印鑰智哉さん、新米の美味さを知らないなんてかわいそう!
週刊金曜日の「米不足でもなぜ輸出を優先?重イオンビーム放射線育種米の問題点」という印鑰智哉氏が書いた記事を読みました。
これはいつもの「あきたこまちR」に対する風評加害記事です。
デタラメな主張をぶった切ります。
農林水産省の「米に関するマンスリーレポート(令和6年11月号)」をもとに説明します。
以下、3つのグラフはこのマンスリーレポートからの引用です(2つ目は米の民間在庫の推移です)。
「新米が本格流通するのは10月から」というのは、1つ目と2つ目のグラフを見れば9月からであるため事実と反するのがわかります。
こんなグラフを見なくても、9月が新米の季節であるのは一般人の知るところです。
なぜそんなことが言えるかというと、1つの目のグラフから歴然です。
一般人の9月・10月における米の購入量が極端に多いためです。美味しい新米を食べたいから米を買うのです。
こんな一般人の知ることを印鑰氏が知らないのは、新米を買ったこともなければ、新米が美味しいということも知らないのでしょう。
そうでないのならば、騙すために書いているのでしょう。
「それを早めに出荷しただけ」も常識を疑います。
3つ目のグラフを見てもらえばわかりますが、時期が早いければ高く売れます(年ごとの事情で例外はある)。
同じ品種であれば、早く植える・暖かい地域で育てる、ということで早く出荷できます。
稲に限らず早生品種があり、通常の品種よりも早く収穫できます。
早い方が高く売れるからそうするのです。
※理由はそれだけではない。時期を分散することで台風・渇水などの気候リスクを分散したり、稲刈り作業の時期を分散して多くの田んぼをみることができる。
早く出荷するには早く植える必要があり、米不足が騒がれだした8月になって前倒すことはできません。
「それを早めに出荷しただけ」ということは、例年は高く売れる時期に出荷していない、未成熟・乾燥が不十分でも出荷できると思っているのでしょう。
新米の出回る時期を知らないだけありますが、本当に農業にまるで興味がないのですね。
このことから「それを早めに出荷しただけ」というのは超ド素人の主張だとわかります。
マンスリーレポートから販売数量の推移のグラフを引用します。
4から6月に需要の上振れがあります。これはよく言われるインバウンドによるものかもしれません。
8月に大きく上振れしていますが、南海トラフ地震臨時情報とマスゴミが煽ったせいで、前年収穫分で需要の先食いをしています。
8月に先食いした分を9~10月で相殺した感じになって、11月に元に戻っています。
インバウンドなどによる需要増以外で深刻な事態になる懸念はないと言えるでしょう。
スイス100%以上、アメリカ35%、フランス90%、ドイツ70%、イギリス90%の補助金による補助率であるのに日本は30%だという表です。
印鑰氏は「日本は直接、間接にかかわらず・・・農家所得の貢献度において、政府の関与は圧倒的に低い」と書いているが、上記の30%には「間接」分が含まれません。
間接の代表例である関税でどのくらいの補助率か計算してみましょう。
「米をめぐる参考資料:農林水産省」にある「⑥ 国際交渉(コメ・コメ加工品)」の情報を使います。
米の関税はある量まで無税で、それを超えると341円/kgです。
アメリカの輸出米は835ドル/トンとのことなので、1ドル140円とすると無税で入ってくる分は 116.9円/kg となります。
関税ありだと 341円/kg + 116.9円/kg = 458円/kg となります。
3つ目のグラフからだいたい真ん中をとると 15000円/60kg ぐらいなので、250 円/kg で計算しましょう。
関税ありだと輸入米の方が高くなるので輸入されません。
