私たちはデマ屋に何をだまされているのか

「私たちは何を食べているのか」(安田節子)を読みました。
「はじめに」にもデマ満載でしたが、本編でいくらでも具体的な物が出てくると思うので、ツッコミはスキップします。
「The sobering details behind the latest seed monopoly chart | PCC Community Markets」
これは、2019年の記事ですが、これによるとGM種子市場において上位4社で60%以上のシェアがあるそうです。
モンサントが90%、2位~4位合計で10%であっても、「上位4社で60%以上」とは矛盾しませんが、常識的にそんなイカレタ表現はしません。
「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について:農林水産省」には次のようにあります。
Prenatal and infant exposure to ambient pesticides and autism spectrum disorder in children: population based case-control study | The BMJ(出生前および乳児期の環境中農薬曝露と子どもの自閉症スペクトラム障害:集団ベースの症例対照研究)
安田氏の書きっぷりだと、グリホサートは自閉症・脂肪肝・出生異常などのリスクを高めることが示された論文だと読めますね。
論文のタイトルを見ればわかりますが、自閉症の話しかしていません。なめていますね。
中身を見ると、農薬を散布したところから2km以内に住んでいる人の自閉症の割合が多いというもの。
距離でしか見ておらず、実際の農薬曝露量がどの程度か調べているわけではない。
2キロ先でおっさんが立小便したから病気になった!みたいな話です。
妊娠中の場合、グリホサートで12%で自閉症リスクが高まるという試算をしています。
ネオニコチノイド系農薬のイミダクロプリドの場合はどうかというと、19%リスクが下がるという試算になっています。
ぷぷぷ。自閉症リスクが下がるのでネオニコを積極的に摂取しよう!ってなりますか?
論文も玉石混合であり、この論文は見事な石です。
上記の内容自体は正しいが、その後のことを知ったら、なめんなよ!ってなるでしょう。
2018年08月03日 仮処分
2018年09月03日 仮処分の取消
2019年02月22日 発がん性や重篤な毒性はないと発表
・Brazil court overturns ban on weed-killer glyphosate | Reuters
・Brazil court overturns earlier ban on glyphosate | The Western Producer
・Nota Técnica nº 23/2018
製剤(市販されるものと同じ成分の農薬)で急性毒性試験などします。
以下のア・カ・ケは製剤での試験が必須です。それ以外のイなどは条件付き必須です。
あなたは毎日農薬の水割りをのむのですか?って聞いてみたいですね。
誤飲をイメージして急性経口毒性試験をしますが、補助剤(界面活性剤)の残留はほとんどありません。
補助剤の方は別の法律である化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(略称:化審法)の規制があるので、そちらで急性・慢性毒性試験します。
「Toxicity of formulants and heavy metals in glyphosate-based herbicides and other pesticides(グリホサート系除草剤およびその他の殺虫剤に含まれる配合剤および重金属の毒性)」
この論文を読むと、ヒトの細胞実験をしていることがわかります。
ヒトは農薬や界面活性剤(洗剤などをイメージしてもらえばよい)を注射するのでしょうか?
