12のウソ」(三和書籍)の中で、私が最も衝撃を受けたのは、海洋放出できるALPS処理水は、タンクに貯めてあるうちのわずか3分の1にすぎないということである。汚染水を国際問題化してまで放出したとしても、放射線量が高い残りの3分の2は放出することができずに残るというのである。私が最も衝撃を受けたのは、法律・自然科学の知識がまるっきり乏しい烏賀陽弘道氏の主張を鵜呑みして、かつそれを再生産していること。
「ALPS水・海洋排水の12のウソ」は見事なまでのデマ本です。義務教育を受けていればわかる程度のデマ満載です(詳細はこちら参照)。
著者が言っているのは処理途上のものです。
1/3が処理できたということは技術的に2/3もできるということ。
処理量を優先したため2/3は放出できるレベルに達していないだけで、再処理すれば放出できます。
こんな超初歩的なこともわからないとは酷いものです。
福島原発事故前には一般公衆の被曝限度は年間1ミリシーベルトであったが、事故後政府は年間20ミリシーベルトを基準として福島第一原発の近隣に住民を帰還させる政策をとっている。この政策が間違っている理由は二つある。一つ目は言うまでもなく放射線量が年間1ミリシーベルトを超えていることによる健康被害の危険である。また、放射線障害防止法(現在は「放射性同位元素等の規則に関する法律」)にある「放射線管理区域」は、1平方メートルあたり4万ベクレルを超える区域であり、その区域内では厳重な放射線管理がなされている。すなわち、放射線管理区域では水を飲むことも、ものを食べることも、寝ることも許されないのである。他方、福島原発事故によって広がった放射性物質により、「放射線管理区域」に相当する放射線を帯びた地域は、福島県の東半分を中心にして、福島県外にも広がっているのである。空気中の放射能汚染は事故当時よりもかなり低くなっているが、地表面の放射性物質はさほど減っていないのである。法に関する記述なのですが、裁判官であったことを疑ってしまうほどに酷いですね。
「放射性同位元素等の規則に関する法律」と書いているが法律名が間違っています。
「放射性同位元素等の規制に関する法律」です。
そして「放射線管理区域」を規定しているのは法律ではなく「放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則」という省府令です。
「放射線管理区域では水を飲むことも、ものを食べることも、寝ることも許されない」と書かれているが、飲食が許されてないのは「管理区域」ではなく「作業室」「貯蔵施設」です。
では、飲食が禁止されているのは何によるものかというと「電離放射線障害防止規則」(労働安全衛生法に基づく府省令)なのです。
しかも「電離放射線障害防止規則」でも寝ることは禁止されていません。
れいわ新撰組の山本太郎党首も「僕にもできた! 国会議員」で同じことを言っていました。
「一般公衆の被曝限度は年間1ミリシーベルト」といいつつ「1平方メートルあたり4万ベクレルを超える区域」と出てくるのは、ベクレルとシーベルトの違いを理解していないからでしょうね。
シーベルトは人体への影響を測る尺度でベクレルは放射能の量を測る尺度で全く違います。
※「環境省_単位間の関係」
「管理区域」について、シーベルト(3か月で1.3mSvを超える)とベクレル(表面密度がα線以外で4Bq/cm2を超える)の基準があります。
シーベルトの話をしたのだからどちらかの説明をするのならば前者でしょう。
「1平方メートルあたり」と単位を勝手に上げているのも気に食わん。1立方センチメートルと計測機器が変わるはず。
デタラメな説明は無視して以下を見るとよいでしょう。
・保健福祉職員向け原子力災害後の放射線学習サイト
・管理区域とは| 放射線を知る | 東芝電力放射線テクノサービス
そもそも「放射線量が年間1ミリシーベルトを超えていることによる健康被害の危険である」とはなんですかね?
