クレーマー 失敗の本質

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自民党 失敗の本質」(石破茂,村上誠一郎,内田樹,御厨貴,前川喜平,古賀茂明,望月衣塑子)を読みました。

第1章 時計の針を止めてしまった安倍・菅の9年間(御厨貴(政治学者・東京大学先端科学技術研究センターフェロー))

森喜朗さんは、言葉の重要性を理解できていない昭和の総理だったといえます。
・・・
このたびの五輪の組織委員会でも「女性が多い会議は時間がかかる」などという不用意な発言があり、最終的に会長辞任に追い込まれています。
言葉の重要性を理解できていない人が批判をしていて笑えますわ。
その発言をした時に森氏は、組織委員会に欠員が出たら「すぐ女性を選ぼうということになるわけです」とも言っているのです。
趣旨としては組織委員会の女性は優秀だという話なのだが、説明の中で不用意な発言をしたのを、この政治学者様やマスコミに利用されたのですよ。

ついには安倍さんの攻撃に同調して、「民主党政権はダメだった」と発言していた民主党議員もいました。これで勝負あり、でした。
この人は何を言っているのでしょう?
国民が「民主党政権はダメだった」と認識したので民主党がボロ負けしたのであって、それがダメでなかったというのならば、お話にならない。
あれがダメだったので、それを改善するためにこういうことをしている、と言えば良いのです。それなのに、反省すらしないのだから支持されないのですよ。
これで政治学者だというのだから驚きです。

自民党の議員に本を読んで勉強するなんてことを求めるのは無理だ、と党員が言っていたほどです。でも、昔の自民党議員は、党内に図書館などなくても、みんなきちんと勉強していました。今やコツコツと勉強している議員は少数派でしょう。そこがおかしいのです。
自身の勝手な憶測でコツコツ勉強している人が少数だということ、それこそおかしいでしょうに。

御厨氏は、望月衣塑子氏と同様に沖縄の歴史の話で菅氏を非難しています。
望月氏と同レベルって悲しいねぇ。

第2章 「選挙=市場の信任」だと錯覚した“株式会社”自民党(内田樹(思想家・神戸女学院大学名誉教授))

敵と味方に分断して、味方には公費を費やし、公権力を利用してさまざまな便宜を図る。反対者からの要望には「ゼロ回答」で応じて、一切受け付けない。それが安倍・菅的なネポティズム(縁故主義)政治です。森友学園、加計学園、桜を見る会、日本学術会議、すべてそうです。
桜を見る会は別として、それ以外で文句を言っている人達はただただ反対したいだけの人たちなので分断してゴミ箱の底に沈め、無視するのが一番です。
それを言えないあなたはお話になりません。特に日本学術会議の話なんて典型的ですわ。

安倍さんの「大日本帝国再建計画」は「アメリカの許諾を得て、アメリカ以外の国と戦争する権利」を手に入れるというきわめてねじくれたものになっています。
おつむ大丈夫ですか?
アホくさくてこれ以上は読んでいられないのでスキップ。

第3章 「言論空間」の機能不全が自民党を脆弱化させた(石破茂(自民党・衆議院議員))

地方創生大臣というのは国家戦略特区担当大臣でもありましたから、加計学園の問題は所掌の範囲でした。国家戦略特区として獣医学部の開設を認めるためには、既存の獣医学部では対応できない何かが必要だろう、という議論でした。
それはまさしく今の状況に備えるような、未知のウイルスや菌による人畜共通感染症や、兵器に転用されるおそれのある生物・化学剤の研究などが想定され、今まである獣医学部では対応できず、新しく創設しなければならない、という条件であって、それを満たしているのであれば認めましょう、という定義を含めて、閣議決定したわけです。
当時、この条件を「石破4条件」と言う向きがありましたけれども、閣議決定したのだから正確には「安倍内閣4条件」であり、そういう明確な条件でやってきたのです。
ふ~ん、そんな閣議決定をしたのですね。
獣医学部なのに、「人畜共通感染症」「兵器に転用されるおそれのある生物・化学剤」というのはもの凄く違和感がありますね。
では見てみましょう。

首相官邸のサイトに「決定等 - 日本経済再生本部」というページがあり、そこの「日本再興戦略改訂2015」に載っているので引用します。
⑭獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討
・ 現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。
ふむ。私の違和感は正しかったですね。
「人畜共通感染症」「兵器に転用されるおそれのある生物・化学剤」などとは書いておらず、これこそ拡大解釈もよいところだ。
前者はまあ少しは被っているが、後者はあり得ないですわ。