しませんよね。そのため、この研究からはヒトへの毒性がどの程度かはわかりません。
昔、牛乳を誤って6cc点滴してしまって死亡した事件がありました。
牛乳を点滴すると人が死ぬので、口から牛乳を摂取するのは危険だと言っているのと同レベルの実験です。
重金属の話もしています。鉛が8 ppb含まれている!と騒いでいます。
日本ではトマト・キュウリなどの残留基準値は 1.0ppmです。
残留基準の 0.8 % で騒いでいるのですよ。
・Full article: Merchandising doubt in the periphery: some lessons from the glyphosate debate in Colombia
・Corte Constitucional rechaza el Plan de Manejo Ambiental para la aspersión aérea con glifosato en Colombia
これを見ると、空中散布が禁止されただけです。
筆頭がこれですから、その後も見る価値は無しですね。
残留農薬基準値は、農薬の使用基準値であって安全基準値ではありません。
デマ屋は残留農薬基準値の話しかせず、安全基準値であるADI(一日摂取許容量)の話はしない。
緩和したというが、ADIは変更ないのです。
ラウンドアップ耐性が出たので大量に散布が必要だから基準値を緩和したというのは低レベルな陰謀論ですね。
仮にそういう理由で緩和したのならば、2018年以降に残留量が増えていないと辻褄が合わないですよね。

※農林水産省の「輸入米麦のかび毒、重金属及び残留農薬等の分析結果」をもとに作図
5ppmから30ppmに上がったが2018年以降も旧基準値未満なのですよ。
実際のところは、国際的なコーデックス基準に従っただけなのです。詳細はこちら参照。
分かり易くて結構なことです。
「(参考11)Codex委員会によるグルテン不耐症者のための特別用途食品に関するコーデックス規格(CODEX STAN118-1979)(昭和54年採択、平成27年最終修正)」より以下を引用します。

トップ20(全体量の約8割を占める)に有機リン系農薬・ネオニコチノイド系農薬が一つも登場しないのよね。
①A Common Pesticide Decreases Foraging Success and Survival in Honey Bees | Science
(一般的な農薬がミツバチの採餌成功と生存率を低下させる)
②Neonicotinoid Pesticide Reduces Bumble Bee Colony Growth and Queen Production | Science
(ネオニコチノイド系農薬がマルハナバチのコロニーの成長と女王蜂の生産を減少させる)
③Combined pesticide exposure severely affects individual- and colony-level traits in bees | Nature
(複合農薬曝露はミツバチの個体レベルとコロニーレベルの形質に深刻な影響を与える)
それぞれの論文の結論として最も重要であるだろう箇所を引用します。
①我々の研究は、致死量ではないが一般的に遭遇する量のチアメトキサムに採餌蜂がさらされると、採餌蜂の生存に影響を及ぼし、崩壊リスクに寄与する可能性があることを明確に示している。
②この結果は、微量レベルのネオニコチノイド系農薬が、現実的な野外条件下でマルハナバチのコロニーによる女王蜂生産に強い悪影響を及ぼしうること、そしてこのことが個体群レベルに大きな影響を及ぼす可能性が高いことを示唆している。
③本研究では、2 種類の農薬(ネオニコチノイド系とピレスロイド系)を現場レベルの曝露量に近い濃度でマルハナバチに慢性的に曝露することで、自然な採食行動が損なわれ、働き蜂の死亡率が増加し、子実体の発育とコロニーの成功率が著しく低下することを示す。
主原因がネオニコチノイドなどと言っていませんね。
原因の一つである可能性を提示しているに過ぎない。
何をどう読むと「決着した」ってなるのですかね?
ちなみに、日本でもCCDが起きたことになっているが、「蜜蜂被害事例調査(平成25年度~平成27年度)」でCCDに該当する事例は無かったと報告されています。
少し知っている人であれば、②適用拡大や有効成分は同じだが濃度等が違うもの登録がされないという意味か?と思うでしょう。
実際は、既存のネオニコチノイド系農薬の再評価が終わるまでは、②適用拡大や有効成分は同じだが濃度等が違うもの登録が保留されるということです。
「新規登録を認めない」わけではないのです。
そして、①を認めないとは決定していません。
デタラメばかりですね。