空間線量を1mSv超えるところなど普通にある。
※「世界原子力協会」より引用
よく行く場所は除染しているので、そもそも高線量ではない。
あなたは側溝の高線量の場所に寝そべって24時間過ごすのですか?っていう話になる。
第2章 原発の本質
地震に襲われた時に火力発電所は火を止めることで、水の沸騰がやみ即座に安全になる。仮に火を止めることに失敗しても、燃料が燃え尽きれば収束の方向に向かう。ところが原発は、ウラン燃料のエネルギー量が大きすぎるため、崩壊熱と呼ばれる核反応の継続によって核分裂反応を止めても(正確に言うと臨界状態が終わっても)沸騰が続いてしまう。まるっきり理解していませんね。
エネルギー量が大きいから臨界状態を止めても核反応が続くわけではない。
今開発中の核融合炉はエネルギー量は大きいがすぐに核反応は止まります。
ウランの核分裂に伴って半減期の様々な核種ができるからすぐに冷めない。
「燃料が燃え尽きれば収束の方向に向かう」というが、ウラン燃料だって燃え尽きれば収束にむかう。単にそのスパンが長いだけ。
「崩壊熱と呼ばれる核反応の継続」もわかっていないのがバレバレですね。
崩壊熱は核反応によって持たされる熱であって、因果が逆で「核反応の継続によって発生する崩壊熱」ですよ。
デタラメな元裁判官の説明ではなく「崩壊熱 - ATOMICA -」でも見ましょう。
原発は地震で核分裂反応が止められた際に、外部の火力発電所から電気を送ってもらう必要があるために火力発電所と必ずセットになっている。アホか。
・・・
このように、原発は政府や電力会社が言うような安定的な電力とは決して言えない。また原発は火力発電所のバックアップが必要不可欠であるという意味では頼りない発電方法といえる。
完全自己完結する発電があるのならば教えてもらいたいね。
水力発電・火力発電も他からの電力供給がないと発電を開始できない。
太陽光は「安定して」夜に発電できないし、日中の発電量も気候で容易に変化する。
もう一回言いましょう。アホか。
福島第一原発の吉田所長の発言を引用元を示さず書いていたので吉田調書かと思って調べると、そこに含まれない内容があった。
例えば「第一と第二で計10基の原子炉がやられますから」など。
ググるとここがヒットし「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」からの引用だと分かった。
一応、最後の参考文献に記されているが、酷い引用の仕方ですね。
元裁判官様さぁ、著作権法上、どこを引用しているかわからなくてもよいのですか?
格納容器は放射性物質を施設外に出さないための最後の砦であり「閉じ込める」という原則を守るためには頑丈でなければならない。したがって、本来絶対にあってはならないことであるが、格納容器のどこかに脆弱な部分があり、いわば2号機が欠陥であったため、そこから圧力が漏れ、圧力破壊による大爆発に至らなかった。格納容器から漏れたのは確かだが、それが欠陥によるものとは認定されていません。
軽々しい主張はいただけませんね。
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会にある「資料Ⅱ-1-1関連」には次のようにある。
D/W圧力が低下傾向を示すようになった平成23年3月14日13時45分頃以降、同日18時10分頃までの間に、格納容器又はその周辺部に、その閉じ込め機能を損なうような損傷が生じた可能性は十分に認められる。この時点における原子炉格納容器の圧力と温度がどうであったかが問題になる。
設計圧力・温度よりも低くて漏れたのならば「欠陥」と言えるかもしれない。
「福島第一原子力発電所設備」によると設計値は、0.38MPa、138℃。
東京電力の「福島原子力事故調査報告書」を見るとその時点では、0.5MPa、170℃です。
原子炉格納容器損傷時の値(0.5MPa以上、170℃以上) > 設計値(0.38MPa、138℃)
このため、「2号機が欠陥であった」という主張は誤りであり、「元裁判官の主張が欠陥であった」と言えます。
近藤駿介原子力委員会委員長は菅直人総理からの要請により福島原発事故から想定される被害規模の見通しを報告したが、想定のうち、最も重大な被害を及ぼすと考えられていたのはこの4号機の使用済み核燃料貯蔵プールからの放射能汚染であり・・・この被害想定は「最悪のシナリオ」と言われており、これはまさしく「東日本」にほかな生する可能性があるとした。こういう騙しをするから信用されないのですよね。
・・・
しかし、15日の午前6時10分、4号機の建屋で水素爆発があり、その爆発によって使用済み核燃料貯蔵プールの天井が吹き飛んだ。そのことが幸いして、その吹き飛んだ部分からポンプ車で水を入れることが可能になった。
・・・
このように信じられないような数々の奇跡の連続によって、初めて「最悪のシナリオ」である250キロ避難の危機は回避されたのである。
この記述を素直に読むと「最悪のシナリオ」が作られたのが先で、その後に4号機の屋根が水素爆発で吹き飛んで放水できるようになったように読めますよね。
「半径250km・5千万人避難の「最悪のシナリオ」(3月25日) - 菅直人公式サイト」によると、3月22日ごろに作成を依頼して3月25日に出てきたのが「最悪のシナリオ」なのです。
悪質ですね。
