子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由
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「子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由」(岡嶋裕史)を読みました。
一般にSNSという言葉で一括りにしているが、この本では、「拡散系サービス」と「閉鎖系サービス」の後者をSNSと呼んでいます。
そして、規制すべきなのは後者ではなく前者の「拡散系サービス」だと言っている。
「拡散系サービス」:X(本の中では書かれていないが、Threads、BlueSkyなども同類と考えているものと思われる)、TikTok、YouTube、Instagram
「閉鎖系サービス」:LINE、Facebookグループ、Discord
「閉鎖系サービス」では、全く関係ない人が入ってこないので、志向が真逆の人の意見が入りにくく、炎上なども起きにくい。
例えば、
「処理水の放出に反対しているのは誰か(鳥海不二夫) - エキスパート - Yahoo!ニュース」
では3つのクラスタが出てくるが、「閉鎖系サービス」ではそのクラスタ毎にグループができるので意見の衝突が起きにくいが、「拡散系サービス」では容易にクラスタを突き抜けて炎上すると言っている。
※本の中で処理水の例は出てこない
本のタイトルではXを名指ししているが、Xをはじめとする「拡散系サービス」の規制が必要だと言っている。
なぜ規制が必要かというと、ちょっとした悪意のない一言でも、それを悪意だと思う人達によって炎上、魔女狩りされてしまうから。
どういう規制があり得るかというと、以下の二つを述べています。
①クラスタを突け抜けて、異なる属性を持つ人同士を接触させる機能(平均経路を小さくする機能)を止める
②クラスター係数を小さくする
SNSを解体、拡散系サービスからも人を囲い込む機能を削除
どちらも具体的な手法は提示されていないが、選択するとしたら、効果と副作用から①だと言っている。
さらに強力な解決策として突飛な案が載っています(「サイレントマジョリティに受け入られるものとは考えていません」と言っている)。
ヌードルハラスメント(ずずっ~とすすることに嫌悪すること)など聞きたくないものを遮断するために、イヤホンをつけて出歩いていることを例に出している。
このようにHMD(ヘッドマウントディスプレイ)をつければ、視覚からも不快なことは消せるので、他者との衝突が起きないというもの。
そして相手にするのはAIなので利用者に忖度して不快なことは言ってこない。
このような解決策が提示されている。
中盤のp.122に《結論を先に行ってしまうと、私は「個人はこのフィルターバブルの中に閉じこもってしまうのがいい」と考えています。》とあるが、閉じこもる方式が上記を指すのでしょう。
想像していた内容とはかけ離れた内容だったが、SFであるような未来がくるのかもしれない。
その時には、子供を育てるのもAIロボット、親は卵子精子を提供するだけという状態になるでしょう。
そういう未来が良いかどうかはわからない。過去には過去の価値観、今には今の価値観、未来には未来の価値観があって、それぞれは一緒ではないのだから。
その他、気になった点を箇条書きします。
・「SNSの密室で行われるいじめから抜け出すには相当のスキルが必要で、それは教えてもらわなければわからないたぐいの知識です。」
とあるが、ブロックするなり、LINEグループなりから抜ければよいだけで、相当なスキルがいるのか疑問に思った。
・p.90 以降、進歩的(リベラル)なものを「正義」、伝統維持的(保守)なものを「継承」とすると書いてある。
だが、正義は通常使われる言葉なので「正義」などと括弧書きにしてくれないとわからないのだが、そのように括弧付きで表記されるのは最初の内だけで、途中から括弧がなくなり、どちらの意味で使われているかわからなくなっている。これは校正がなっていないからなのでしょう。
正義は保守・リベラル・中道どれにもあるので、ちゃんと分けてくれないと困るのだが、そうなっていないことで本書の理解を困難にしている。
・《単に自分には理解できない、好きではないので納得したくない、だけの話を「説明責任が果たされていない」と読み替えることなども日常的に行われるようになりました。》
これは、新聞の社説を見ているとよく出るフレーズです。
「議論が尽くされていない」も似た系統ですね。尽くしたという条件を示さないので、「いつまでも完了しない=反対」ということ。
・「ファンネルを飛ばす」の脚注がおもしろい。
《自身の代わりに特定の相手を攻撃するよう、支持者をけしかける行為。ファンネルとは、ガンダムにおいて MAN-08 エルメスのビットに端を発する遠隔攻撃端末。》
エルメスの型式番号が「MAN-08」なのは知らなかったが、著者はガンダム世代なのでしょうね。
「エルメス (ガンダムシリーズ) - Wikipedia」
・《多くのファクトチェック組織が、マスコミが報じる内容をファクトチェックの対象から外している。もしくは優先度を下げていますが私はむしろ実施したほうがよいと考えています。質の低いメディアがあるのはもちろん、良質な情報を展開しているメディアを守ることにもつながるからです。》
これはその通りだと思います。報道機関のファクトチェックも他の報道機関を対象にして、相互チェックして質を上げていくべきだが、やる気は無いでしょうね。