その辺のことは2018年の次の文書に書かれています。デマ屋に騙されないようにしましょう。
「EXPANDING USE OF PESTICIDE PRODUCTS UNDER REEVALUATION 」
「6.日本だけ基準を緩和」というサブタイトルで日本だけネオニコチノイド系農薬の残留農薬基準値を緩和していると書いています。
ご丁寧に、日米EU台湾の値と比べて何千倍だの書いています。
先ほども書きましたが、残留農薬基準値だけ書いてADIに触れない人はデマ屋です。
ネオニコでも同じことをしています。
アセタミプリドのADIは、日米台湾で 0.07 mg/kg 体重/日、EUで 0.025 mg/kg 体重/日となっているのです(参考までに韓国も日本と同じ)。
以下を見てもらうと面白いですが、日本だけが緩和しているらしいですよ。
参考までに同じネオニコ系のチアクロプリドのお茶の基準値の変化を見てもらいましょう。
2019/10/30時点だと、日本は30ppm、台湾は0.05ppmで600倍
2020/10/10時点だと、日本は25ppm、台湾は0.05ppmで500倍
2023/10/01時点だと、日本は25ppm、台湾は10ppmで2.5倍
台湾が残留農薬基準値を4年間で200倍にしていますが、日本だけ緩和しているそうですよ。ぷぷっ。
「ネオニコチノイド系農薬データ」にあるグラフを見てもらうとよいですが、1997-2007年あたりのことを言っているらしい。
デマ屋は情報を更新しない法則発動ですね。
発達障害とネオニコを関連付けたいようですが、因果関係どころか相関関係すらありません。
因果関係も否定されています。
母親の尿中ネオニコチノイド系農薬等濃度と子どもの発達との関連について —子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)—|2023年度|国立環境研究所
農研機構の次の資料によると、「不稔を引き起こす能力は高い。1頭/株で6%の不稔が起こる」とあり、斑点米ができるだけでなく、種子が稔(みの)らなくなると言っています。
「斑点米カメムシ類の被害及び防除法(特に近年問題となっているイネカメムシを中心に)」
斑点はカビによるものらしいです。カビ毒の可能性が高まるように思えますが、本当に害はないのですかね?
「International Federation of Gynecology and Obstetrics opinion on reproductive health impacts of exposure to toxic environmental chemicals - Di Renzo - 2015 - International Journal of Gynecology & Obstetrics - Wiley Online Library」
面白いことにネオニコチノイド系農薬については一切触れられいません。
ここまででやっと27ページ終えまして、1章のツッコミが終わりました。
とてもではないですが、全てを対象にはできないので、巻末の【特別メッセージ】までスキップします(暇ができたら飛ばした分をやるかもしれない)。
「農業競争力強化支援法の八条の四項」は、種苗の生産の知見を提供するのであって、他の知的財産権を渡すわけではない。
詳細はこちら参照。
※令和5年3月から9月までの第1次取組は15万円、令和5年10月から令和6年3月まの第2次取組は5万円というのはQ&Aにあったが別の話だろう
15万円なら見つかった。
そもそも、資料を見ると受ける印象は変わります。
「酪農経営改善緊急支援事業実施要領」から引用します。
上記資料は「酪農経営改善緊急支援事業について:農林水産省」からリンクされています。
調べると、「生乳キロ当たり2円」ではなく「生乳キロ当たり0.45円」ですね。
・酪農乳業乳製品在庫調整特別対策事業の実施内容について
・【2024年度実施事業】酪農乳業乳製品在庫調整特別対策事業について
・酪農乳業需給変動対策基金要領
倫理観の欠如はお前だ!
外部遺伝子が残っていないので他の品種改良と何ら変わらない。
ゲノム編集トマトが「安全性がしっかりと確認できてない」と言うのならば、この世の中の食べものが全てそうだと言えるわ。ボケが!
私たちは何を食べているのか: まともな食べ物がちゃんと手に入らない日本
安田節子
三和書籍
2022/11/21
「はじめに」にもデマ満載でしたが、本編でいくらでも具体的な物が出てくると思うので、ツッコミはスキップします。
Ⅰ-① 農薬の人体汚染は待ったなし 相次ぐ警告(1) 除草剤グリホサート
モンサントは遺伝子組み換え(GM)種子の90パーセントを握っていますが、それらGMの多くはラウンドアップを浴びても枯れないラウンドアップ耐性です。はい、ダウト!