原発事故がこれだけの被害を及ぼすのは、原発がウラン燃料を核分裂反応させることによって発電しているからにほかならない。現在では、原発は1基あたり100万キロワットが標準的な規模となっており、それを1基、1年間動かすと、21トンのウランを核分裂させることになる。広島に投下された原爆はウラン1キログラムが核分裂したものである。原発では1年間で広島型原爆の実に21000倍のウランが核分裂されることになるわけである。恥ずかしいですね。
「核分裂のエネルギー - 原子力発電 | 電気事業連合会」ここを見れば大間違いであることがわかりますが、解説します。
「21トンのウラン」といっているのは核燃料ウランの総重量であって、発電に利用するウラン235の量はその3~5%です。
なので「21トンのウランを核分裂させる」のではなく「1トンのウランを核分裂させる」が正しい。
そして、片や原爆の濃縮率はほぼ100%なので「広島広島型原爆の21000倍」も「広島広島型原爆の1000倍」が正しい。
福島原発事故の時、風は太平洋に向かって吹き、折悪く、トモダチ作戦のために海上にいた原子力空母ロナルド・レーガンの若い兵士たちの多くが被ばくし、その後、放射性物質に起因する様々な疾病に苦しむことになった。またデタラメを。
「トモダチ作戦の被曝基金訴訟 - サンディエゴゆうゆう」によると2020年に原告による控訴が却下されています。
そして、2021年には訴訟が取り消されていて訴訟は全て確定していて、「放射性物質に起因する様々な疾病」は認められていません。
「「トモダチ作戦」訴訟 裁判所が訴え取り下げを認め終結 - YouTube」
そういえば、朝日新聞記者が「漂流するトモダチ アメリカの被ばく裁判」というデタラメな本を出していましたね。
「原爆と原発は双子の兄弟だ」と言われる。ウランエネルギーを10万分の1秒で解放すると原爆になり、同じエネルギーを時間をかけて水と電気でコントロールしながら小さな爆発を繰り返させると原発となる。双子の兄弟でも、その性格はかなり違っていて、核兵器は爆発させようと思わない限り爆発しないが、原発は、水又は電気が失われれば人間がコントロールできなくなり、暴走する。核兵器を持つことが理性的なことかどうかは別として、核兵器には最後は人間の理性を信頼するという細い道が残されている。しかし、原発は吉田所長以下従業員がいかに理性的に、賢く行動しても、水又は電気が失われたら暴走するのである。根本的にわかっていませんね。
原発では核爆発はおきません。起きるのならば、原爆でウラン235を100%近くまで濃縮する必要はありません。
先ほどの「21トンのウラン」の間違いと根本は同じですな。
無知な樋口さんは以下でも見ましょう。
※「第5章 原子力発電の安全性 | エネ百科|きみと未来と。」より引用
原発の本質の一つ目は、原発は人が管理し続けない限り、事故になるということである。例えば、トラブルが生じたとき、自動車ならエンジンを切れば安全になるし、家電でもコンセントを抜いてしまえば安全になる。しかし、原発には「止める」「冷やす」「閉じ込める」の「安全三原則」が求められることから、運転を止めるだけではだめで、電気と水で原子炉を冷やし続けない限り大事故になる。「安全」を理解していない人が原発の差し止めをしたのですね。
「安全」≠「危険のないこと」なのですよ。
「安全」=「許容できないリスクのないこと」です。
許容できないリスクをどのレベルにするかは人それぞれですが、定義を「安全」=「ゼロリスク」だとするとこの人のようにトンチンカンな答えに行きつきます。
再処理工場等の原子力関係施設の事故の発生確率は原子力発電所よりも更に高いのである。とあり、注釈がされていました。それを引用します。
再処理工場の事故の大半は隠されており、全容が解明されているわけではない。1980年、フランスのラ・アーグ核燃料再処理工場で、全電源喪失に陥った。核燃料プールの沸騰が始まったとき、工場のトッブは従業員の退去を許可したという。従業員を逃がすためではなく、家族と最後の晩餐をとってもらうためだったと言われている。このときは、幸いにも、近くのフランス海軍の兵士たちが決死隊をつくって突入し、電源を回復してポンプを回すことに成功して事なきを得た。ふむ。再処理工場の事故発生確率が原子力発電所より高いことを全く示していませんね。
この注釈からは、再処理工場でもなんらかの事故が起きるということだけ。その事故の詳細は、この記述からは不明。
この事故の詳細を調べると書いてある内容とはまったく異なる。
「La Hague, incendie du poste d'interconnexion du 15 avril 1980」に詳細が書かれており、それを以下にまとめます。
・1980年4月15日8時45分火災が発生し配電盤制御室は全焼。
・非常用電源も完全に独立した系ではなかったので使えなくなった。
これを教訓に六ケ所再処理工場では完全に独立させている。
・機密性の高い設備は、午前9時15分から午前9時30分までに予備に保有されていた移動式発電機に順次接続された。
・午前10時30分頃には、施設の消防隊によって火災が完全に制御された。
同時に周辺の電力網から引き込んで電源を仮復旧。
・無傷の変圧器を使って23時30分頃に復旧。
なにが「フランス海軍の兵士たちが決死隊をつくって突入し、電源を回復してポンプを回すことに成功して事なきを得た」だ。
ふざけんな!
