食のデマの属国日本⑥:煽って金儲けが目的

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食の属国日本」(鈴木宣弘)を読みました。

※既出のデマは基本的に細かく記載しません。過去ログのリンクかタグを見てください。

6回目は「第五章 多様な農業経営体からの後退」がツッコミ対象です。

日本語を読めないとは致命的だ

かつて、ある大手人材派遣会社の前会長がこんなことを言っていた。
地方の山奥など僻地で、しかも農地に向かないような土地に住む必要はない。こういう土地に無理に住んで農業をやれば税金を投入して補助することになる。これこそが無駄というものだ、原野に戻したほうがいい」
これが間違った認識であることは言うまでもない。こうした考えで東京一極集中を進めていけば、いずれ農村のコミュニティは崩壊する。
日本語が読めないとは恥ずかしいですね。
人口減少の中で「地方の山奥など僻地」はどっちみに閉じざるを得ない。
人口増加で今まで住んでいないところに進出したので、人口減少ならばその逆をすべきなのは自明。
「地方の山奥など僻地」と「地方」を同じように崩壊させるか、「地方の山奥など僻地」だけ崩壊させるか、どちらを選択するか?前者に金を投じずに、後者にしろと言っているだけ。

数字がデタラメ

(p.101 四章)コメは、一俵の生産コストが1.5万円なのに、米価は1.2万円前後。少なくとも3000円の赤字が生じ、生産が減っている。
(p.117 五章)私の調査では、農協や漁協の共、生協の共同購入とか、協同組合の力は農家の価格を引き上げるために大きな貢献を果たしていることがわかってきた(拙著『協同組合と農業経済』東京大学出版会2022年)。
農協の共販を活用すれば、コメは60キログラム当たり3000円、飲用乳価は1キログラム当たり16円の引き上げ効果がある。
なかなか面白いことを仰るね。
次の記事によると、農協に半分は出しているそうなので、単純計算で農協に出している人の売価は15000円で、農協に出していない人は9000円となりますね。
【農協協会・JAのコメ実態調査】JAの集荷率53% 担い手集積率39%|JAcom 農業協同組合新聞

「一俵の生産コストが1.5万円」というのは「令和4年産 米生産費(個別経営体):農林水産省」を見ると正しいことが確認できます。
ということで、それ以外の数字が全部間違っているということです。
共済・補助金等受取金」を無視しているので、少なくとも「少なくとも3000円の赤字」は間違っている。
それ以上は調べるのが大変なのでやりませんが、酷いものです。

しかし、「米価は1.2万円前後」っていつの話をしているのでしょうね?一番悪い時の話を持ち出されてもねぇ。
相対取引価格の推移(税込)(全銘柄平均価格)
※「米に関するマンスリーレポート 価格編(令和5年6月号)」より引用

なお、一俵というのは60kgのことです。

食の属国日本: 命を守る農業再生
鈴木宣弘
三和書籍
2025/3/5

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