「The sobering details behind the latest seed monopoly chart | PCC Community Markets」
これは、2019年の記事ですが、これによるとGM種子市場において上位4社で60%以上のシェアがあるそうです。
モンサントが90%、2位~4位合計で10%であっても、「上位4社で60%以上」とは矛盾しませんが、常識的にそんなイカレタ表現はしません。
2015年、WHOの国際がん研究機関(IARC)が、ラウンドアップを毒性ランクで上から二番目の「ヒトに対しておそらく発がん性がある」というグループ「2A」に指定しました。よくある低レベルな間違いです。
「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について:農林水産省」には次のようにあります。
IARCによる発がん性の分類は、人に対する発がん性があるかどうかの「証拠の強さ」を示すものです。物質の発がん性の強さや暴露量に基づくリスクの大きさを示すものではありません。「毒性ランク」などと書いているが、毒性の高低を示すものではない。
グリホサートは発がん性のみならず、環境ホルモン作用があり、出生異常、脂肪肝のほか、自閉症スペクトラム障害(ASD)になるリスクが高いことが示されています(『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」2019年3月20日)。論文のタイトルは書かれていないが、雑誌名と日付があるので調べてものを特定しました。
Prenatal and infant exposure to ambient pesticides and autism spectrum disorder in children: population based case-control study | The BMJ(出生前および乳児期の環境中農薬曝露と子どもの自閉症スペクトラム障害:集団ベースの症例対照研究)
安田氏の書きっぷりだと、グリホサートは自閉症・脂肪肝・出生異常などのリスクを高めることが示された論文だと読めますね。
論文のタイトルを見ればわかりますが、自閉症の話しかしていません。なめていますね。
中身を見ると、農薬を散布したところから2km以内に住んでいる人の自閉症の割合が多いというもの。
距離でしか見ておらず、実際の農薬曝露量がどの程度か調べているわけではない。
2キロ先でおっさんが立小便したから病気になった!みたいな話です。
妊娠中の場合、グリホサートで12%で自閉症リスクが高まるという試算をしています。
ネオニコチノイド系農薬のイミダクロプリドの場合はどうかというと、19%リスクが下がるという試算になっています。
ぷぷぷ。自閉症リスクが下がるのでネオニコを積極的に摂取しよう!ってなりますか?
論文も玉石混合であり、この論文は見事な石です。
GM大豆の大生産地ブラジルでは、調査した母乳の80パーセント以上にグリホサートかその代謝物、またはその両方を検出。連邦裁判所は2018年、グリホサートを含む製品について、政府がその毒性再評価を完了するまで使用禁止を決定しました。都合の悪いことは書かないのですね。
上記の内容自体は正しいが、その後のことを知ったら、なめんなよ!ってなるでしょう。
2018年08月03日 仮処分
2018年09月03日 仮処分の取消
2019年02月22日 発がん性や重篤な毒性はないと発表
・Brazil court overturns ban on weed-killer glyphosate | Reuters
・Brazil court overturns earlier ban on glyphosate | The Western Producer
・Nota Técnica nº 23/2018
安全性評価では製剤に含まれる補助剤の毒性データは含まれません。日本の安全性審査も主剤(活性成分)のみの評価で残留基準を決めています。これも嘘八百です。
製剤(市販されるものと同じ成分の農薬)で急性毒性試験などします。
以下のア・カ・ケは製剤での試験が必須です。それ以外のイなどは条件付き必須です。
農薬(製剤)の評価に用いる試験成績※「農薬登録申請 - 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)」より引用
ア 急性経口毒性
イ 急性経皮毒性
ウ 急性吸入毒性
エ 皮膚刺激性
オ 眼刺激性
カ 皮膚感作性
キ 経皮吸収
ク 圃場における農薬使用者暴露
ケ 農薬使用者暴露量の推定
あなたは毎日農薬の水割りをのむのですか?って聞いてみたいですね。
誤飲をイメージして急性経口毒性試験をしますが、補助剤(界面活性剤)の残留はほとんどありません。
補助剤の方は別の法律である化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(略称:化審法)の規制があるので、そちらで急性・慢性毒性試験します。
フランス・カーン大学のセラリーニ教授らの研究グループは、ラウンドアップの補助剤のひとつである界面活性剤POEA(ポリエトキシ化獣脂アミン)が、グリホサート単独に比べ毒性は千倍以上あることを示したという研究結果を、2017年「Toxicology Reports」に発表しました。補助剤の毒性を考慮して、一日許容摂取量(ADI)と残留基準値(MRL)の設定には安全係数の積み増しが必要だとしています。遺伝子組み換えのデタラメ論文で有名なセラリーニ教授が登場しましたね。
「Toxicity of formulants and heavy metals in glyphosate-based herbicides and other pesticides(グリホサート系除草剤およびその他の殺虫剤に含まれる配合剤および重金属の毒性)」
この論文を読むと、ヒトの細胞実験をしていることがわかります。
ヒトは農薬や界面活性剤(洗剤などをイメージしてもらえばよい)を注射するのでしょうか?