250 円/kg と 116.9円/kg の差額が間接的な補助額になるので、関税による間接的な補助率は (250 - 117)/117= 113% となります。
直接+間接を合算すると140%以上となりアメリカの3倍以上となり、スイスよりも高くなります。
これのどこが「他国と比較して農家所得の貢献度において、政府の関与は圧倒的に低い」だ。嘘つくな。
※海外も関税はあるのでそれを加味すると差は減るでしょう
農林水産省の「品種登録データ検索」で見てみましょう。
農林水産植物の種類=稲、出願者の氏名=国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、出願公表の年月日=2021/08/05~2024/08/28、の条件で検索すると30個ヒットします。
その内、出願者名が「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」単独のものは22品種あります。
14品種だといっていたのにおかしいですね。
内訳を見ると、コシヒカリ環1号系が17品種、それ以外が5品種あります。
5品種の一つが次の「あきいいな」 です。
『(研究成果)新規需要米に適した水稲新品種「あきいいな」 | プレスリリース・広報』
ちゃんと調べていないのか、わざとかは知りませんが、事実とは異なります。
「ちほみのり環1号 | 農研機構」によると、『高温登熟性は「ちほみのり」と同じ"中"である』
「萌えみのり環1号 | 農研機構」によると、『高温登熟性は「萌えみのり」と同じ"弱"である』
とあります。
もとの品種と同等であり、コシヒカリ環1号系が高温に弱いわけではない。
高温登熟性の高い品種とコシヒカリ環1号を交配させれば高温登熟性の高い品種ができるということですな。
カドミウム対策は過去散々やってきました。
ただ、対策としてできるのは農場の土を入れ替える客土かカドミウムを吸収しやすい植物を使った植物浄化するぐらいしかない。
客土はせっかく農家が育てた土を捨てて一からやり直すことになる。福島第一原発事故の際も農家の要望に即してできるだけ客土を回避するようにしていた。
植物浄化の効率は高くなく、その間は本来のものを栽培できない。
そもそも検査もコストがかかる。
農家の負荷を考えずコストも考えず、非現実的なことを好き勝手に言っていればよいので活動家は楽ですね。
米の輸出をしなければ自給率をあげ、「米騒動」も回避できたかのような書きっぷりですね。
先ほどから何度も参照しているマンスリーレポートの11月版と10月版をもとにも面白いデータを紹介しましょう。
輸出量は1月からの合算しか書かれていないが、11月版から10月版を引いてあげれば1か月分の輸出量が出ます。
そのように求めると、9月の輸出量は4014トン。片や9月の国内相対取引量は252,373トン
輸出に回しているのは全体の1.5%であり誤差でしかない。
数字を見ず思いついたことだけ言っていればよい活動家は楽でいいですね。
そもそも、印鑰氏は「リベラル」政党の支持者のようですが、本来のリベラルは自由を大事にするので輸出向けのを国内に転用せよ!って強制することに反対するはずなのにおかしいですね。
ちなみに、輸出していた分の農業生産基盤は困った時に国内栽培用に転用できるという事実はど無視していますね。
そもそも、日本は一人当たりの平地が少ないので自給率を大幅に上げることは無理なのです。
非現実的なことを言っていればよい活動家は楽でいいですね。
※FAOの2018年データより作図
これはいつもの「あきたこまちR」に対する風評加害記事です。
デタラメな主張をぶった切ります。
新米を買ったことも、美味さも知らないの?