調べると「もう原発にはだまされない」(藤田祐幸)にそのデマが書かれているようだ。なお、「保守のための原発入門」には何を参考に書かれたかは示されていない。
※「弁護士会の読書:もう原発にはだまされない」より
驚くべきことに、関西電力は、「大飯原発の敷地に限っては強い地震は来ませんから安心してください」と主張したのである。関西電力は「大飯原発は強い地震に耐えられます」とは主張しなかったのである。強い地震には耐えられないことを認めていたのである。クズですね、この人は。
そんな主張はしていない。
読者に対して全く誠実性というのがない。
説明が面倒なのでデマ本「なぜ日本は原発を止められないのか?」でツッコんだ箇所を見てください。そこにも樋口氏のアホな主張が登場します。
「保守のための原発入門」でもこの後で岩盤の上にある原発とそうでない住宅の耐震性を同列に比較しています。
もう一回言いましょう、アホな主張ですね。
引用部分の前後を含め「4 原発の耐震性」というタイトルでpp.40-67で原発の耐震性についてあーだこーだと書いています。
住宅の耐震性との対比もしています。
①地震計は普通の地面の上に設置されており、地表面での揺れを計測している上記の引用した箇所はその主張の根幹になるものです。これがひっくり返ると「4 原発の耐震性」で書いていることが全てひっくり返ります。
②原発の原子炉は固い岩盤に建っている
③原発の基準地震動は岩盤を基準としている
④岩盤の揺れは普通の地面の揺れよりも遥かに小さいことの四つである。
このうち、①、③の命題は正しいが、②、④の命題は間違っているのである。
原発の基準地震動の基準となる岩盤は「解放基盤表面」と呼ばれている。
・・・
この解放基盤表面の位置は、各原発ごとで異なる。
・・・
福島第一原発の解放基盤表面は地表面から地下206メートルの位置に、柏崎刈羽原発(新潟県)の3、4号機では地表面から地下290メートル、5号機では地下146メートルというようにさまざまであるが、いずれも地下深くにある。したがって、これらの原発においては原子炉を岩盤(解放基盤表面)に建てることは物理的にできないのである。
大飯原発(福井県)や伊方原発(愛媛県)のように岩盤が地表面または地表面の近くにあり、原子炉岩盤(解放基盤表面)に直接建造された原発はあるが、全国の原発のうち、約半数の原発は岩盤(解放基盤表面)が地下深くにあるために岩盤の上に直接建造されていないのである。したがって、②の命題は間違いである。
ではひっくり返して差し上げましょう。
その前に、文章として間違っている箇所を指摘します。
「②の命題は間違いである」といっているが、それは「約半数の原発」に当てはまる話なので「②の命題は半分は間違いである」と書かないと文章としておかしい。
まあ、どちらにしても最終的に「②の命題は正しいのである」になるのですけどね。
では説明します。
解放基盤表面の定義を原子力規制委員会の「基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド」から引用します。
「解放基盤表面」とは、基準地震動(「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針平成18年9月19日原子力安全委員会決定」における基準地震動Ssの規定と同様。)を策定するために基盤面上の表層や構造物が無いものとして仮想的に設定する自由表面であって、著しい高低差がなく、ほぼ水平で相当な拡がりを持って想定される基盤の表面をいう。ここでいう「基盤」とは、概ねせん断波速度Vs=700m/s以上の硬質地盤であって、著しい風化を受けていないものをいう。いわゆる単なる「岩盤」ではなく、赤字のような条件のある岩盤なのです。
では、原子力発電所はどこに設置できるのでしょうか?
「原子力発電所の新立地技術 (02-02-01-06) - ATOMICA -」より引用します。
原子力安全委員会が定めた「旧耐震設計審査指針(1981年決定)」は、日本における商用原子力発電所の原子力施設においては「重要な建物、構築物は岩盤に支持させなければならない」ことを規定している。このような岩盤は第三紀以前の堅牢な岩盤と解釈されており、現在までの実績はせん断波速度Vsで約500m/s以上となっている。ということで、日本の原子力発電所は全て岩盤の上に建てられているので「②原発の原子炉は固い岩盤に建っている」の命題は正しいのですよ。
「④岩盤の揺れは普通の地面の揺れよりも遥かに小さい」も原発が立地するところと比較した場合正しい。
②の件で「岩盤」=「解放基盤表面」としているのですべてがくるっています。
東京電力の資料を見てもらえばわかりますが、その表面上部に何もないと仮定したものなので、実際にそこで発生する揺れよりも大きくなります。
原発では地震動が減るように工夫をしています。
例えば、原子炉は地表ではなく岩盤を掘ったところに設置しています。
※「地震対策 基本的な耐震設計 / 自主的に耐震性を強化 - 設備対策の強化|中部電力」参照
樋口氏は、国会議事録(発言066~074)を引用して危険を煽っています。
しかし、引用外のところで大事なことを原子力規制委員会の更田豊志委員長が発言しているのだが、それをど無視しています。
その大事な部分(発言061)を引用します。