しませんよね。そのため、この研究からはヒトへの毒性がどの程度かはわかりません。
昔、牛乳を誤って6cc点滴してしまって死亡した事件がありました。
牛乳を点滴すると人が死ぬので、口から牛乳を摂取するのは危険だと言っているのと同レベルの実験です。
重金属の話もしています。鉛が8 ppb含まれている!と騒いでいます。
日本ではトマト・キュウリなどの残留基準値は 1.0ppmです。
残留基準の 0.8 % で騒いでいるのですよ。
3. 国際的に強まるグリホサート使用禁止の勢い記述の筆頭にあるコロンビアについて調べてみましょう(他に、スリランカ、オランダ、フランス、スイス、ドイツなどの例がある)。どうせ、家庭や公園での使用禁止じゃねぇの?
毒性を示すいくつもの研究結果を踏まえ国際的にグリホサート禁止の勢いが強まっています。
・コロンビア:グリホサートを主成分とする製品の散布を禁止
・・・
・Full article: Merchandising doubt in the periphery: some lessons from the glyphosate debate in Colombia
・Corte Constitucional rechaza el Plan de Manejo Ambiental para la aspersión aérea con glifosato en Colombia
これを見ると、空中散布が禁止されただけです。
筆頭がこれですから、その後も見る価値は無しですね。
4. 日本におけるグリホサート使用規制緩和デマ屋の典型ですね。
日本はこうした世界の動きとは反対に、2017年12月、厚生労働省はグリホサートの残留基準値を大幅に緩和したのです。
アメリカにおけるラウンドアップ耐性のGM作物畑では、継続的なラウンドアップ使用で雑草が耐性を持つようになり、より多量のラウンドアップ散布が必要になりました。それでGM作物を輸入する日本は、残留値を引き上げたのです。
残留農薬基準値は、農薬の使用基準値であって安全基準値ではありません。
デマ屋は残留農薬基準値の話しかせず、安全基準値であるADI(一日摂取許容量)の話はしない。
緩和したというが、ADIは変更ないのです。
ラウンドアップ耐性が出たので大量に散布が必要だから基準値を緩和したというのは低レベルな陰謀論ですね。
仮にそういう理由で緩和したのならば、2018年以降に残留量が増えていないと辻褄が合わないですよね。

※農林水産省の「輸入米麦のかび毒、重金属及び残留農薬等の分析結果」をもとに作図
5ppmから30ppmに上がったが2018年以降も旧基準値未満なのですよ。
実際のところは、国際的なコーデックス基準に従っただけなのです。詳細はこちら参照。
なお、アメリカ産の小麦には別の問題もあります。グルテンを多く含む(ふわふわのパンになる)よう品種改良が進んだ結果、グルテンと糖が結びついた「糖たんぱく質」が小腸に炎症を起こし、その結果、腸粘膜に小さな穴があき、炎症物質などが血中にもれるリーキーガットという症状を引き起こすと問題になっています。デマ屋を見つけるキーワードに「リーキーガット」「リーキーガット症候群」があります。
分かり易くて結構なことです。
「(参考11)Codex委員会によるグルテン不耐症者のための特別用途食品に関するコーデックス規格(CODEX STAN118-1979)(昭和54年採択、平成27年最終修正)」より以下を引用します。
「リーキーガット症候群」は、長期にわたる広範な症状(慢性疲労症候群(CFS)及び多発性硬化症(MS)など)の原因として一部の医療関係者が主張している説である。そういうことです。