お米売り場からお米が消え、全国で大きな騒ぎになった。でも新米の出荷が進み、米も戻ってきた。これで問題は解消したか?本来、新米が本格流通するのは10月から。それを早めに出荷しただけで、これでは問題の先送りにすぎない。驚きの記述です。
農林水産省の「米に関するマンスリーレポート(令和6年11月号)」をもとに説明します。
以下、3つのグラフはこのマンスリーレポートからの引用です(2つ目は米の民間在庫の推移です)。
「新米が本格流通するのは10月から」というのは、1つ目と2つ目のグラフを見れば9月からであるため事実と反するのがわかります。
こんなグラフを見なくても、9月が新米の季節であるのは一般人の知るところです。
なぜそんなことが言えるかというと、1つの目のグラフから歴然です。
一般人の9月・10月における米の購入量が極端に多いためです。美味しい新米を食べたいから米を買うのです。
こんな一般人の知ることを印鑰氏が知らないのは、新米を買ったこともなければ、新米が美味しいということも知らないのでしょう。
そうでないのならば、騙すために書いているのでしょう。
「それを早めに出荷しただけ」も常識を疑います。
3つ目のグラフを見てもらえばわかりますが、時期が早いければ高く売れます(年ごとの事情で例外はある)。
同じ品種であれば、早く植える・暖かい地域で育てる、ということで早く出荷できます。
稲に限らず早生品種があり、通常の品種よりも早く収穫できます。
早い方が高く売れるからそうするのです。
※理由はそれだけではない。時期を分散することで台風・渇水などの気候リスクを分散したり、稲刈り作業の時期を分散して多くの田んぼをみることができる。
早く出荷するには早く植える必要があり、米不足が騒がれだした8月になって前倒すことはできません。
「それを早めに出荷しただけ」ということは、例年は高く売れる時期に出荷していない、未成熟・乾燥が不十分でも出荷できると思っているのでしょう。
新米の出回る時期を知らないだけありますが、本当に農業にまるで興味がないのですね。
このことから「それを早めに出荷しただけ」というのは超ド素人の主張だとわかります。
早く新米を食べ始めてしまった分、来年夏以降にはさらに深刻な事態になる可能性大だ。「早く新米を食べ始めてしまった」というのは先に示した通り事実に反するので、その後の主張も疑わしいということになりますね。
マンスリーレポートから販売数量の推移のグラフを引用します。
4から6月に需要の上振れがあります。これはよく言われるインバウンドによるものかもしれません。
8月に大きく上振れしていますが、南海トラフ地震臨時情報とマスゴミが煽ったせいで、前年収穫分で需要の先食いをしています。
8月に先食いした分を9~10月で相殺した感じになって、11月に元に戻っています。
インバウンドなどによる需要増以外で深刻な事態になる懸念はないと言えるでしょう。
関税を無視しデマを流す
日本以外の先進国では、どの国も政府が農家の所得を一定限度守っている。スイスでは、農家所得に政府の補助金が占める割合は100%を超えている。米国も日本と同様、農家の所得に占める政府の補助金の割合は低いが、一方で農産物買い上げ政策を続けている。つまり米国では農産物を買い上げ貧困対策や海外への食料援助に使い、間接的に農家を支援する形になっている。その支出割合では米国が一番高い(表1参照)。一方、日本は直接、間接にかかわらず、他国と比較して農家所得の貢献度において、政府の関与は圧倒的に低い。表1とあるのは、印鑰氏のデマ仲間である東大鈴木宣弘教授のコラムのデータです。
スイス100%以上、アメリカ35%、フランス90%、ドイツ70%、イギリス90%の補助金による補助率であるのに日本は30%だという表です。
印鑰氏は「日本は直接、間接にかかわらず・・・農家所得の貢献度において、政府の関与は圧倒的に低い」と書いているが、上記の30%には「間接」分が含まれません。
間接の代表例である関税でどのくらいの補助率か計算してみましょう。
「米をめぐる参考資料:農林水産省」にある「⑥ 国際交渉(コメ・コメ加工品)」の情報を使います。
米の関税はある量まで無税で、それを超えると341円/kgです。
アメリカの輸出米は835ドル/トンとのことなので、1ドル140円とすると無税で入ってくる分は 116.9円/kg となります。
関税ありだと 341円/kg + 116.9円/kg = 458円/kg となります。
3つ目のグラフからだいたい真ん中をとると 15000円/60kg ぐらいなので、250 円/kg で計算しましょう。
関税ありだと輸入米の方が高くなるので輸入されません。
250 円/kg と 116.9円/kg の差額が間接的な補助額になるので、関税による間接的な補助率は (250 - 117)/117= 113% となります。
直接+間接を合算すると140%以上となりアメリカの3倍以上となり、スイスよりも高くなります。
これのどこが「他国と比較して農家所得の貢献度において、政府の関与は圧倒的に低い」だ。嘘つくな。
※海外も関税はあるのでそれを加味すると差は減るでしょう
農研機構の新しい品種は全てコシヒカリ環1号系?
