世界は基準値でできている
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「世界は基準値でできている」(永井孝志、村上道夫、小野恭子、岸本充生)を読みました。
前作「基準値のからくり」および永井さんのブログ「リスクと共により良く生きるための基礎知識」もおすすめです。
・二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律 | e-Gov 法令検索
・二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律 | e-Gov 法令検索
条文を見ると確かにそうで、未成年の場合は保護者が罰せられて、18・19歳だと成年なので親も罰せられない。
しかし、おかしな話ですね。男性ホルモンだろうがSRY遺伝子だろうが話は変わらない。
そうであれば、オリンピック出場時に調べるのではなく、もっと前にSRY遺伝子検査をすればよいだけだと思うのだが、理屈がわからない。
完全に笑い話だが、
・給食は14分以内で食べなければならない
・14分以内で食べられない場合は、一度マスクをして、また外して食べる
・15分ごとに席を入れ替える
・12~14分ごとに休憩をして、席を立って歩き回る
などというトンデモローカルルールがあったそうだ。
基準値が何たるかをまるで理解していないのがよくわかりますね。
それは、感染症を予防するエビデンスにもとづいたものではなく、環境衛生管理基準で「換気の悪い密閉空間」にあてはまらないというだけの根拠だった。
環境衛生管理基準のもとをたどると、明治時代からの基準で、それをさかのぼると、19世紀中ごろのドイツの化学者ペッテンッフェルによるもの。
哺乳類の腸の中に生息する菌で、腸外では増殖しにくい。
多くの場合、これらに害はないが糞便による汚染度を測定するのに適当なのでそれを指標としている。こういうのを代替指標値というそうだ。
トライアスロンの基準値より低いレベルでも水浴で5%胃腸炎の発症率が高くなるらしい。
トライアスロンの基準値は、飲料水基準値より緩いだろうことは容易に想像つくだろう。
飲料水基準を適用したら、水浴などできなくなる。
水浴することのメリットとデメリットを天秤にかけて基準値を作っていることがわかりますね。
ALPS処理水の海洋放出の時に飲んでみろとか言っている輩の浅はかさがよくわかるというものです。
「燃料デブリに触れた地下水は絶対に流さない」という約束はしていません。その約束をしたらALPS処理水放出はできません。
政府:「東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等排水に対する要望書について」
東電:「東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書に対する回答について」
混同は、「サブドレンなどからくみ上げた水の排出」と「ALPS処理水排出」において起きています。
2015年に海洋放出を容認したというのは「サブドレンなどからくみ上げた水の排出」の話です。
福島第1の「サブドレン」 福島県漁連が正式容認 国と東電に放射性物質の基準値厳守など要望 - 産経ニュース
「ALPS処理水排出」については、理解を示していますが、最後まで容認はしていません。
処理水放出 「反対」漁連ジレンマ 復興か風評被害か - 産経ニュース
「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する検討状況について」これを見ると確かに書かれています。
面白いことに「水蒸気放出については、年間約0.0012mSv」とありました。
水蒸気放出の方が被曝量は多いのですね。どちらもカスであることには変わらないが。
デマ屋の一人は「ALPS水・海洋排水の12のウソ」というデマ本で、海洋放出よりも、水蒸気放出・モルタル化(結局は水蒸気表出と同じ効果)が良い言っていました。さすがデマ屋だ。
総量がわからない!と騒いでいた輩がいましたが、トリチウムは核燃料棒のなかに溜まっていたものがメインで、すでに回収済みであり、トリチウム総量は増えません(こちら参照)。
最終処分の話ではないが、再生土は原理主義的な活動家をパーフェクト無視して、普通にそこらに持って行けばよさそうですね。
この章で過去に読んだ「東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理」(服部美咲)を推薦していました。
私も推薦します。
想定していないのに、検討しますか?