同じガル数という単位であるために、あたかも比較できるような値であるというふうに加速度が捉えられているところに議論の難しさがあろうと思っています。解放基盤表面での加速度、地表面での加速度、それから機器が実際に受ける加速度、住宅メーカー等が公表する加速度、それぞれ条件が異なるものですから、これらの間の比較というのは極めて難しいというかほとんど不可能と言ってよいと思います。ということで、原発と宅地を単純に比較などできないのです。
住宅と比較している時点で理解していないことを如実に表していると言えます。
この本での樋口氏の主張をより広範に引用しているページがあるので全体像はそちらで見る方がよいかもしれません。
この本の批判をしているのは次がわかりやすいかと思います。
「研究ノート 以下の記事は、私がAmazonに記した樋口英明『私が原発を止めた理由』(旬報社、2021)の学術的書評(2021.6.5、☆2)の再録であり、部分的に補足してあります|kiyoshi sakurai」
福島県浪江町請戸地区は福島第一原発から北に約7キロメートルのところにある漁村である。津波によって多くの家屋が流され、3月11日夜10時、消防団の方たちは翌日の救助活動の準備のため請戸の浜を回った。そのとき、助けを呼ぶ声や、鳴り響くクラクションの音を聴いて多くの人が助けを待っていることを確信した。しかし、翌3月11日午前5時44分、放射線量が高くなったということで福島第一原発から半径10キロ圏内の住民に避難指示が発令された。この避難指示により、3月12日早朝から予定されていた行方不明者の捜索・救助活動が中止になった。請戸の浜で福島県警及び消防署による行方不明者の捜索活動が行われたのは実に1か月余を経た4月14日のことであった。3月12日に救助活動ができたならば、何人かの尊い命が救われたと思われる。ふ~ん。
「東日本大震災に伴う緊急消防援助隊北海道東北ブロック活動検証会議報告書」には、「3 月 12 日 福島県浪江町請戸での救助活動(福島県防災航空隊)」ということで救助の写真が載っていますが、これは何なのですかね?
令和6年能登半島地震のことを書いています。
放射線量を計測するモニタリングポストは18局で計測不能となった。もう、騙しばっかりですね。
・・・
さらに、モニタリングポストの計測ができないために放射性物質の拡散状況を把握できず、適切なタイミングでの避難指示や、放射線量の低い避難先の選択を行うこともできなかったであろうし、また通信障害のために、住民らに避難指示等を伝えることもできなかったであろう。
パイを切るように扇形でのモニタリングポストの欠測であったのならば、その可能性はあります。
「志賀原発モニタリングポスト 地震でデータ欠測 電源対策に課題 | NHK | 各地の原発」を見ればわかるが、ドーナッツの一部を切った感じで欠測になったので大きな問題ではない。
第3章 原発と司法
13年も継続する緊急事態というのはあり得ない。法律を知らない元裁判官とは恥ずかしいですね。
原子力緊急事態宣言は、原子力災害対策特別措置法の第十五条をもとに発せられています。
この発動条件は原子力災害対策特別措置法施行令の第四条で「一時間当たり五マイクロシーベルトの放射線量とする」とあります。
「空間線量モニタリング結果情報 - ふくしま復興情報ポータルサイト - 福島県ホームページ」を見ると、大熊町の夫沢三区地区集会所では 5.37μSv/h なので、解除できる状態ではありません。
あり得ないと言われても、法律で決まっているので、法治国家である日本は樋口氏のように無視しろとは言えません。
なお、5μSv/hは、約4.4mSv/y です。
つまり、経済産業大臣や東京電力が「とおり一遍の事故の防止義務を負うだけ」なのか、それとも「事故を防止するために、考えうるすべてのことをなすべきである」という高度の義務を負っていたのかどうかは、法の趣旨や目的を解釈して分析しない限り結論が出ない問題である。法の趣旨や目的を分析することによってその答えを導くのが本来裁判官として最も重要な職務であるが、これを放棄してしまっているのが多数意見である。ふ~ん。では法の趣旨とやらを見てみましょう。
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の第一条を引用します。
(目的)「安全」がポイントですね。
第一条 この法律は、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の精神にのつとり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られ、かつ、これらの利用が計画的に行われることを確保し、あわせてこれらによる災害を防止して公共の安全を図るために、製錬、加工及び再処理の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関して必要な規制を行うことを目的とする。
先ほども書きましたが「安全」とは「許容できないリスクのないこと」なので、「考えうるすべてのことをなすべき」などという無限の対策を求めるものではありません。
法の精神から、樋口氏の主張は間違いです。
日本国憲法は裁判官に対し国民の側に軸足をおいて裁判官としての責任を果たすことを求めている。大丈夫か?この人。
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。憲法・法律を無視して国民側に軸をおいた場合は憲法違反です。