「コシヒカリ環1号」は重イオンビーム放射線によって遺伝子の一部を破壊し、重金属カドミウムを吸いにくくした品種だが、農林水産省は「コシヒカリ環1号」を親とする後継品種開発を進め、2021年8月以降から現在までの3年間に農研機構が公表した14の新品種はすべてこれらの品種となっており(表2)、2030年までに5割の都道府県への導入をめざしている。重イオンビームを使った品種改良は日本しかしていないとデマを流していた印鑰氏ですが、ここでも新しいデマを生産していますね。
農林水産省の「品種登録データ検索」で見てみましょう。
農林水産植物の種類=稲、出願者の氏名=国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、出願公表の年月日=2021/08/05~2024/08/28、の条件で検索すると30個ヒットします。
その内、出願者名が「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構」単独のものは22品種あります。
14品種だといっていたのにおかしいですね。
内訳を見ると、コシヒカリ環1号系が17品種、それ以外が5品種あります。
5品種の一つが次の「あきいいな」 です。
『(研究成果)新規需要米に適した水稲新品種「あきいいな」 | プレスリリース・広報』
ちゃんと調べていないのか、わざとかは知りませんが、事実とは異なります。
「コシヒカリ環1号」系品種は、高温に弱い可能性が高い。またいい加減なことを書きますね。
「ちほみのり環1号 | 農研機構」によると、『高温登熟性は「ちほみのり」と同じ"中"である』
「萌えみのり環1号 | 農研機構」によると、『高温登熟性は「萌えみのり」と同じ"弱"である』
とあります。
もとの品種と同等であり、コシヒカリ環1号系が高温に弱いわけではない。
高温登熟性の高い品種とコシヒカリ環1号を交配させれば高温登熟性の高い品種ができるということですな。
さすが農業を知らないだけある
カドミウム汚染地域は限られており、汚染米の割合は日本全体で数パーセントにすぎない。汚染米は検査により、流通から排除されている。その汚染地で汚染対策に集中すれば問題解決できるのに、それは遅々として進まない。農業に無知なだけありますね。
カドミウム対策は過去散々やってきました。
ただ、対策としてできるのは農場の土を入れ替える客土かカドミウムを吸収しやすい植物を使った植物浄化するぐらいしかない。
客土はせっかく農家が育てた土を捨てて一からやり直すことになる。福島第一原発事故の際も農家の要望に即してできるだけ客土を回避するようにしていた。
植物浄化の効率は高くなく、その間は本来のものを栽培できない。
そもそも検査もコストがかかる。
農家の負荷を考えずコストも考えず、非現実的なことを好き勝手に言っていればよいので活動家は楽ですね。
輸出米を国内に回していたら「米騒動」は回避できた?
政府は低い食料自給率を上げるよりも、海外への輸出に力点を置いている。今年、米輸出は過去最大になった。国内の米売り場に米がないのに、海外にはどんどん米が輸出されていた。頭が悪いですね。
米の輸出をしなければ自給率をあげ、「米騒動」も回避できたかのような書きっぷりですね。
先ほどから何度も参照しているマンスリーレポートの11月版と10月版をもとにも面白いデータを紹介しましょう。
輸出量は1月からの合算しか書かれていないが、11月版から10月版を引いてあげれば1か月分の輸出量が出ます。
そのように求めると、9月の輸出量は4014トン。片や9月の国内相対取引量は252,373トン
輸出に回しているのは全体の1.5%であり誤差でしかない。
数字を見ず思いついたことだけ言っていればよい活動家は楽でいいですね。
そもそも、印鑰氏は「リベラル」政党の支持者のようですが、本来のリベラルは自由を大事にするので輸出向けのを国内に転用せよ!って強制することに反対するはずなのにおかしいですね。
ちなみに、輸出していた分の農業生産基盤は困った時に国内栽培用に転用できるという事実はど無視していますね。
そもそも、日本は一人当たりの平地が少ないので自給率を大幅に上げることは無理なのです。
非現実的なことを言っていればよい活動家は楽でいいですね。
※FAOの2018年データより作図
この記事へのコメント