「2003年、福島第一原発事故の8年ほど前」に出たというのは次の文書です。
「安全目標に関する調査審議状況の中間とりまとめ」
日本は昔は「既往最大主義」だったが、それに従うとコストがべらぼうになるので1955年の白川から「確率主義」の採用が始まったそうだ。
無限にコストはかけられないので、どこかで折り合いをつけるしかないでしょう。
なお、中国は「既往最大主義」とのこと。
福島第一原発事故に関するもので、甲状腺がんの過剰診断(悪性化しにくく見つけることのデメリットの方が大きい)が発生しているのは知っていたが、以外に少ないですね。
甲状腺がんの過剰診断の話はこの章でも触れられているが、先ほどの出てきた↓がおすすめです。
「東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理」
抗ジフテリア抗体価が5%減少するという疫学調査をもとにしたものだが、そもそも5%減少したらどうなるか不明とのこと。
疫学調査は交絡因子の影響を排除しなければならないが、かなり難しい。
「私たちは何を食べているのか」(安田節子)というデマ本で紹介されていた論文は、農薬(グリホサート)散布しているところから2km以内に住んでいる人は自閉症の割合が高いというものがありました。
これが正しいのならば、農家の子供が自閉症の割合が高くなるはずだが、そんなことはない。
また、その論文では別の農薬では自閉症の割合が低くなるという結果になっている。
ということで、疫学調査の結果は概して信頼性が低い。
2022年の提案は結局採用されずに、200倍の 4 ng/L(PFOAも同様)という基準値が2023年に採用された。
片や、日本はPFOA/PFOS合計で 50ng/L という基準値です。これは信頼性の高い動物実験をもとにしたものです。
8(=4+4) ng/L と 50ng/L を単純に比べて 騒いでいる人がいるが、アメリカの 4ng/L も測定できないなどの理由で200倍にした値であり、その基準値の意味を知らなければ比較する意味はない。
面白いことが書かれていたので紹介します。
EUで食品の基準が2023年にできたが、イワシは 35,000 ng/kg であり、アメリカの水道水の基準の8750倍なのです(EUは20種のPFAS合計で100 ng/Lという基準値なので、それと比べると350倍)。
水道水は浄水場で対策すれば濃度を下げられるが、食品はそうはいかない。
一つの基準を見たところで何の意味もないということがよくわかりますね。
認可にあたって、餌の種類、人体への影響、アレルギーを引き起こす可能性のあるキチンの量などをチェックしている。
餌については、閉鎖環境で養殖されたもので、重金属、PCB/ダイオキシン、農薬、プリオン、微生物などの安全性が確認されている。
成虫が内容物を排泄できるように最低24時間の絶食期間が設けられている。
シンガポールでは、2020年に培養細胞由来チキンを混ぜたチキンナゲットが発売されていて、2025年時点で一般市民が培養肉を口にできる唯一の国となっている。
法律も同じような意味合いのものだと思います。誰かに刑罰を与えるのが目的でなく、望む世界を作るための道具なのでしょう。
全てが科学的に決まっているのではなく、その時代の科学的・社会的制約から妥協のもとに作られているものは多々ある。
何のために「基準値」というものを定めているかを皆が考えてみると、少し良い世界になるように思えます。
参考文献は本には載せておらず、インターネット上にあります。
コラムもなかなか面白かったが、コメントは割愛します。
世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか
永井孝志、村上道夫、小野恭子、岸本充生
講談社
2025/6/19
前作「基準値のからくり」および永井さんのブログ「リスクと共により良く生きるための基礎知識」もおすすめです。
少し長いまえがき
飲酒や喫煙の開始年齢は、未成年がこれに違反しても、警察に補導されたり、高校生なら停学処分を受けたりすることはあるだろうが、本人が法で罰せられることはない。だが制止しなかった周囲の大人や、酒やタバコを販売した者には罰則規定がある。なんと!本人は法で罰せられないのか。