野党にお願いして採決に応じてもらうという姿勢が必要です。その過程を通じて、政策に論理的説得力が増していき、多くの国民に理解してもらえるのですから。私たちがこう教わったのは、もう30年以上も前のことですが、今はすっかり変わってしまいました。
「こんな人たち」とか「悪夢のような民主党政権」といったようなことを与党幹部が平気で口にする。また、それに同調する人たちがたくさんいるのは不幸なことです。分断を煽っても得られるものはほとんどないと思います。
なかなか面白いことを仰りますね。
石破氏は首相になったら『安倍さんをリスペクトした?石破茂首相の「悪夢の民主党」発言 専門家が心配する「悪口合戦の悪い効果」:東京新聞 TOKYO Web』なんて言っていますが、他人に非常に厳しく、自分にはもの凄く優しい人ということですか?

第4章 自由闊達な議論がなくなれば民主主義は容易にファシズム化する(村上誠一郎(自民党・衆議院議員))

政治家に対しては選挙の公認とポストの人事権で党執行部に対する党内の批判も押さえ込みました。
それがもっとも端的に表れたのが、閣議決定によって法解釈を変更し、強引に押し通した東京高検検事長の定年延長問題でしょう。当時の検事長・黒川弘務さんを検事総長にしたいがために、完全に法律をねじ曲げようとしたわけです。このようなことが許されるわけがないと思います。
検察庁法というのは特別法で、国家公務貝法は一般法です。一般法で特別法の解釈変更ができないということは、法律のイロハであり、法を勉強した者には自明のことです。
一般法を特別法で上書きしている部分に関して、一般法で解釈変更しようとしているのならば、村上氏の言う通りおかしなことでしょう。

では事実関係を見てみましょう。

令和2年1月31日(金)定例閣議案件 | 閣議 | 首相官邸ホームページ」の議事録に次のようにあります。
東京高等検察庁検事長黒川弘務の勤務延長について,御決定をお願いいたします。本件は,同検事長を管内で遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査・公判に引き続き対応させるため,国家公務員法の規定に基づき,6か月勤務延長するものでございます。
ではこの規定とは何かというと、(定年による退職の特例)第八十一条の七で特例として定年を伸ばすことができます。

定年については、国家公務員法では(定年による退職)第八十一条の六で規定されており、特別法の検察庁法第二十二条で「検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。」と一般法を上書きしています。

では、国家公務員法の定年退職の特例を定めた第八十一条の七を上書きしたり、打ち消したりする条項が検察庁法にあるかというと、ありません。
そのため、一般法に基づき定年延長するのは問題がないように思えますが、いかがでしょうか?

少なくとも「一般法で特別法の解釈変更ができない」という単純な話ではなく、検察庁法第三十二条の二国家公務員法附則第十三条もからむ問題だと思いますがね。

さらなる大失敗は、菅氏と二階氏が主導したGoToキャンペーンによって感染爆発を招いたこと。これも経済を優先させた結果です。
ふ~ん。
国立感染症研究所の「Effects of the second emergency status declaration for the COVID-19 outbreak in Japan」(ただしpreprint)によると、GoToキャンペーンは感染を拡大さていないとあります。
この初版は2021年1月4日、最終版は2021年6月19日に出ているが結論は変わらない。
2021年3月21日には次のような報道もされている。
Go To トラベルは感染拡大に無関係 国立感染研の研究者らが報告まとめる - TRAICY(トライシー)

この本を書くのに村上氏に取材したのは2021年8月20日であり十分に知ることができたはずですが、「GoToキャンペーンによって感染爆発を招いた」ですって。

PCR検査も徹底できず、ワクチン接種率もOECD加盟国中最下位という状態がしばらく続きましたが、オリンピックをなんとしてでも開催して人気を挽回したいという大前提があり、その政治的思惑に合わせて政策を行ってきたため、危機管理が十分にできませんでした。1年以上たった今も、重症者用のベッドの確保が十分できずに次々と自宅で亡くなられています
バカみたいにPCR検査をしろっていう感じの人なのですね。
例えば、イギリスと日本を比較した図です。日本は効果的にPCR検査をしていますね。