「リーキーガット症候群」の提唱者らは、多くの症状及び状態は、孔の開いた(透過しやすくなる)腸を通って血中に取り込まれた細菌、毒性又は他の物質に対して免疫系が反応することが原因で起こると主張する。
確かに、一部の状態及び投薬治療が「透過しやすくなる(leaky)」腸の原因となる可能性はある(科学的には腸管の粘膜透過性の増大と言う)が、現時点で、孔の開いた腸が、重大で広範にわたる何らかの問題の直接的原因となるという理論を裏付けるエビデンスはほとんどない。
また、腸の漏れやすさ軽減への一助となると一部の人たちが主張する栄養サプリメント及びハーブ療法などの「治療法」が、状態の大半に関して、何らかの有益な効果を有するとするエビデンスはほとんどない。
Ⅰ-② 農薬の人体汚染は待ったなし 相次ぐ警告(2)ネオニコチノイド系農薬
日本で一番使用量が多いのが有機リン系農薬で、二番目がネオニコチノイド(以下、ネオニコ)系農薬です。この章の最初の一文ですが、噓八百です。

トップ20(全体量の約8割を占める)に有機リン系農薬・ネオニコチノイド系農薬が一つも登場しないのよね。
ミツバチが大量失踪するというCCD(蜂群崩壊症候群)は、北米、ヨーロッパ、中国、日本、南米など、世界の至る場所で見られるようになりました。「決着した」なんて聞いたことはないが、2012年の論文を見てみますか。
・・・
ダニやウィルス、農薬による環境破壊など様々な原因が議論されてきましたが、2012年、「ネイチャー」、「サイエンス」にその根拠が掲載され、主原因はネオニコチノイドということで決着したようです。
①A Common Pesticide Decreases Foraging Success and Survival in Honey Bees | Science
(一般的な農薬がミツバチの採餌成功と生存率を低下させる)
②Neonicotinoid Pesticide Reduces Bumble Bee Colony Growth and Queen Production | Science
(ネオニコチノイド系農薬がマルハナバチのコロニーの成長と女王蜂の生産を減少させる)
③Combined pesticide exposure severely affects individual- and colony-level traits in bees | Nature
(複合農薬曝露はミツバチの個体レベルとコロニーレベルの形質に深刻な影響を与える)
それぞれの論文の結論として最も重要であるだろう箇所を引用します。
①我々の研究は、致死量ではないが一般的に遭遇する量のチアメトキサムに採餌蜂がさらされると、採餌蜂の生存に影響を及ぼし、崩壊リスクに寄与する可能性があることを明確に示している。
②この結果は、微量レベルのネオニコチノイド系農薬が、現実的な野外条件下でマルハナバチのコロニーによる女王蜂生産に強い悪影響を及ぼしうること、そしてこのことが個体群レベルに大きな影響を及ぼす可能性が高いことを示唆している。
③本研究では、2 種類の農薬(ネオニコチノイド系とピレスロイド系)を現場レベルの曝露量に近い濃度でマルハナバチに慢性的に曝露することで、自然な採食行動が損なわれ、働き蜂の死亡率が増加し、子実体の発育とコロニーの成功率が著しく低下することを示す。
主原因がネオニコチノイドなどと言っていませんね。
原因の一つである可能性を提示しているに過ぎない。
何をどう読むと「決着した」ってなるのですかね?