・二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律 | e-Gov 法令検索
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条文を見ると確かにそうで、未成年の場合は保護者が罰せられて、18・19歳だと成年なので親も罰せられない。
第1章 男と女の基準値 テストステロンルールの迷走
それが1992年のアルベールビル冬季オリンピックから、1998年の長野冬季オリンピックまでにおいて採用された、Y染色体上にあって性を男性に分化させる「性決定遺伝子」(sex determination region Y;以下SRY)を、PCR検査によって検出するという方法だった。染色体では男女を決定しきれないので、上記の様にSRY遺伝子の有無で見分けようとしたが、プライバシーの問題で廃止され、いまは男性ホルモンの量で見ているそうだ。
性分化疾患では、XY型でもSRYが変異することで女性の体になったり、XX型でもY染色体からX染色体に組み替えられたSRYを持つことで男性の体になったりする。そこで、SRY遺伝子の有無をみることでXYかXXかに関係なく性別を判定できると考えられたのだ。当時、この方法は「医学的に100%に近い確率で男女を判別できる」などと報道された。だが、IOCのアスリート委員会など多くの団体は、性別確認の検査そのものの廃止を求めていた。その理由としてはやはり、自身の生物学的性がオリンピック出場時に初めて判明し、それが公にされることによる、人権あるいはプライバシー上の問題が大きかった。そうした声に抗しきれず、1999年にIOCは、性別確認検査を廃止することを決定したのだった。
しかし、おかしな話ですね。男性ホルモンだろうがSRY遺伝子だろうが話は変わらない。
そうであれば、オリンピック出場時に調べるのではなく、もっと前にSRY遺伝子検査をすればよいだけだと思うのだが、理屈がわからない。
第2章 新型コロナの基準値(1) 「距離と時間」の狂騒曲
コロナ禍の時の濃厚接触者の定義で「マスクなしで陽性者と1m以内で15分以上接触があった人」というものがあった。完全に笑い話だが、
・給食は14分以内で食べなければならない
・14分以内で食べられない場合は、一度マスクをして、また外して食べる
・15分ごとに席を入れ替える
・12~14分ごとに休憩をして、席を立って歩き回る
などというトンデモローカルルールがあったそうだ。
基準値が何たるかをまるで理解していないのがよくわかりますね。
第3章 新型コロナの基準値(2) 空気感染とはなんだったのか
コロナ禍の時の換気基準として、CO2が 1000ppm 以下というのがあった。それは、感染症を予防するエビデンスにもとづいたものではなく、環境衛生管理基準で「換気の悪い密閉空間」にあてはまらないというだけの根拠だった。
環境衛生管理基準のもとをたどると、明治時代からの基準で、それをさかのぼると、19世紀中ごろのドイツの化学者ペッテンッフェルによるもの。
第4章 トライアスロンと水浴の基準値 セーヌ川だけが汚いのか
水質基準に腸球菌・大腸菌の数がある。哺乳類の腸の中に生息する菌で、腸外では増殖しにくい。
多くの場合、これらに害はないが糞便による汚染度を測定するのに適当なのでそれを指標としている。こういうのを代替指標値というそうだ。
トライアスロンの基準値より低いレベルでも水浴で5%胃腸炎の発症率が高くなるらしい。
トライアスロンの基準値は、飲料水基準値より緩いだろうことは容易に想像つくだろう。
飲料水基準を適用したら、水浴などできなくなる。
水浴することのメリットとデメリットを天秤にかけて基準値を作っていることがわかりますね。
ALPS処理水の海洋放出の時に飲んでみろとか言っている輩の浅はかさがよくわかるというものです。
第5章 放射線の基準値 誰が処理水と除去土壌を受け入れるのか
2023年8月24日から、処理水の海洋放出が開始された。間違いと混同があります。
・・・
それでも海洋放出が決定すると大きな社会問題となったのは、福島県産の魚介類への風評被害が危惧されたからだ。
福島県漁業協同組合連合会もその懸念から、政府や東京電力と「燃料デブリに触れた地下水は絶対に流さない」「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」という約束をとりつけたうえで、2015年に海洋放出を容認した。