②特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
③すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
こういう根本が狂っているので、狂った判決を出すのでしょうね。
2022年7月13日、東京地裁は株主代表訴訟の判決において、福島原発事故当時の東京電力の役員4名(勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長、清水正孝元社長)に対し、13兆円余の損害賠償金を東京電力に支払うように命じた。出てきました、樋口氏のと似たようなゴミ判決が。
・・・
東京地裁は最高裁の判決があったにもかかわらず、これを良しとすることなく、決然と取締役の賠償責任を認めた。
この裁判に関わった弁護士が書いた「東電役員に13兆円の支払いを命ず!」という本を読みましたが、裁判官・弁護士ともどもダメダメです。
原子力規制委員会は、原子炉をはじめとする原発の施設及びその敷地が規制基準に合致しているかどうかを判断する組織である。原子力規制委員会の元委員長である田中俊一氏は「原子力規制委員会は原発が規制基準に適合するかどうかを判断している。適合しているからといって安全とは申し上げません」と公言した。仮に、規制基準が内閣によって定められ、その規制基準に適合するかどうかを原子力規制委員会が審査しているのなら田中元委員長の言い分は理解できなくもない。しかし、規制基準は原子力規制委員会が自ら定めているのであるから、田中元委員長の言い分は、「原子力規制委員会は国民を原発事故から守るために規制基準を定めたのではない」と自白しているに等しい。だから、国民の生命と生活を守ることができるのは裁判所しかないのである。見事に自分に都合のよいモノだけを引用していますね。
仕方がないので国会議事録から引用しましょう。
○政府特別補佐人(田中俊一君) もっと正確に申し上げたいと思います。
安全だとは申し上げていませんとは言っていなくて、絶対安全だ、リスクがゼロだということは申し上げられないということです。それは科学技術というものの宿命みたいなものですので、そういったことを申し上げているわけです。ただし、可能な限り安全であるための努力をして、新規制基準もそういう方向で施行しているということを申し上げています。
ですから、安全でないということを時々その言葉だけを言われるんですが、それは私の本意ではありませんので、是非御訂正願いたいと思います。
原発を止めるべき理由は、次のとおり極めてシンプルである(「樋口理論」)。これを読んで溜息しか出てこないですね。
①原発の過酷事故のもたらす被害は極めて甚大である。
②それ故に原発には高度の安全性が要求される。
③地震大国日本において原発に高度の安全性が要求されるということは、原発に高度の耐震性が要求されるということにほかならない。
④しかし、わが国の原発の耐震性は極めて低く、それを正当化できる科学的根拠はない。
⑤よって、原発の運転は許されない。
リスクとハザードの両方を考慮しないといけないのだが、ハザードの話しかしていない。
巨大隕石が地球に落ちてきたら人類滅亡だというのがハザードの話。それが具体的にどれくらいの可能性があるかというのがリスクの話。
前者だけ考えて危険だ!だから滅亡する前に今、好きなことをやろう!って言っているようなものです。
しかもこの樋口理論の根本的な欠陥は、原発が住宅の耐震性より低いという誤ったものを根拠にして④を主張していること。
④が誤っているので⑤も間違い。
結果として樋口理論は間違いです。
なぜか、電力会社は、基準地震動と地震観測記録とを対比することを頑なに拒否する。それは対比すれば、基準地震動が低水準であることが一目瞭然だからである。よくもこんなデタラメをポンポン発信できますね。見ているこちらが恥ずかしいですわ。
「玄海原子力発電所 基準地震動について 平成29年1月19日 九州電力株式会社」を見てもらえばわかりますが、他の地域の地震観測記録も参考にしつつ決めています。
デタラメを言うのは止めてもらえますかね。
第4章 保守と原発
原子力政策の大転換が起きたのは、国会の本会議でも、委員会でもなく、更には閣議決定によるものでもなく、2022年12月の総理大臣官邸における脱炭素化に向けた戦略会議「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」であった。何でこんな簡単な事実確認すらしないのか不思議でならない。
「令和5年2月10日(金)定例閣議案件 | 閣議」で「GX 実現に向けた基本方針」が閣議決定されています。
この基本方針には次のようなことが書かれています。
「原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する。」
「2030 年度電源構成に占める原子力比率 20~22%の確実な達成に向けて~原子炉の再稼働を進める。」
「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替え」
岸田政権の原発回帰政策転換は迅速であり、根拠の薄い言説の元に行われた。その手法も岸田総理を議長とする公開されていない会議で基本方針が決められた。典型的なショックドクトリンである。GX実行会議の議事録・資料等は「GX実行会議|内閣官房ホームページ」で公開されていますが何を言っているのでしょうか?