ちなみに、日本でもCCDが起きたことになっているが、「蜜蜂被害事例調査(平成25年度~平成27年度)」でCCDに該当する事例は無かったと報告されています。
また2018年、米カリフォルニア州はネオニコ系農薬の新規登録を認めない決定をしました。よく知らない人がこれを読むと、①ネオニコチノイド系の新しい有効成分のものを登録できないと思うでしょう。
少し知っている人であれば、②適用拡大や有効成分は同じだが濃度等が違うもの登録がされないという意味か?と思うでしょう。
実際は、既存のネオニコチノイド系農薬の再評価が終わるまでは、②適用拡大や有効成分は同じだが濃度等が違うもの登録が保留されるということです。
「新規登録を認めない」わけではないのです。
そして、①を認めないとは決定していません。
デタラメばかりですね。
その辺のことは2018年の次の文書に書かれています。デマ屋に騙されないようにしましょう。
「EXPANDING USE OF PESTICIDE PRODUCTS UNDER REEVALUATION 」
「6.日本だけ基準を緩和」というサブタイトルで日本だけネオニコチノイド系農薬の残留農薬基準値を緩和していると書いています。
ご丁寧に、日米EU台湾の値と比べて何千倍だの書いています。
先ほども書きましたが、残留農薬基準値だけ書いてADIに触れない人はデマ屋です。
ネオニコでも同じことをしています。
アセタミプリドのADIは、日米台湾で 0.07 mg/kg 体重/日、EUで 0.025 mg/kg 体重/日となっているのです(参考までに韓国も日本と同じ)。
以下を見てもらうと面白いですが、日本だけが緩和しているらしいですよ。
こちらは、悪名高い?ネオニコチノイド系殺虫剤の尿中濃度の論文。
— 晴川雨読 (@Seisenudoku) May 17, 2025
オーガニック給食を導入している韓国の方が濃度が高いのはどういうことでしょうね?
Profiles of urinary neonicotinoids and dialkylphosphates in populations in nine countries - PMChttps://t.co/fB8HgVhy4P pic.twitter.com/WAU3OryxnE
参考までに同じネオニコ系のチアクロプリドのお茶の基準値の変化を見てもらいましょう。
2019/10/30時点だと、日本は30ppm、台湾は0.05ppmで600倍
2020/10/10時点だと、日本は25ppm、台湾は0.05ppmで500倍
2023/10/01時点だと、日本は25ppm、台湾は10ppmで2.5倍
台湾が残留農薬基準値を4年間で200倍にしていますが、日本だけ緩和しているそうですよ。ぷぷっ。
日本ではネオニコ系農薬の使用量は最近10年間で3倍に増加しています。この本は2022年出版なので「最近10年間で3倍に増加」といったら、2010-2020年の間くらいを想像するでしょう。
これと並行するように、発達障害が増加の一途をたどっています。
2012年文部科学省の小中学童調査で、6.5パーセント(15人に1人)が発達障害の可能性と発表しています。
「ネオニコチノイド系農薬データ」にあるグラフを見てもらうとよいですが、1997-2007年あたりのことを言っているらしい。
デマ屋は情報を更新しない法則発動ですね。
発達障害とネオニコを関連付けたいようですが、因果関係どころか相関関係すらありません。
Global prevalence of autism: A systematic review updatehttps://t.co/n6flNkni9z
— 晴川雨読 (@Seisenudoku) September 27, 2023
↓データhttps://t.co/1HocfIXwsT
自閉症の情報です。
農薬使用量が少ないオーストラリアが日本より自閉症が多いのは笑えますね。相関すら無し。
↓2つ目の画像はよく流布されているものhttps://t.co/5W8PS0FJee pic.twitter.com/tOL5uaRTM7
因果関係も否定されています。
母親の尿中ネオニコチノイド系農薬等濃度と子どもの発達との関連について —子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)—|2023年度|国立環境研究所
カメムシ斑点米対策が、ネオニコ系農薬の使用を増やし、玄米に残留しています。はい、ダウト!
・・・
斑点米は食べても無毒です。そして収穫量には影響しません。
農研機構の次の資料によると、「不稔を引き起こす能力は高い。1頭/株で6%の不稔が起こる」とあり、斑点米ができるだけでなく、種子が稔(みの)らなくなると言っています。
「斑点米カメムシ類の被害及び防除法(特に近年問題となっているイネカメムシを中心に)」
斑点はカビによるものらしいです。カビ毒の可能性が高まるように思えますが、本当に害はないのですかね?