日英のPCR検査と陽性者数の比較
※詳細はこちら

日本では公的病院の勤務医が相対的に少ないので、それ以外に対して強制しないとベットの確保はできません。
村上氏は「私のような中道左派は極左扱いになってしまいます」と中道左派を自称しているわりに、個人の自由をないがしろにしていますね。
批判のための批判としか思えませんね。

第5章 権力に酔った「官邸の暴走」が招いた茶番政治(前川喜平(元・文部科学事務次官/現代教育行政研究会代表))

言ってみれば小泉構造改革に弓を引くようなことをやったわけですが、人事で報復されるなんてことは、もちろんありませんでした。その後も私は順調に出世していったわけですから。今なら、あっという間に左遷されていたはず。その意味では、私のような人間が文部科学省において事務次官になっていたことが、菅さんからしてみれば想定外だったでしょうね。
天下り斡旋をしたのに、温情でクビではなく依願退職で退職金をもらったのによく言いますね。

※「文科省「天下り斡旋」の責任者に退職金5610万円って…(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)

この後に石破4条件のことを言っていますが、石破氏とは違い正しいことを言っています。

第6章 派手な印象だけの9年、過ぎてみれば「焼け野原」状態に(古賀茂明(元・経済産業省官僚/経済政治アナリスト))

安倍政権の特徴のひとつで、いろいろなレベルで多面的にメディア介入してくるのです。
・・・
新聞社やテレビ局も組織です。現場の記者たちも、政権と闘った結果トップにまで話が上がったらどうなってしまうかということを考えてしまいます。ひと昔前であれば、上司や幹部が「いいぞ、突っ張ってみろ、頑張れよ」と励ましてくれることもありましたが、今やトップが安倍色に染まり、上司が菅シンバになってしまったら、逆に「お前、こんなこと書いて本当に大丈夫なんだろうな」と部下に対して圧力をかけてくるようになってしまった。政権に嫌われて情報が取れなくなることも考えたら、慎重にならざるを得なくなってしまうわけです。
爆笑ものですね。
あれだけ好き放題、ミスリード・デマを流しながら何を言っているのでしょうね。
次の章に出てくる望月衣塑子氏がいまだ新聞記者をやっていられるのが古賀氏の主張がデタラメであるわかりやすい証拠でしょう。
しかも東京新聞のエース級の扱いですからね。

第7章 アメとムチの支配に踊らされたメディアの責任(望月衣塑子(東京新聞記者))

菅さんですが、自分を批判し厳しく追及してくるメディアに対する度量の違いというのももちろん感じるのですが、最大の違いは歴史認識です。
2015年8月、菅さんは、官房長官時代に故・翁長雄志沖縄県知事(当時)と普天間基地の移転先を巡って集中協議していますが、この時に翁長さんに向かって「私は戦後生まれだから、歴史を持ち出されても困る」と言ってしまいました。
・・・
皆さんは、いくら戦後生まれとはいえ、4人に1人が亡くなった沖縄戦、そして銃剣とブルドーザーによる県民の土地接収という悲惨な歴史があって、その延長に米軍基地をはじめ沖縄の現在の状況がその後も続いているという理解が何もないことに驚きました。
すげーなこの人。
菅氏ではなく衣塑子さんのことです。
「戦後生まれだから、歴史を持ち出されても困る」と発言したことをもって沖縄のことを何も理解していないと言っている。
他に大事なところを私が意図的に引用していないのではないのです。本当にこのように言っている。
思い込みが常に先行しているのでしょうね。
記者を辞めて作家にでもなったら?まぁ、過去の文章を見ても文才が無いのはよくわかる。だからといって、ゴミフィルターを介して新聞記事が作られるのは御免被りたい。

介入も露骨だし、メディア側の対応も変化していったと思います。2016年2月8日の衆議院予算委員会で、高市早苗総務大臣(当時)が、放送事業者が「政治的公平性」を欠く場合は電波停止命令もありえるんだ、という発言をしました。政権側が、堂々とテレビに対する圧力を公言するようになってきたのです。
マスコミの人間が堂々とミスリードするのには驚きですね。