子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由
岡嶋裕史
光文社
2025/12/17
一般にSNSという言葉で一括りにしているが、この本では、「拡散系サービス」と「閉鎖系サービス」の後者をSNSと呼んでいます。
そして、規制すべきなのは後者ではなく前者の「拡散系サービス」だと言っている。
「拡散系サービス」:X(本の中では書かれていないが、Threads、BlueSkyなども同類と考えているものと思われる)、TikTok、YouTube、Instagram
「閉鎖系サービス」:LINE、Facebookグループ、Discord
「閉鎖系サービス」では、全く関係ない人が入ってこないので、志向が真逆の人の意見が入りにくく、炎上なども起きにくい。
例えば、
「処理水の放出に反対しているのは誰か(鳥海不二夫) - エキスパート - Yahoo!ニュース」
では3つのクラスタが出てくるが、「閉鎖系サービス」ではそのクラスタ毎にグループができるので意見の衝突が起きにくいが、「拡散系サービス」では容易にクラスタを突き抜けて炎上すると言っている。
※本の中で処理水の例は出てこない
本のタイトルではXを名指ししているが、Xをはじめとする「拡散系サービス」の規制が必要だと言っている。
なぜ規制が必要かというと、ちょっとした悪意のない一言でも、それを悪意だと思う人達によって炎上、魔女狩りされてしまうから。
どういう規制があり得るかというと、以下の二つを述べています。
①クラスタを突け抜けて、異なる属性を持つ人同士を接触させる機能(平均経路を小さくする機能)を止める
②クラスター係数を小さくする
SNSを解体、拡散系サービスからも人を囲い込む機能を削除
どちらも具体的な手法は提示されていないが、選択するとしたら、効果と副作用から①だと言っている。
さらに強力な解決策として突飛な案が載っています(「サイレントマジョリティに受け入られるものとは考えていません」と言っている)。
ヌードルハラスメント(ずずっ~とすすることに嫌悪すること)など聞きたくないものを遮断するために、イヤホンをつけて出歩いていることを例に出している。
このようにHMD(ヘッドマウントディスプレイ)をつければ、視覚からも不快なことは消せるので、他者との衝突が起きないというもの。
そして相手にするのはAIなので利用者に忖度して不快なことは言ってこない。
このような解決策が提示されている。
中盤のp.122に《結論を先に行ってしまうと、私は「個人はこのフィルターバブルの中に閉じこもってしまうのがいい」と考えています。》とあるが、閉じこもる方式が上記を指すのでしょう。
想像していた内容とはかけ離れた内容だったが、SFであるような未来がくるのかもしれない。
その時には、子供を育てるのもAIロボット、親は卵子精子を提供するだけという状態になるでしょう。
そういう未来が良いかどうかはわからない。過去には過去の価値観、今には今の価値観、未来には未来の価値観があって、それぞれは一緒ではないのだから。
その他、気になった点を箇条書きします。
・「SNSの密室で行われるいじめから抜け出すには相当のスキルが必要で、それは教えてもらわなければわからないたぐいの知識です。」
とあるが、ブロックするなり、LINEグループなりから抜ければよいだけで、相当なスキルがいるのか疑問に思った。
・p.90 以降、進歩的(リベラル)なものを「正義」、伝統維持的(保守)なものを「継承」とすると書いてある。
だが、正義は通常使われる言葉なので「正義」などと括弧書きにしてくれないとわからないのだが、そのように括弧付きで表記されるのは最初の内だけで、途中から括弧がなくなり、どちらの意味で使われているかわからなくなっている。これは校正がなっていないからなのでしょう。
正義は保守・リベラル・中道どれにもあるので、ちゃんと分けてくれないと困るのだが、そうなっていないことで本書の理解を困難にしている。
・《単に自分には理解できない、好きではないので納得したくない、だけの話を「説明責任が果たされていない」と読み替えることなども日常的に行われるようになりました。》
これは、新聞の社説を見ているとよく出るフレーズです。
「議論が尽くされていない」も似た系統ですね。尽くしたという条件を示さないので、「いつまでも完了しない=反対」ということ。
・「ファンネルを飛ばす」の脚注がおもしろい。
《自身の代わりに特定の相手を攻撃するよう、支持者をけしかける行為。ファンネルとは、ガンダムにおいて MAN-08 エルメスのビットに端を発する遠隔攻撃端末。》
エルメスの型式番号が「MAN-08」なのは知らなかったが、著者はガンダム世代なのでしょうね。
「エルメス (ガンダムシリーズ) - Wikipedia」
・《多くのファクトチェック組織が、マスコミが報じる内容をファクトチェックの対象から外している。もしくは優先度を下げていますが私はむしろ実施したほうがよいと考えています。質の低いメディアがあるのはもちろん、良質な情報を展開しているメディアを守ることにもつながるからです。》
これはその通りだと思います。報道機関のファクトチェックも他の報道機関を対象にして、相互チェックして質を上げていくべきだが、やる気は無いでしょうね。
子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由岡嶋裕史
光文社
2025/12/17
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