「燃料デブリに触れた地下水は絶対に流さない」という約束はしていません。その約束をしたらALPS処理水放出はできません。
政府:「東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等排水に対する要望書について」
東電:「東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書に対する回答について」
混同は、「サブドレンなどからくみ上げた水の排出」と「ALPS処理水排出」において起きています。
2015年に海洋放出を容認したというのは「サブドレンなどからくみ上げた水の排出」の話です。
福島第1の「サブドレン」 福島県漁連が正式容認 国と東電に放射性物質の基準値厳守など要望 - 産経ニュース
「ALPS処理水排出」については、理解を示していますが、最後まで容認はしていません。
処理水放出 「反対」漁連ジレンマ 復興か風評被害か - 産経ニュース
経済産業省は、2019年10月時点で原発敷地内のタンクに貯蔵されているトリチウムの総量約860兆を含む処理水をすべて1年間で排出しても、魚介類を食べることなどによる追加被曝は年間0.000071~0.00081mSv程度、という評価結果を公表している。許容可能なレベルである年間1mSVと比べても、何桁も小さいではないか。「基準値1500Bq/L以下を守ります」というよりも、このような数字をきちんと示すほうがよほど重要ではないだろうか。一気に放出した場合の被曝量も試算していたのですね。
「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する検討状況について」これを見ると確かに書かれています。
面白いことに「水蒸気放出については、年間約0.0012mSv」とありました。
水蒸気放出の方が被曝量は多いのですね。どちらもカスであることには変わらないが。
デマ屋の一人は「ALPS水・海洋排水の12のウソ」というデマ本で、海洋放出よりも、水蒸気放出・モルタル化(結局は水蒸気表出と同じ効果)が良い言っていました。さすがデマ屋だ。
総量がわからない!と騒いでいた輩がいましたが、トリチウムは核燃料棒のなかに溜まっていたものがメインで、すでに回収済みであり、トリチウム総量は増えません(こちら参照)。
自治体の首長がトップダウン的に受け入れを決めた場合は、住民の23%しか同意しないのに対し、住民の意見を反映したうえで受け入れを決めた場合は、56%が同意した。また、全国で自分の家の近くの1ヵ所でしか最終処分場が設置されないと仮定した場合は、14%しか受け入れに同意しないのに対し、福島県以外の46都道府県すべてに1ヵ所ずつ設置されると仮定した場合は、同意は48%まで上昇する。面白い結果ですね。自分の所だけだと嫌だけど、他もあるのならば仕方がないとあきらめるのでしょうか。
最終処分の話ではないが、再生土は原理主義的な活動家をパーフェクト無視して、普通にそこらに持って行けばよさそうですね。
この章で過去に読んだ「東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理」(服部美咲)を推薦していました。
私も推薦します。
第6章 原子力発電所の基準値 どのくらい安全なら安全なのか
こうした米国や英国での流れを受けて、日本でも、確率論的リスク評価の考え方を採り入れ原発の大規模事故時の安全目標を定めるのがよいのではないか、という考えになってきた。安全神話により大規模事故のことを全く想定していなかったという言説がよくあるが、噓であることがわかりますね。
きっかけは1992年、通商産業省(当時)が原子力事業者に、大規模事故時の対策を整備するよう要請したことだ。原子力災害時に受け入れられる放射線量の目安については1960年代から議論されていたが、大規模事故時の一般公衆の安全について公に取りあげるのは初めてのことだった。
議論は長く続き、公の文書にようやく「原子力の安全目標」という数字が出たのは2003年、福島第一原発事故の8年ほど前のことである。
想定していないのに、検討しますか?