現立憲民主党の奥野総一郎議員の「ここで明確に否定していただきたいんですけれども、この放送法の百七十四条の業務停止や電波法七十六条についてはこうした四条の違反については使わないということで、今、もう一度明確に御発言いただきたいんですが。」という質問があったので、高市大臣は次のように答えています。
それはあくまでも法律であり、第四条も、これも民主党政権時代から国会答弁で、単なる倫理規定ではなく法規範性を持つものという位置づけで、しかも電波法も引きながら答弁をしてくださっております。
 どんなに放送事業者が極端なことをしても、仮に、それに対して改善をしていただきたいという要請、あくまでも行政指導というのは要請になりますけれども、そういったことをしたとしても全く改善されない、公共の電波を使って、全く改善されない、繰り返されるという場合に、全くそれに対して何の対応もしないということをここでお約束するわけにはまいりません。
 ほぼ、そこまで極端な、電波の停止に至るような対応を放送局がされるとも考えておりませんけれども、法律というのは、やはり法秩序というものをしっかりと守る、違反した場合には罰則規定も用意されていることによって実効性を担保すると考えておりますので、全く将来にわたってそれがあり得ないということは断言できません。
聞かれたので、行政指導をしても全く改善されず、繰り返される場合に停波の命令をださないとは言えないと答えただけです。
みごとなまでのミスリードですね。だからマスゴミと呼ばれるのですよ。

総理になってからは内閣広報官に、記者に対して「名前を名乗ってください」と何度も言わせていたそうです。異様なことをやらされているとわかっていても、その理不尽さを官僚は甘んじて呑まないといけない。
総理とあるのは、菅義偉氏のことです。
インターネット中継されている会見で、どこの誰が発言しているかは名乗ってくれないと視聴者である一般国民にはわからない。
名乗らせるのは当たり前だと思うのですが、それが「異様なこと」なのですね。
異様なのはあなたの思考だと私は思いますね。

実際、菅さんは定例会見が終わったあと、通常であればぶら下がりで数分囲んだりするものなのですが、私とバトルをやらかしたあとはイライラしていて「今日はぶら下がりなし!」と言って通り過ぎてしまうこともあったようです。
大笑いですね。あれがバトルなのですか。
頭の悪い記者が演説をたれ、同じ質問を何回もして、盛大に空回りしているだけなのですけどね。
それをバトルが成立していたと認識する時点で無能な記者であることがわかりますね。

第8章 信念を語る政治家はなぜ自民党から消えたのか(小沢一郎(立憲民主党・衆議院議員))

国際競争力のある強い企業や生産性の高い産業が伸びていけば、そこの儲けの一部が国民にも滴り落ちてくるだろうという理論で、それまでの政治の哲学をひっくり返してしまいました。ところが、そんなしずくは一向に滴り落ちることがなく、企業が大幅に内部留保を増やしただけでした。
内部留保が全部現金だと思っているようですね。
内部留保の現金は、次の投資の原資です。
この人、何年政治家をやっているのでしょうかね。

口では不平不満を言うのだけれども、選挙行動では自民党に入れてしまうという消極的な現状追認。あるいは投票にすら足を運ばない。これでは民主主義は成り立たないのです。
偉そうなこと言うが、消極的に自民党に投票してしまうのは、あなたの所属する野党第一党の立憲民主党はじめ特定野党がゴミすぎるからです。

ところが、あいつは俺に楯突くようなことを言ったとか、あいつの発言は気に入らないといった感覚で官邸が官僚の人事に手を突っ込んだものだから、秩序も規律も完全に乱れてしまいました。
そういった好き嫌いで人事に口を突っ込んだことでいうと、2020年10月に表面化した学術会議の任命拒否も大問題です。承認されていた105名の候補者のうち、あえて6名の学者を政府の判断で任命拒否した。
この程度の認識で批判するのは恥ずかしいですね。
105人は承認ではありません。推薦です。
日本学術会議法 第十七条
第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

まずは政権交代。今の自民党の劣化を嘆いているのであれば、有権者も本気でそこを考えるべきでしょう。
今の自民党よりも酷い「悪魔の民主党政権」をより劣化させたのが今の立憲民主党などの特定野党です。
寝言は寝てから言って下さいな。

ということで、一応読みましたが、クレーマーによる自民党へのクレームでした。
よくもこんなに無価値な本を出せるものです。

自民党 失敗の本質
石破茂,村上誠一郎,内田樹,御厨貴,前川喜平,古賀茂明,望月衣塑子
宝島社
2021/10/8

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