そういえば、ショックドクトリンで全くないものをショックドクトリン!って、騒いでいる自称国際ジャーナリストがいましたね。
それと同レベルということですな。
ウラン燃料も限られた天然資源である。その埋蔵量はエネルギー換算しても石油や石炭よりも遥かに少ないと言われている。どこの誰がそんなアホなことを言っているのでしょうね。
仕方がないので次の情報を元に計算してみましょう。
「核分裂のエネルギー - 原子力発電 | 電気事業連合会」
「第2部 第2章 第2節 一次エネルギーの動向│令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024) HTML版|経済産業省・資源エネルギー庁」
■100万kWを1年間発電する時に必要な燃料
ウラン:21トン、天然ガス:95万トン、石油:155万トン、石炭:235万トン
■埋蔵量
ウラン:791万トン(左記はU235の換算値。核燃料のU235は3~5%なので保守的に5%を使うと核燃料としては15820万トン)
天然ガス:188.1兆m3(1m3は0.72kgなので135.4兆kg=135億トン)
石油:1.72兆バレル(1バレル159リットル、1リットル0.8kgなので、227兆kg=227億トン)
石炭:10,741億トン
■総発電量比
ウラン:15820万トン ÷ 21トン=753万
天然ガス:135億トン ÷ 95万トン=1.42万
石油:227億トン ÷ 155万トン=1.46万
石炭:10,741億トン ÷ 235万トン=45.7万
ウラン:天然ガス:石油:石炭≒530:1:1:32
上記から、樋口氏のいっていることが超デタラメだとわかりましたね。
天然ウランにはU235は0.7%しかないので、残り99.3%を発電に利用できる高速増殖炉を使った場合は、上記から桁違いに上がるでしょう。
また、二酸化炭素が地球温暖化の要因であるかどうかについては否定的見解を示している学者もいる。他方、放射性物質による深刻な健康被害を否定する学者はいない。放射性物質による被害は急激で、確実で、広範囲であり、人類のみならず生物一般について致命的である。「東電役員に13兆円の支払いを命ず!」という本の著者陣と同じで、自身に都合のよい科学だけを利用するから信用がならないのですよ。
放射性物質の下りもヒドイものです。
広範囲であるかは、事故の規模によるし、致命的かはその濃度による。
福島第一原発事故では、広範囲ではあったが全く致命的ではなかった。
二酸化炭素も酸素も高濃度であれば致死的です。
そもそも低線量放射線による影響はそもそもわかっていません。
2004年8月9日、関西電力美浜原発(福井県)のタービン建屋において、配管が破損する事故が発生し、噴き出した約140度の熱水蒸気を浴びた5人の作業員が亡くなり、6人の作業員が重傷を負った。これは放射性物質に汚染されている部分ではなかったにも拘わらず、点検を怠ったために劣化が生じた箇所で発生した事故であった。発生した事象について、それをどう評価するかは人それぞれ好きにすればよいが、事実を捻じ曲げるこの人のは許しがたいですね。
「点検を怠った」のではなく「点検の対象から漏れていたので検査されなかった」が事実です。
※「QAどうして点検リストから欠落し、修正できなかったのですか[関西電力]」参照
事実が違えばそれに対する意見・対策も変わるでしょう。
そもそも点検を怠ったために「劣化が生じた」って何さ?
点検しようがしまいが、常に劣化します。点検をしていなかったために、劣化が進んで安全基準を満たさなくなった部品が交換されずに放置されていたのです。
火力発電所や自動車は物理的に動かなくなるまで、あるいは修理費が重なって経済的に引き合わなくなるまで使い潰すという選択肢があり得るのに対し・・・はぁ?これは酷すぎますね。
これを見た時点でこの本を読む価値がないと理解できますね。
福島原発事故においても、東京電力がメルトダウンの事実を認めたのは事故から2か月を経た5月のことであった。メルトダウンの事実を早期に把握できていなかったとしたら、この会社に原発を管理する技術力が致命的になかったことの証左と言えるが、おそらくそうではない。「日本人は極めて熱しやすく冷めやすいから、ほとぼりが冷めてから発表した方が原発の延命にとって得策である」との、全く倫理観がない発想によって、メルトダウンの発表を遅らせたに違いないのである。定番のデマとイカレタ勝手な憶測ありがとうございます。
そのデマは『自由報道協会が追った3.11』というデマ本にも書かれていました。
そもそも、メルトダウンという言葉がちゃんと定義されていないのですよ。
デマに基づいた憶測なので、それは通常間違いだと言えますよね。
北陸電力は、1999年6月18日、誤操作によって志賀原発が臨界状態になってしまったにも拘わらず、その事実を8年もの間、隠して国に報告しなかった。不正確ですね。
「福島原発メルトダウン」というデマ本も間違いだらけで似たようなことを書いていたが、志賀原発の所長が正しく本店に報告しなかったのであって、北陸電力全体がかかわった不正ではありません。
そのため「北陸電力」という主語は大きすぎます。
法の支配とは「たとえそれが国会で定められた法律であったとしても、国民の人権の尊重や平和主義という憲法が定めた法秩序に反するものは許してはならない」ということである。別の表現をすれば、憲法が政治家と官僚と裁判官に対して「国民一人ひとりの人権が最高の価値であることを自覚して職務を行いなさい」と命じているということである。憲法97条(基本的人権の本質)及び憲法99条(憲法尊重擁護義務)はこの法の支配を示した条文であるが、驚くべきことに自民党の憲法改正草案では97条が削除されている。ミスリードお疲れ様です。