2015年、国際産婦人科連合は「農薬や環境ホルモンなど有害な環境化学物質の曝露によりヒトの生殖、出産異常が増え、子どもの健康障害や脳機能の発達障害が増加している」と警告を発しました。当たり前のように、警告文書の名前・URLは書かれていないですが、調べると以下のようです。
「International Federation of Gynecology and Obstetrics opinion on reproductive health impacts of exposure to toxic environmental chemicals - Di Renzo - 2015 - International Journal of Gynecology & Obstetrics - Wiley Online Library」
面白いことにネオニコチノイド系農薬については一切触れられいません。
ここまででやっと27ページ終えまして、1章のツッコミが終わりました。
とてもではないですが、全てを対象にはできないので、巻末の【特別メッセージ】までスキップします(暇ができたら飛ばした分をやるかもしれない)。
【特別メッセージ】食糧安全保障の危機と打開策 鈴木宣弘 東京大学大学院教授 「日本の種子(たね)を守る会」講演録から
種をしっかりと守ること。特に野菜の状況を見ると、種子法の廃止、農業競争力強化支援法の八条の四項、そして種苗法の改定で、コメ、麦、大豆の種が下手をすれば、海外のグローバル種子農薬企業にどんどん移っていくかもしれない。使い古されたデマを東大の教授が言うのだから世も末ですね。
「農業競争力強化支援法の八条の四項」は、種苗の生産の知見を提供するのであって、他の知的財産権を渡すわけではない。
詳細はこちら参照。
関東の酪農家さんに配られたチラシは、「ホルスタイン一頭殺したら五万円払います」。アホか。こんなことやっている場合じゃないでしょ。いま、危機でものが入ってこなくなったら、どうするのか。もう一度種付けから乳牛生産を増やすには三年掛かるわけです。1頭5万円というのは見つからなかった。もちろん「ホルスタイン一頭殺したら五万円払います」というまんまのものも。
※令和5年3月から9月までの第1次取組は15万円、令和5年10月から令和6年3月まの第2次取組は5万円というのはQ&Aにあったが別の話だろう
15万円なら見つかった。
そもそも、資料を見ると受ける印象は変わります。
「酪農経営改善緊急支援事業実施要領」から引用します。
緊急的に低能力牛の頭数を削減し、一定期間生乳生産の抑制の取組を行う酪農経営体に対し、奨励金を交付する。単純に削減するのではなく、乳の出が悪くなったのが対象ということです。
・・・
低能力牛とは、ホルスタイン種、ジャージー種、その他乳用種の経産雌牛であって、経済合理性が低いものとして酪農経営体が判断する牛とする。
上記資料は「酪農経営改善緊急支援事業について:農林水産省」からリンクされています。
脱脂粉乳が余っているので、処理するために君らが負担しろといって、生乳キロ当たり2円、去年100億円も酪農家に負担させている。つぶれそうになっている農家に100億円も負担させて、本当につぶす気かということです。本当ですかね?
調べると、「生乳キロ当たり2円」ではなく「生乳キロ当たり0.45円」ですね。
・酪農乳業乳製品在庫調整特別対策事業の実施内容について
・【2024年度実施事業】酪農乳業乳製品在庫調整特別対策事業について
・酪農乳業需給変動対策基金要領
まだ安全性がしっかりと確認できてないものを、まず日本の子どもたちに実験台として普及させていこうという、倫理観の欠如が大きく問われます。ゲノム編集トマトの話です。
倫理観の欠如はお前だ!
外部遺伝子が残っていないので他の品種改良と何ら変わらない。
ゲノム編集トマトが「安全性がしっかりと確認できてない」と言うのならば、この世の中の食べものが全てそうだと言えるわ。ボケが!

安田節子
三和書籍
2022/11/21
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