「2003年、福島第一原発事故の8年ほど前」に出たというのは次の文書です。
「安全目標に関する調査審議状況の中間とりまとめ」
第7章 治水と防潮堤の基準値 科学だけでは決められない
治水の考え方として「200年に1回」などの「確率主義」と過去に発生した最大の洪水にもとづく「既往最大主義」がある。日本は昔は「既往最大主義」だったが、それに従うとコストがべらぼうになるので1955年の白川から「確率主義」の採用が始まったそうだ。
無限にコストはかけられないので、どこかで折り合いをつけるしかないでしょう。
なお、中国は「既往最大主義」とのこと。
第8章 がん検診の基準値 受けるべきか、受けざるべきか
国が推奨するがん検診は、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つで、対象年齢・間隔が示されているそうだ。福島第一原発事故に関するもので、甲状腺がんの過剰診断(悪性化しにくく見つけることのデメリットの方が大きい)が発生しているのは知っていたが、以外に少ないですね。
甲状腺がんの過剰診断の話はこの章でも触れられているが、先ほどの出てきた↓がおすすめです。
「東京電力福島第一原発事故から10年の知見 復興する福島の科学と倫理」
第9章 PFASの基準値 世界から追われる嫌われ者
2022年にアメリカで、水道水中のPFOSが 0.02 ng/L というの基準値が提案された。抗ジフテリア抗体価が5%減少するという疫学調査をもとにしたものだが、そもそも5%減少したらどうなるか不明とのこと。
疫学調査は交絡因子の影響を排除しなければならないが、かなり難しい。
「私たちは何を食べているのか」(安田節子)というデマ本で紹介されていた論文は、農薬(グリホサート)散布しているところから2km以内に住んでいる人は自閉症の割合が高いというものがありました。
これが正しいのならば、農家の子供が自閉症の割合が高くなるはずだが、そんなことはない。
また、その論文では別の農薬では自閉症の割合が低くなるという結果になっている。
ということで、疫学調査の結果は概して信頼性が低い。
2022年の提案は結局採用されずに、200倍の 4 ng/L(PFOAも同様)という基準値が2023年に採用された。
片や、日本はPFOA/PFOS合計で 50ng/L という基準値です。これは信頼性の高い動物実験をもとにしたものです。
8(=4+4) ng/L と 50ng/L を単純に比べて 騒いでいる人がいるが、アメリカの 4ng/L も測定できないなどの理由で200倍にした値であり、その基準値の意味を知らなければ比較する意味はない。
面白いことが書かれていたので紹介します。
EUで食品の基準が2023年にできたが、イワシは 35,000 ng/kg であり、アメリカの水道水の基準の8750倍なのです(EUは20種のPFAS合計で100 ng/Lという基準値なので、それと比べると350倍)。
水道水は浄水場で対策すれば濃度を下げられるが、食品はそうはいかない。
一つの基準を見たところで何の意味もないということがよくわかりますね。
第10章 新しい「食」の基準値 コオロギは本当に安全なのか
EUでは2024年時点でコオロギ、バッタなどの4種を「新規食品」として認可している。認可にあたって、餌の種類、人体への影響、アレルギーを引き起こす可能性のあるキチンの量などをチェックしている。
餌については、閉鎖環境で養殖されたもので、重金属、PCB/ダイオキシン、農薬、プリオン、微生物などの安全性が確認されている。
成虫が内容物を排泄できるように最低24時間の絶食期間が設けられている。
シンガポールでは、2020年に培養細胞由来チキンを混ぜたチキンナゲットが発売されていて、2025年時点で一般市民が培養肉を口にできる唯一の国となっている。
第11章 AIと個人情報の基準値 自分で基準をつくっていく
個人的にあまり興味がないので、コメントはスキップ。あとがき
前著「基準値のからくり」では、米国の疫学者で衛生工学者のウィリアム・セジウィックの「基準というものは、考えるという行為を遠ざけさせてしまう格好の道具である」という言葉を、基準値が思考停止をもたらすことへの警鐘として紹介した。それには、本書はこう返事をしたい。赤字の部分は著者4人中、誰の言葉かは知りませんが、いいですね。
「基準とは、私たちが生きたいと思う世界を考え、実現するための良い道具である。」
本書では、良質のミステリーを読んだときのような謎解きの爽快感が味わえる基準値、思わずなんだそりゃ、と言いたくなる変てこな決まり方をした基準値など、基準値の根拠を知る面白さを紹介しながらも、その裏では、多様になってきた価値観がいかに反映されているかにも迫ったつもりである。ボーダレス化が進む現代において、さまざまな価値観を基準値で線引きするにはどうすればよいか、という問題に面白さがあると思ったからだ。
法律も同じような意味合いのものだと思います。誰かに刑罰を与えるのが目的でなく、望む世界を作るための道具なのでしょう。
全てが科学的に決まっているのではなく、その時代の科学的・社会的制約から妥協のもとに作られているものは多々ある。
何のために「基準値」というものを定めているかを皆が考えてみると、少し良い世界になるように思えます。
参考文献は本には載せておらず、インターネット上にあります。
コラムもなかなか面白かったが、コメントは割愛します。
世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか永井孝志、村上道夫、小野恭子、岸本充生
講談社
2025/6/19
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