「日本国憲法改正草案 Q&A(増補版)」を見てもらえばわかりますが、憲法11条に97条のエッセンスを取り込み統合した上で97条を消しているのです。
調べればすぐわかる話なので騙すために書いているとしか思えない。
調べていないのならば、調べずに本を書くだけのクズだってことです。
どちらにしてもクズです。
問題なのは、マスコミが重要な事実について報道しようとしないことである。何が重要な事実であるかは、マスコミが何を報道するのかを見るのではなく、何を報道しないかを見れば分かると言われるほどである。南海トラフ巨大地震の報道はするが、4頁図9の通り、南海トラフ巨大地震の震源域にある伊方原発と浜岡原発の危険性については全く報道しない。全く、絶対、0%、100%などという言葉が出てきたら疑うべきだという素晴らしい例ですね。
『半島の原発を大地震が直撃したら… 四国の震度6弱で避難リスク再燃 「逃げ場がなくなる」能登と同じ構図:東京新聞 TOKYO Web』
これは本の出版前の2024年4月19日の報道です。次のように伊方原発における南海トラフの危険性を述べている。
愛媛県の四国電力伊方原発は運転を続けているが、発電機の出力が2%低下した。典型的な半島部の原発で、能登半島地震で浮上した避難リスクが再燃。想定震源域に入る南海トラフ巨大地震以外にも、多くの地震の危険を抱える。
原発推進勢力は平然と公然と継続的に嘘をつき続けている。例えば、①原発が経済的で安価だという嘘、②原発は安定電源であるという嘘、③原発がないと電気が足りなくなるという嘘、④すべての原発は固い岩盤の上に建てられているという嘘、⑤岩盤の揺れは普通の地面の揺れよりも遥かに小さいという嘘、⑥原発が地球温暖化防止のために役立つクリーンなエネルギーだという嘘、⑦福島原発事故による健康被害は出ていないという嘘等である。見事なまでの樋口氏の噓ですね。
樋口氏は烏賀陽弘道氏の「ALPS水・海洋排水の12のウソ」という本を引用していたが、この本には最低でも16個の烏賀陽氏の嘘がありました(なお、12のウソとタイトルであるが、それは全てウソではない)。
それに匹敵するほどの嘘ですわ。
①は新設についてはわからない(確認していないため)が、既存の原発では新たなコストは運転コストしか発生しないので十分安い。
例えば、過去に100兆円のコストをかけて50兆円回収できていないとする。
原発を止めたら原発以外で回収せざるを得ないので(火力・再エネなどの料金に上乗せする)、止めようが・止めまいが過去分のコストは原発のコストとは関係ない。
②原発が安定電源でないというのならば、この世に安定電源など存在しない。
③古い非効率な火力発電を無理やり動かし、停電しないようにしている事実を無視している。土地が狭い日本でCO2排出を減らすのには必須。
④は第2章で樋口氏の主張を否定しました。
⑤も第2章で樋口氏の主張を否定しました。
⑥以下を見てもらえば樋口氏の主張が誤りであるとわかります。
『原発は「低炭素への移行を加速」 欧州委が位置づけ方針発表:朝日新聞デジタル』
⑦メンタルヘルス以外の問題が出ているのならば言ってみろ!なお、甲状腺がんは過剰診断です。
「東電福島第一原子力発電所事故」
あとがき
本書を上梓するに当たってご尽力いただいた山下由里子氏とは、以前、彼女が法律専門誌の編集者であった時に知己を得た。彼女は編集者であると共に、憲法の研究者でもある。本書についても校正のみならず、法的問題についても貴重な助言をいただいた。二人とも文系なので自然科学に関する部分はダメなのはわからんでもない。
だが憲法の研究者であり、法律についても助言をもらってこの体たらくですか。
どのような主張をするのもかまわないが、事実に関するところは事実通りに書きましょう!
ということで、ゴミのような本でした。
この本から得ることはなく、ツッコむために調べたことで知ることはそこそこありました。
本文に記した以外の主な参考文献
以下は巻末にある参考文献。★があるのは原発デマ屋だと確認できている人の本です。東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 『国会事故調報告書』(徳間書店、2012)
★小泉純一郎 『原発ゼロ、やればできる』(太田出版、2018)
★菅直人『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬舎、2012)
門田隆将『死の淵を見た男』(PHP研究所、2012)
島崎邦彦『3.11 大津波の対策を邪魔した男たち』(青志社、2023)
★広瀬隆『広瀬隆 白熱授業 日本列島の全原発が危ない!』(デイズジャパン、2017)
塩谷喜雄『「原発事故報告書」の真実とウソ』(文藝春秋、2013)
★古賀茂明『原発の倫理学』(講談社、2013)
水戸巌 『原発は滅びゆく恐竜である』(緑風出版、2014)
★田井中雅人、エイミ・ツジモト 『漂流するトモダチ アメリカの被ばく裁判』(朝日新聞出版、2018)
★小出裕章『原発と戦争を推し進める愚かな国、日本』(毎日新聞出版、2015)
★矢ヶ崎克馬『放射線被曝の隠蔽と科学』(緑風出版、2021)
★河合弘之 『原発訴訟が社会を変える』(集英社、2015)
原発を止めた裁判官による 保守のための原発入門
樋口英明
岩波書店
2024/8/8
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